女の友情は血よりも濃くて恋よりもろいのか - 女ともだちの感想

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女ともだち

4.004.00
画力
4.00
ストーリー
4.50
キャラクター
3.50
設定
4.50
演出
2.50
感想数
1
読んだ人
1

女の友情は血よりも濃くて恋よりもろいのか

4.04.0
画力
4.0
ストーリー
4.5
キャラクター
3.5
設定
4.5
演出
2.5

目次

作品全体について

珠玉の作品ばかりの一条ゆかり作品の中でも、個人的に名作だと思っている。女同士が本当の女ともだちになるのがいかに難しいかわかる。菜乃×こずえ=女ともだちであると同時に、揺子×留美子=女ともだちであり、また、菜乃も当初揺子さんから「女ともだちのように暮らしましょ」と言われており(それは実現しなかったが)、読後はタイトル「女ともだち」に対して様々な思いが交錯する。女ともだちもいろいろなスタイルがあるんだなと思う。仲がいいだけではない。

コミックスにしてわずか3巻ながら、一高校生で初恋も知らなかった(これから知る"胸がキシキシと音をあげるような"初恋に比べれば鈴木先輩への想いなんて恋にカウントされない)菜乃が、出生の秘密を知り、親友との初めてで深刻な仲たがいや初恋を経験し、映画のオーディションを受けて主役に抜擢され、血の滲むような努力と恋の嵐の中撮影が進み、クランクアップしてから小説家デビュー&留学決定するまでをも描いている。作品中の映画「黄河の果てに」もなかな密度の濃いストーリーであることが伺え、これだけで一冊本ができそうだと思うのだが、そうしなくても充分ストーリーが伝わり、女ともだちと黄河の果てにの二つのストーリーを満喫したかのような満足感が味わえる。

登場人物について

一人で生きていこうと頑張るしっかり者で長女タイプの菜乃。叔母が母親とわかってもグレることも世間に公表することもできず、抱え込んだまま常識的に行動するしかない。それに対して、泣き虫で「ぶりっ子」で、弱いからこそ結果的にいつも誰かが守ってくれるこずえ。女の子らしいといえば女の子らしいのだが、私は苦手だった。でも、頑固で意地っ張りな菜乃が人間関係をこじらせていくのを目の当たりにするにつれ、こずえの天真爛漫さが心地好く感じられてくる。晴臣交通事故の知らせを聞いて倒れた菜乃に、心の中で「ごめん、応援なんかできない」とつぶやき、菜乃の晴臣への気持ちを知っていながら先に告白するという点では「かわいいふりして、やっぱりずるいな~」と思ったが、白河水絵にやられた菜乃のところへ駆けつけ「いらないなら私にちょうだい」と立ちはだかって腹黒さ全開!と思いきや、菜乃を抱きしめ「あなたの変わりなんかどこにもいないじゃない」と、菜乃がこの作品を通して一番言ってほしかっただろう言葉を贈ってくれた。かわいいだけかと思っていたこずえの、懐の深さに脱帽!

思えばかわいいだけで芸能界でここまでやってこられるはずもない。児童劇団に入っていたというから基礎はしっかりしているだろうし、一度だけ登場したこずえの母親との関わりでは、女友達のような親子に憧れるも、それを母親に悟られたくないという気遣いが感じられ、やっとできた子ということもあるのかもしれないが、日本家屋に敬語の母娘というところが、こずえの生育環境を匂わせる。

晴臣もまた、わがままで親の七光をまきちらしていて、最初は好感がもてない。いかにも菜乃の嫌いなタイプなので、この二人がひかれあうようになるなんて思いもしなかった。それがこずえに対する償いを真摯にする態度、菜乃を守ろうとする態度、軽い気持ちから出た発言でファンに傷つけられた菜乃を遠ざけようとする男気を見て、段々と晴臣が魅力的に感じてくる。

