ラブラブな話で終わるかと思いきや一回転
一部だけならただ甘いだけの物語だった
地味子が明るく人気者の男の子に恋をし、人気者の男の子は地味とか関係なく演じる才能をもって人を惹きつける女の子に恋をする…お互いに惹かれあい、結ばれていく。そんなストーリーで、はじめはずいぶん安パイな感じです。メガネとったらめっちゃくらくらするぐらい美人っていうのはファンタジーですけどね。美人はメガネしててもお美しいから。
人気者の鈴木くんには、美しくて気も利く素敵な幼馴染がいて、幼馴染は鈴木くんをずっと大切に想ってきた…それが星野の登場によって1日でぶっ壊されるという…今まで誰もその魅力に気づいていなかったのに。自分だけが知っていたのに!悔しいよね。でも変に気持ちが大人になっちゃってるから、最初から身を引いてしまうという…悲しい始まりでした。その悲しげな表情に恋をするという忍も…不憫だな~…絶対前途多難なのわかってて、恋は止められないんだからびっくりします。始まったらもう会うたびドキドキですからね。スタートから4人の主軸を出してしまい、後はどう進んでいくかっていう流れになってるので、逆に安心して読めますね。後からどんどん登場人物を足されてしまうと人間関係ごちゃごちゃしちゃってわかりづらくなるので、この2つのカップルがどうなっていくかを見せてもらうと思って読めばぶれずに最後まで一気読みできます。
にしても、ちひろちゃん、どんだけ美人なんですかね。中学校1年生でナンパを受けるということは、相当な大人びた表情とスタイルをお持ちなのでしょう。最近ではアイドルも小学生からですし、おかしいことではないと頭ではわかっていながら、東京と地方の子ども格差を感じずにはいられませんね。そして役に入りすぎて気持ちもない男にキスなんて…女優ってそういうの、気持ち高まるとできちゃうもんなんですかね…怖いです。
二部での記憶喪失という課題
星野と輝の恋は、そりゃ少しは横やりありましたが、一部では順風満帆でしたね。ちひろがとてもいい子で、よき理解者となってくれたことも温かくて良かったです。たいていが嫉妬に狂う女の嫌な部分を見せられるのですが、こんな子もいればいいなという期待をみせてくれました。
初めの冒頭から、これだけ想いあっていた二人がいったん離れてしまうことは書かれていました。まあ最終的には絶対間違いはないだろうと予測はできましたね。何が起こるのかと思ったら記憶喪失というオチで、これは最終的にどう持っていくんだろうって思いました。しかも記憶喪失中に彼氏いるっていうだいぶ辛すぎる展開。どっちもいい人である場合、どちらも選べないよね…どっちも初めての人!みたいなもんやん。そうすると、どちらとも別れようと思うのはけっこう正統派に思えるんですよね。ちひろは自分の気持ちしか考えてないから逃げてるだけって言ってましたけど、どちらを選んでも失礼な気がしますし。記憶を失っていたことってどれくらいの・誰の罪なのかなとか考えたりしますね。しかも星野は事故で大切な両親を失っているわけですし、責められないと思うんです。悲しみは当事者にしか絶対にわかりませんし。
忍がかわいすぎる
忍がね…かわいすぎるんですよ。金持ちがゆえに俺様で世間知らず、強引でイケメンで。スタートで物憂げなちひろに一目惚れ。ギャップに弱い男の子の典型ですね。正直で、まっすぐで、こちらも普通に主人公でもいいくらいだったので、1冊の物語で2つのカップルの行方をみれるというおいしい話だと思います。全然意識されていないけど一生懸命ちひろの支えになろうと行動する行動派なところはさすが俺様って感じでした。
オマエなんか 大好きだ…
うわー…ツンデレのマニュアル通りって感じ。でも絵がかわいい感じだし、許せてしまうというマジック。このキャラはずっとこのまま行ってもらいたかったですね。ただここまで行動したら気持ちはばれて当たり前のはず。ちひろも十分鈍感っていうか小悪魔であると思います。老若男女、誰にでも優しいのは、自分が好きなのは輝だけというのがもう腹で決まっているからこそなんでしょうね。
お互いが13歳というあまりに未熟なときから始まって、それでも自分の事だったり相手のことを一生懸命考えて成長していく姿はかわいかったしピュアで心が癒されました。成長してお互いが大人の思考・大人の体つきへと変わっていく。それも無理なく描かれていたように思います。記憶喪失というアクシデントや、ちひろがいつまでも心を決められずに忍が荒れまくったりいろいろありましたけど、そういう脇道にそれることすらも全部が青春の成長にはかけがえがないものなので、よかったと思います。この作者さんは割とかわいらしい中にちょっと小学生には早いかなーと思うようなシーンもありますが…早くないのか…??それもできるだけマイルドにされているのでいいかもしれません。ただ演劇で大人の男を殴り倒せるほど甘くはないと思うので、そこは美化されすぎていますね。演劇で周りのうっとりさせるっていうのもだいぶ超能力の域でしょう。
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