銀魂の面白さ凝縮!
ジャンプフェスタのオリジナルアニメ
アニメの途中から入って原作を読みはじめたころ、あまりのナンセンスぶりが気になってネットで検索したときにこのアニメを見つけた。あとで調べたら、このアニメは2005年12月に開催されたジャンプフェスタで上映されたものらしい。1999年に始まったイベントというから、もうずいぶん長い。映画「バクマン」は劇場で観たが、少年ジャンプおそるべしだ。編集者がすごいのか。
この作品は、銀魂アニメの上映に先駆けて銀魂の見どころを簡潔に紹介する意図がよく表れていて、短時間で銀魂の世界観が楽しめる良い作品だと思う。抱腹絶倒、あっという間の30分。中でも、叩いて被ってで繰り広げられる神楽と沖田の死闘や、おたえさんの腕っぷしが見ものだ。場所取りでもめるシーンでの、銀さんの腑抜けた表情も地味に笑える。
銀魂の世界観を凝縮した一本
銀魂の作者である空知英秋氏は、高級シャンパンのドンペリを大衆向けペットボトル入りの焼酎「大五郎」で割って「ぺり五郎」と命名してしまうセンスの持ち主だ。コミックは氏の人柄が垣間見える小さなコメントであふれている。北海道ご出身だけあって、懐の深さを感じる。
銀魂の登場人物の名前は史実の志士をパクッたものだが、ストーリー的にはほとんどパロディにもなっていない。日本史上最も混沌とした時代を舞台に、さらにハチャメチャなストーリーが展開する銀魂の世界。本当にやりたい放題、北海道の石狩平野みたいに広くて、自由気ままだ。物ごとには必ず答えがあると信じ、いつも正解を求めている人にはゼッタイに理解できない部類の作品だと思う。
時々、グッとくる。それでクセになる
そうかと思えば、このアニメの新八のエピソードのように、ときどき散髪廃刀令の屈辱感がチラチラ見え隠れしたりしてグッとくる。銀さんと桂は攘夷派の最後の残党で、かつての同志という設定だ。いつまでも過去を引きずるズラといつも対比される、銀さんの乾ききった言動。生きるためだけに生きている、現代人の姿を揶揄しているようにも見える。しかしその心の深いところにある火種が、いつかまた燃え始める日が来る。そんな日を待っているのは、桂だけではない。そんなメッセージを感じる。
そして、最後の快刀シーン。機動戦士~とか言ってるからそんな気はしたけど、やっぱり・・・な展開のあとに、スカッとさせてくれる。
“最後まで、美しく生きようじゃねえか”という珠玉のメッセージを残してこのナンセンスなストーリーは終わる。切腹というやり方で自らの一生を閉じた当時の武士たちや、特攻兵に志願して死んでいった若者たちへのオマージュだと私は受け取った。いつも銀さんの台詞からは、決して過去を否定するのではなく、対等に、真正面から主張している姿勢が感じられて、好感が持てる。
キャサリンは原作以上のインパクト
改めてアニメを視聴してみると、ネコ耳のキャサリンも登場している。サダハルや神楽とならんで、江戸の町に馴染んだアマントの代表といったところか。アマント=悪ではないことを示唆するキャサリンは銀魂の中でも一番のお気に入りキャラでだが、「コンニチハ」の発音は原作以上の面白さだ。
銀さん自身は心配していたみたいだが、アニメの吹き替えに関して言えば、ほとんどのキャラはイメージ通りだった。新八に至っては声優さんまで本人にソックリ。劇場版でも声優さんが演じてくれればいいのにと思う。ついでに言わせてもらえば、近藤勲 (こんどういさお)役はぜったい鈴木亮平が良かった。2017年公開の劇場版も今から楽しみだ。
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