アニメ本放送前のパイロット版
いろんなところがまだ未完成
声優さんの演技にしても、キャラをつかみきれていないところもあって、手探りな感じは若干あります。銀さんの昼寝シーンから始まります。今でこそ銀さん=杉田智和の声で定着していますが、当時はこれがアニメ初お披露目。原作ファンは人それぞれキャラの声のイメージを持っています。その声のイメージのずれが大きければ大きいほど、違和感と『これじゃない感』が付きまとい、受け入れられなくなってしまいます。銀さんも『こんなんでも俺の声』とか言い訳っぽく言っていますよね。(寝起きの声だから変なのは当たり前ってごまかし?)視聴者にまず『声』を受け入れてもらいたいという切なる願いがこめられているのかもしれません。
作画にしてもクォリティが高いとは言いがたく、時折作画崩壊してるっぽいし、まだキャラクターに描き慣れてない感じ。何気なく流れるBGMにしても、要所要所に挟むアイキャッチにしても、本放送とはまったく違っていて、何もかも荒削りな感じ。いまではおなじみのBGMじゃないだけで、銀魂っぽくなくがっかりしてしまいました。今観ればそんなものです。なんせパイロット版ですから。
ともあれ作品の流れや独特の空気感はなんとなくつかめたと思う。現実世界をパロッったの銀魂の世界観は、TVCM的なあれでよくわかりました。お通ちゃんの下品な歌も、あぁ銀魂ってこんな感じなのね、って所見の人にも理解(誤解?)できたんじゃあないでしょうか。
アニメ制作会社つながりのパロディ
当時の銀魂のアニメ制作会社はサンライズ。サンライズといえば機動戦士ガンダムシリーズを輩出する一流アニメ製作会社です。ガンダムに登場するザクのようなMSからくり兵器が登場してきたときは、あぁ、このアニメはサンライズが作ってんだと再認識できました。ガンダムのことやMSについては詳しくありませんが、ビームライフル的な音が違うとか爆発がピンクじゃないとか、そういうところに目がいきました。パロなんでそんなに考える必要はないと思うんですけど。なんでもありな感じやパロディ満載の作品ならでは。
桂が立派に攘夷志士らしく、破壊活動をしているのは結構ですが、初見の人はあの人主人公と敵対してる悪なんじゃね? と誤解しないか心配になる。(放映当時)いうまでもなく桂は決して悪人ではありませんよ。物語を〆る上で手ごろな悪人がほしかったけど、適役がたまたま『桂』だったってだけでしょうね。
なんだかんだいい感じに大団円になる銀魂
なんだかんだ馬鹿やって、最後に銀さんがかっこいいこと言って物語が締まる、っていうのも銀魂らしさのひとつだと思います。回想シーンでの『死に際を飾りつけるひまがあったら…』っという台詞が聞けるだけで満足です。ちょっと違った感じの初々しい銀魂アニメ。これがアニメ本放送が約10年も続き、映画化2本もする人気アニメになろうとは。
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