柊成という対照的なキャラクターが途中から出てくるのも効果的。柊成のほうが実力があり、菜乃との距離をどんどん縮めていくので、思わず晴臣を応援したくなってくる。

第一部と二部の途中のおまけページで作者が「若いやつはどうでもいい」と言っているのも半分うなずけるほど、脇を固める年配者たちが出す味が本当に深い。

ヒロくんはいい加減なのに格好いいし、揺子さんは一見頭軽そうで意地っ張りだけど、筋が通ってて素直でいい女。こずえの回復パーティーで泣いている菜乃にあえて晴臣を会わせるなんて心憎い。影に徹しているようで、実は影から操っているのは留美子さん。あの意地っ張りの揺子さんが「悔しいけどあんたがいなければとっくにぽしゃってた」と認めるほど。野口監督は出番も口数も少ないのにすごい存在感…一見、好好爺っぽいのに慣れたら本性出して怒鳴りまくるし、菜乃の「この作品の成功はあたしにかかってるんでしょうか」という質問には冷淡に「そうだよ」と答える。笑顔に見えるが目は笑っていないことが、口元のアップだけでわかる。ゾッとする一瞬。さすがの一条ゆかり。

ファッションについて

一条ゆかりはデザイナーを題材にした、その名も「デザイナー」という作品も書いていて、こちらも女のプライドと絡み合う人間関係が見応えのある作品なのだが、ずいぶん昔の作品であるためか、登場人物が着ている服に関しては首をかしげる部分があった。女ともだちでも頭に大きなリボンをつけていたり、真面目な菜乃がソバージュだったり、病院内でも帽子をとらなかったりと「ん?」と思うこともあるが、だいぶ若者向けのファッションを取り入れていると思うし、特に芸能界におけるファッションはリアリティーはともかく「ありそー」と感じるものになっている。こずえの事務所社長は権力思考の少女趣味で、いかにもな感じ。服と相まって個々のキャラクターの個性が際立ってくる。揺子さんの着物姿は美しく見とれるほど。幸運をつかんだ揺子さんのドレスも品があって素晴らしい。

映画撮影の顛末

白河水絵のスキャンダルというまさかのどんでん返しで(もちろん実力もあり)揺子さんが母親役となる。大好きな登場人物の努力がみんな実って大団円の顛末に拍手喝采。普段は真面目で常識的なはずの留美子さんが、シャンパンぶちまけても「いいわよね」っていうくらい。物語が進むに連れて応援する気持ちが高まっていただけに読者も笑顔。それにしても魅力的な登場人物ばかりで、それぞれが好きになれる部分を持っていながら、個人的に白河水絵だけは好きになれなかった。ちゃんと愛していたとは言うけれど…。血がつながっていない父親を選んだ晴臣。信頼関係があったことがわかる。

黄河の果てには劇中劇であり、傷ついた晴臣のシーンは一コマしかないのに、私も菜乃と同様、涙ぐんでしまった。

一つだけわからないのは、野口監督はこずえをどこに起用しようと思ってのか。桜子とはイメージが違う。かといって元々友達役なら晴臣が進言する必要ない。やはり桜子?

v作品の顛末

「会いたかった」「離れていたくない」と素直に言えるようになった菜乃。素敵な恋愛をして素敵な女になったなと思う。それでいながら、次回作の下見だと取り繕ってイギリスに行ったらしい(それが回想シーンでなくこずえの一言でわかるという、またまた一条マジック)。そういう「いい子」なところは相変わらずで、同じ人を好きになった相手に気を遣って嘘をつくと、再びケンカになる可能性もある、こずえはそれを否定するでもなく、受け入れている。人間ってそうそう簡単には変われない。こずえとケンカしたからって、恋をしたからって、菜乃の潔さとも頑固さとも言える性格は変わらない。でも、紆余曲折のあった友達なら、誤解することなく笑顔で受け入れてくれる。

物語初期ではあれほど嫌いだったこずえだが、どんどん魅力がわかってくるため、個人的な意見としてこずえと柊成が恋人になってくれたらいいななんて後日談を妄想している。

それにしても菜乃と晴臣は留学先がすれ違ってしまってどうなるんだろう…。

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