甘えでできていた速人を最高のパートナーにする
自由人速人の甘え
こいつは本当に…どうしようもない奴だった。こんなヒーロー嫌!って思う人は思うことだろう。だけど、相当ヒットしたのは、「そんな速人、素敵…」って思う女子がいるからなんだよね。結局は私のところに帰ってくる。そんな速人が愛しいのなんのって。また、芙美のやり方で速人がどんどん変わっていくのがわかるから、自分もこんなふうにいい女になって男を翻弄してやりたいって思うからじゃないだろうか。いくらモテていようが、いくら芙美を困らせようが、芙美が俺を好きなことは絶対で、俺が芙美を手放さないことも絶対だ。そんな速人…もし私が芙美の友だちだったら絶対やめろって言うのに、もし私が芙美だったら許してしまうのかもしれない…あー複雑!その複雑さを見事に描いてくれているんだよなー。
たいていは、好きな女の子への意地悪なんて大したもんじゃない。だけど、速人は自分のカッコよさ・いかにモテていかにテクニシャンかを誇示してくる。そのくせ、芙美が別の男に取られそうになったら完全に周りの男を排除。俺のもんだって攻めてくる。その独占欲に浸りたくて、速人が自分のことでいっぱいになってくれてるって思ったら、もう芙美は速人大好き!ってなってしまうのだ。
好きだからこそ、芙美が困っている姿を見て満足したいという屈折した愛情を見せる速人。本当に困った奴だわ…中学からの唯一の友だちもドン引き。まぁ男友達からみたらいい奴だし、がんばるところは全力だから、全然苦労しない。女関係だけが問題の速人なのだ。自分から積極的に狙いにいってるわけじゃないし、1回~5回以内ですぐ飽きて、あとは芙美に戻るらしい。素朴なご飯は毎日食べたいが、豪華なイタリアンは数回で十分ってことかな…。素朴なご飯って言われたら、悔しい気もするんだけど、ずっと独占できるのは素朴なご飯だなーって思うとなんとなく優位に立ったような気もするし…このあたりは完全に好みだ。
どっちにしろ、速人は芙美に甘えすぎ。そのうち絶対痛い目見る。そう思ってて実際痛い目見たからなーおもしろい。そこからが本当の速人の成長だった。
ハイエナたちの攻撃
速人が軽い奴ってことは知ってて近づいてくるのよ。カッコ良くて、優しくて、部活は真剣で、勉強だって真面目なほう。そんな彼の目に留まりたいって思う女の子の感覚は間違ってないし、1回だけでもその目に映りたいって思うのもわかる。
ただ、その1回をこじ開けたら女は怖い。もっと欲しくなって、自分が一番になったからなんじゃないかって勝手に妄想繰り広げて、何度も要求してくる。速人にとっては遊びで、相手も後腐れないよって迫ってきたくせに、1回で我慢できない生き物なのよ。サッカー部マネージャーの望月さんとか、完全に彼女ポジションまで狙って行動してたからなー怖い怖い。芙美にとっては脅威であるが、速人にとっては「は?何言ってんの?俺彼女いるの、知ってるでしょ?」ってな具合に華麗にスルーする。別に望月さんの肩は持ちたくないから言うが、わかってて近づいたなら、傷ついたと泣いたり八つ当たりするのはお門違い。本気で狙うなら速人の体じゃなくて心をオトしにこいや。勝手に彼女気分で粋がるな。すぐ妄想広げるやつは本当に危険。まぁ速人が全部断ってればこんなことにはならないんだけどさ…。
それなら芙美の方から離れさせようって行動する人物もいたけど、お互いの絆は案外とかたく、自分達すらわかっていなかったくらいの強さだった。おこぼれ狙いのハイエナなんぞには負けない。
なんでそこまで耐えれるか
最初のころは、それこそ速人の浮気に相当動揺しまくってた芙美。でも、それも慣れてきて、速人の甘えなんだってわかってきたら余裕も出てきた。速人に愛されている。それだけで十分だと思うからこそ、芙美は耐えれるんだろう。
もはや心配の仕方が変わってて、速人がまた危ないことをするのでは・速人がまた違う女の子を泣かすのでは…という心配が主になっていく。また、惚れた弱みそのものなんだよね。顔を見て、触れたらもうどうでもいいや、そばにいれれば、と思ってしまう。速人のせいで傷ついて、速人のせいで喜んでる。あれ?そういうセリフ違う漫画でも言ってたな…もうそれが恋なんだよとか言っちゃってる漫画だったが、ここでは本当の意味で傷ついてるから本気で悩ましい。
芙美が逆に攻撃に出たときの速人の拗ねっぷりがひどい。自分はいいのに、芙美からは絶対にダメ。それが芙美にとっては嬉しいからこそ、普段のことはすべて水に流す。母のような大きさで支えているのである。
速人は自己中すぎる王様だ。それを少しずつ認めて変わっていこうとするのがまたかわいいんだけどね、速人。気持ちを抑えられなくて芙美の首に傷をつけてしまったことがあったり、すげー後悔して、もうそういうのはやらないって決めて、やめれない。逆の立場になって、芙美が違う男と寝ちゃったってなったときは、もうこの世の終わりかってくらい落ち込んだ速人。ようやくわかったかこの野郎。でも軟禁は犯罪レベルだよ…?ようやく改心して完全なる芙美の天下になるけどね。ここまで芙美は苦しい事ばっかりだったけど、ようやく報われたような…おめでとう。完全なる愛のしもべの完成だ。
お互いに大好きだから
速人と芙美はお互いを大好きであったし、揺るがないものだった。性格に問題のあった部分は、芙美が全部包んでくれて変えてくれた。まさに女が男をつくったパターンだ。
ここで忘れてはならないのが、芙美の親友・速人の友だちの岳のエピソード。芙美と速人のことを見守ってくれていたし、大事な時に支えてくれた相手でもある。また逆に、芙美と速人よりも先に、岳との間に子どもができてしまった時は、芙美が助けてあげた。どれほど怖くなっても、世間から後ろ指刺されようとも、やっぱり子どもができたら産んであげよう。一人でも理解者がいれば、なんだってできる気がする。そういうものなんだよね。岳とも仲良くやってほしい。ちゃんとお互いを愛して大事にしていってほしいなと思う。
芙美と速人は心配してないけど、芙美がいつまでも優位に、手綱を握っていてくれたら嬉しい。速人にとっての最高の女が芙美であると、いつまでも主張し続けてほしいね。小悪魔的に狙って速人を困らせるんじゃなくて、もともとのキャラクターで速人を困らせる、そんな芙美でいてほしい。
気づいたときにはラブラブ漫画だった
あっという間にラストを迎えたこの漫画。速人にとっても、芙美にとっても、大好きだったのは「後にも先にもキミだけ」。浮気者の男を、彼女がどうやって育ててあげていったかがよくわかる漫画に仕上がっている。どうしようもない男ほど、手懐けたらこっちのものってことだろう。
もちろん、浮気してても大丈夫なんだ、とは言えないし、どちらかと言えばそんな男とは別れたほうが正解。浮気を繰り返してても必ず私のところに戻ってきてくれるから、ってそのまま付き合い続けてたら、女のほうがチャンスを逃すからね。若くてきれいな時代は長くないのよ。それならバッサリ捨ててやれ。速人と芙美は実に稀な両想いパターンなので、バイブルにはしないほうが賢明だ。中には必ず、完全な浮気性の男がいる。というか、愛を欠かさずささやいておきながら、外で女をつくるような男はたぶんやめておいたほうがいい。あくまでフィクションの恋物語として、楽しんだほうがいいだろう。
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