最後までぶれることなくハッピーエンド - ミッドナイト・セクレタリの感想

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ミッドナイト・セクレタリ

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画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
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感想数
2
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2

最後までぶれることなくハッピーエンド

4.04.0
画力
4.5
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.0

目次

ヴァンパイアと人間の女というよくある設定

なんでヴァンパイアものがいつの世にも流行るのか。それはもう女が血を吸われたがっているからとしか思えませんね。男にとってみれば血はなくてはならないもの。欲しがって当然なんですが、女からしても支配されたい欲・自分だけを見てほしい独占欲みたいなものがあるんでしょう。逆パターンで、女が吸血鬼・男が普通の男っていうパターンも他作品で見たことがありますが、これまた萌でした。どちらにしろ、欲求をあらわすのにヴァンパイアって使いやすいですよね。

ミッドナイト・セクレタリでは、常務と秘書(のちに社長と秘書)の関係にプラスしてヴァンパイア設定です。背徳感が感じられるので割とドキドキさせてくれます。兄弟であるお兄さんのほうとの三角関係勃発も予想されましたが、案外とその方向には至らず。まさか花夜のほうから苦しくなって会社をやめていくとは思いませんでした…このストーリーには驚き!そのころには、杏平にとっても花夜は大きな存在となっており、離れがたいものになっていた…ということで会社に戻すのかと思いきや、夜に押しかけ秘書をやるという…いや、もう付き合ってるよね?それ。杏平といい花夜さんといい、そこはもっと早く話をしておくべきだよ…極上の血液のやりとりが仕事であり、そこに恋愛感情は持たないで関係を継続する。こっちは早くお互いに気持ちに気づいてくれないかといらだちました。

それにしても、世の中に紛れて普通に生活しながら、一族で結束して生きているヴァンパイアという設定は、少しおいしいです。生き残り設定、一族の世界からの追放設定、タイムリープ設定、いろいろあるけど、紛れて生きていると言われれば、妄想するのに楽しくなってきます。

デキる女のキャラ設定素敵

花夜はどこでそんなに秘書スキルを身につけたのだろう?登場からすでにその仕事スキルを買われて登場してきているので、特に秘書同士の軋轢があるわけでもなく、ただ淡々と常務の秘書として仕事をこなしていっています。秘書課と言えば、誰の担当なのか、不倫関連、略奪愛関連、悪だくみのための利用関係などなど…薄暗いテーマで描かれることが非常に多いと思うんですが、ミッドナイト・セクレタリではそういったものは一切みられず、花夜と杏平がお互いに惹かれあい、成就するまでの話になってます。危なかった要素といえば、杏平がごひいきにしていた女性関連。今までは女性の恍惚の血を食すことで生きる糧としてきた杏平が、身も心も虜になる花夜という女の血に溺れていくわけです。溺れるって言うとなんか大げさですが、花夜が杏平にとって欠かすことのできない存在に変わっていくってことなんですね。仕事も想像以上にできる、食用にもなる、愛玩用にもなる…こんなやつを誰が手放すかってくらい、花夜はパーフェクトなやつです。

しかし、花夜の血がなぜそんなにもおいしかったのかを考えれば、それは杏平が愛するようになったからですよね。今までのごひいきの女性たちは全部食用にと割り切って付き合っていた女性たち。女性側はみんな杏平が好きでも、杏平は全然そんなことは思ってない。それが、花夜という自分にとって手放せない存在と出会って、味の感じ方が格別に変わったってこと。人の評価は総合的に。これ鉄則。

ツンデレがデレッデレにかわる後半戦

杏平は最初とにかく花夜を認めていません。それが1巻の終わりには十分に仕事の出来栄えを褒め、信頼して仕事を任せるようになります。そして、ヴァンパイアとしても花夜を信頼するようになり、初めての感情に苛立つ。この苛立つっていうのがなかなかない設定だなと思いました。だいたい多いのが、とにかくデレデレになってしまうか、相手を想ってわざと冷たくするとか、この気持ちはなんだろうとドギマギしながら慌てふためくとかだと思うんです。それが初めての感情に「苛立つ」っておもしろいなーって。そして、セフレ以上恋人未満みたいな関係も焦らすね~って思います。だって杏平さん、あなた完全に虜になってるよ、それ愛っていうんじゃないの?ヴァンパイアの世界にだってなんかあったでしょうよ。そして花夜さんも、わっかんないかなー両想いだよ!ずいぶんと引っ張っていたので、もはや読者がイラついていたに違いないでしょう。私も思わずやっとかよ!と思いました。

