か…かわいいカップルがフィギュアで世界一を目指す
訛ってる
主人公である心と千登勢が、盛大に訛っている。こんなに主人公に訛らせるのは新しいと思うんですよね。しかも訛り方が東北・福島。ありがとう、こんなところで東北を登場させてくれて。東北弁はとにかくかわいくない。これは出身者でも思うはずです。だから敬遠されがちだと思うんですよね。なのにこの銀盤騎士の中では余裕で登場させてくる。かわいくない訛りでも、親しみあるそのがぎぐげご、だぢづでど、懐かしくて嬉しくなるんですよ。東北の出身者はね。
そして標準語がむしろ少なく、千登勢は標準語で丁寧語も使えるが、心はあまりに訛っているので普段のコメント制限されているほど…ルックスが良すぎるだけに、しゃべったら残念じゃん…ってことは避けたいよね。しかし、福島・いわきの人だってこんなに訛ってないと思うけど…ご当地おばあちゃん・おじいちゃんの言葉をそのまま登場させているのでしょう。決してバカにはしてないよ!?
ちゃんと心の姉たち、親たちもがっつり訛っている。とっても美しい家族なのに訛っている。もはやだんだんかわいく思えてくる…魔法がかかったかのようです。10巻までくると、もはやこれもかわいいんじゃないかと。そんな感じがしてきませんか?物語の中でも、関係者のみんなは訛っている心や千登勢をすんなりと受け入れてくれているじゃないですか。素の自分も大事にしていこうじゃないか!訛りは文化だよね。もはやバイリンガルだと思えば楽しくなってくるよ。
心と千登勢のかわいさ
心と千登勢は、最初から安定で。幼馴染の二人が、最初からずっと両想い。この二人の間でなら、ダメなところも見せあえるというか。とにかく、かわいいんです。千登勢の笑顔にキュンとしている心にキュンとくる。そして千登勢の様子をうかがってオロオロする姿にまたキュンとくる。絵的にも萌の要素満載です。千登勢はチビであるというコンプレックスがあるけれど、いいじゃん十分かわいいじゃん、身長小さいほうが守ってあげたくなるじゃん!と思います。この二人なら絶対大丈夫だなーと思いながら、いつも読んでいるわけですよ。
心のアニオタは、この物語の中ではかなり重要なものですよね。あの呪文を千登勢が唱えることで、フィギュアの成績が安定してきた…とかどんなことだよ。最初のころの心は、とにかく精神状態が不安定で、何かに頼っていないと立っていられないような人物。そんなんでよくフィギュアスケートの世界で戦ってるよね…でもまぁ小さなころに千登勢とフィギュアをして、それがとっても素敵な思い出だったから、続けてこれたんだろうな~って勝手な予測を立てています。決して親だけが理由じゃない。才能だけが理由じゃない。でも自分に自信が持てない…それが千登勢という拠り所をまた持てたことで少しずつ成長し、そして自分の足でリンクの上に立つことができるようになっていく。その過程を丁寧に描いているのがこの物語かなーと思いますね。大丈夫、千登勢が病気に立ち向かうことを決めたように、僕だって…かわいい奴だ。
フィギュアの魅力たっぷり
四方田晶登場。これはキス&ネバークライを読んだ人なら嬉しい登場だよね。コーチとして心を指導していたんだね~って思う。合田武志からつながって、どんどん話がリレーされている気がして、作者のシリーズが好きな人ならかなり嬉しいと思います。また読みたくなるんだよね…ま、四方田は主要キャラだけどヒーローではないのでいいんですが。つながってるなーって思うと、いろんな人にいろんなエピソードがあることを思い出させてくれるし、どんな人もそれぞれに主人公だなということを感じさせてくれます。
物語の中では、フィギュアスケートの技名やら、得点やら、選手同士の争い・友情など、いろいろな要素が含まれています。前の作品よりもけっこう細かいと思うんだよね。フィギュアが好きでもそうじゃなくても、わかるように予備知識も入れてくれるし。熱烈な心のファンの人が実況解説もばっちりやってくれるし、楽しめると思います。それこそフィギュアなしには心と千登勢をつなげてくれるものがなかったりするので…お互いがお互いの光。才能ある者の光と影、才能がなくても支える人間の光と影。回転が足りないとか表現力がどうとか、そういうのはあんまり伝わんないけど、美しい演技の裏にある努力とか、ケガを隠して挑むことの怖さとか、いろんなものがわかってくるので、一発勝負の世界で挑戦するということがいかに難しいか、どんなに苦しいことがあったとしても観客の前で笑わなければならないつらさとか。いろんなものが見えてくるからこそ感動しちゃいます。
盛山さんの愛
盛山さんがね、愛の深い人だなーって思うんです。最初は、自分が心の父親に雇われていて、ベストな成績を出せるように常に指導に当たらなければならないってことだけがこの人でした。だけど、千登勢をトレーナーとして引き込んだり、千登勢の恋を見守ったり、心の恋を見守ったり…キューピッドはつらいんです。自分の仕事もちゃんと成功させなきゃならないし、心と千登勢のかわいい恋も見届けてあげなくてはならない。うまくいくようにちょいちょい手も貸しながら、時には揺さぶってみながら…結局は盛山さんなしには、この二人がうまくいけるような状態ではなかったわけで。感謝してもしきれんよね。大好きだからこそさらけ出せない思いのはけ口になってくれて、自分たちで解決できるように支えてくれて、いい人…!物語が進むにつれ、最初の辛辣な態度が嘘のようになっていくのは、心と千登勢のことを大切に想うようになったからだよね。
英語で感嘆の言葉を表現するんだけど、全部カタカナだからえ?ってなる。そしてナイスバディ。強烈なルックスと強烈なキャラクター。弱気な主人公たちを本当に愛の鞭でビシバシと叩きまくり、鍛えなおしてくれている彼女。この人にもどうか幸せな展開が待っていてくれるとうれしいな~…キャラ的には、完璧にSっ気のある人!これしかイメージに合わない!立場逆転のニヤニヤがほしいよね。
どんな結果も大丈夫
千登勢の心臓の病気、手術。心のフィギュアのケガ、手術、大会出場。いろんなアクシデントがあって、怖くなって逃げてきた。だけどもう違うね。二人はただ寂しさを慰めあったり、つらいことから逃げるための拠り所なんかじゃない。その場所をなくしたくないからこそ、自分のやるべきことから逃げないんだ。ちょっと怖いけど、成功したら誰よりも喜んでくれるはず。そして自分も幸せな気持ちになるに違いない。お互いがそう思ってやるべきことをがんばる姿、本当に素敵です。もし大会で勝てなくても、命さえあったら大丈夫。がんばってやり切ったことならきっと大丈夫…いや、さすがに千登勢いなくなるとかそういうことは考えたくないので、その方向はなしだよね?心が失敗するのはそりゃー考えられるけど。
千登勢の手術の前にね、ぎゅってしてほしくて1分だけ家に寄って行かないかと誘う場面がありましたよね。もうね…かわいい!それしかない!!キュンキュンです。心にとっては千登勢がアイドル。小さなころから自分だけのお姫様。どんだけ有名になったとしても、その気持ちは変わらないから…そろそろ最終章ですけど、どうか二人にとって最高の形になりますように。周りの人たちも幸せになりますように。それを願うばかりですよ。
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