お互いが気持ちを確かめ合ってからはもうデレデレデレデレ…ようやるね。今までも十分素敵だったよ?仕事終わりに恋人宅へ、毎晩通うわけですから。あとは気持ちだけって状態でずいぶんと待ちました。世界はバラ色―ってな具合です。お互いのつやっぽい表情が、本当の意味での恋人になったことを物語っています。ここからようやくヴァンパイアと人間っていう種族の違いを超えていくことを考えさせられるわけです。これはそろそろ結末が近い予感…

お決まりの種族間トラブル

ヴァンパイアと人間では生きる世界が違いすぎる。こういうのは別にヴァンパイアに限らず、身分の高い低い、出身国の違いなどなど、どういったところでも当てはまるわけです。同じようなところで同じような人と恋すること、まったく自分とは違う生まれの何もかも違う人と恋すること、どっちがいいかは人それぞれ、嗜好によって違っていいじゃないか。ただね、子孫を残そうとすることって生き物の本能だと思うんですけど、さすがに犬と人間とか、鳥と人間だったら、そういう展開起きないじゃないですか。絶対やめとけっていう話になりますよね?ヴァンパイアがたまたま人の形をして人と同じ機能を持っているから、ちょっと種族が違うだけじゃんって軽くおさめられるんですよ。姿かたちが違うものとだったら全力で否定される気がする…そう考えると、ヴァンパイアの位置づけっておいしいどこ取りした存在ですよね。特にこの物語の中では、血をいただく以外に特に副作用がないんですもん。そしたら全然怖くないよね?出身地違いますくらいの軽いノリだよね?

ミッドナイト・セクレタリにおいても、花夜の妊娠が最終的に登場します。はてさてどちらの機能を多く持っている…?どうやらヴァンパイアの血が濃い様子。子どもにも苦労させることになるわー親は好き同士でいいかもしれないけど、子どもを作るなら未来をしっかりと見据えてがんばっていってもらいたいなと強く思いますね。

最終的な解決策は謎

杏平が一族から追放されて、専門の医療機関だったり、もしものための頼りどころを失ってしまいました。疑似血液も自分の会社に研究員を呼んで作らせるから別にいいもーんって軽いな。杏平が人間界においてもヴァンパイア界においても力のあるヴァンパイアで良かった、ということです。力がなかったら共倒れしていたことでしょう。そして、ヴァンパイア連中との死闘や相手を改心させるようなメッセージでもいただけるのかと思いきや、そこは一切なく、二人で、いや三人で、これからの未来を作り上げていこうっていう希望を残して終わりました。その後の花夜・杏平の生活がどんなことになったのかはわからずじまいです。まぁもともと、二人が早くハッピーエンドになってくれないかなってことで読み進めていたわけでもあるので、別に血液も作り出せるなら大丈夫だろうよ。子どもが育つまでに生きやすい環境もつくりあげていけることでしょう。何しろ社長と敏腕秘書だから!

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愛があれば大丈夫らしい

吸血鬼というキャラクターのお手軽さいつの時代も吸血鬼はよく用いられるテーマ。もはや女のほうが血を吸われたいと思っているんでしょうね。男の征服欲の象徴みたいなところを表現するのにももってこいだし。女も攻略されたいんだろうしょせん。ミッドナイト・セクレタリでは、吸血することによる弊害があんまりないし、すごく単純な吸血族。生きていくために血液くださいってそれだけなので、あまり怖い展開がないのも読みやすいと思う。この物語の舞台は会社。常務である当麻杏平と、その秘書となった花夜。杏平は敏腕常務であり、かつ女性関係の乱れで有名な男。噂を聞いていた花夜は、杏平の女関係は置いておき秘書の仕事を完璧にこなして杏平に自分を認めさせる。見た目は女性らしくなくても、仕事の内容は完璧だから杏平はぐうの音も出ず。快感だったことだろう。しかし、それにプラスして杏平の吸血のお世話までしなくてはならなくなったからもう大...この感想を読む

4.04.0
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