ラブコメだけど、描いてることはでかいと思う
ナカとウミのラブコメディー
もともとの顔が美人でスタイルも抜群にモデル体型なのに、笑うと緊張して極悪面になってしまうナカ。超絶美少女売れっ子モデルだが実は男であることを隠しているウミ。2人のラブコメなのですが、随所でけっこう染みる発言をするので好きでしたね。2人ともモデルの仕事が大好きで、仕事に真摯に向き合っていく姿は素敵でした。
ナカとウミは絶対両想いなのにナカが鈍感すぎて全スルーなのはウケました。しかしそこまでされてわからない???とは思っちゃいますね。でもまあその掛け合いが面白いところです。ウミが完全なるツンデレで、ドSかと思いきやドMだなーと終始思います。この2人の恋愛に関してはあんまり心配してませんでした(笑)。大丈夫そうでしたからね。だんだん成長していくに従い、イラストもどんどんキレイになって、まさにナカとウミが成長していってる姿がわかります。お互いに刺激しあって、人間的にもモデルとしても大きくなっていくのが見どころだなーと思いますね。
千洋が…せつない…でも本当に良かった!
千洋がね…本当にこの物語の中ではせつなすぎます…大好きだった実羽。でも郁依の想いも知ってたから、身を引いた。そしていろんな女の子と付き合うたび、実羽が大好きだって思い知った…こういう人よくいるけど、でも悩殺ジャンキーの中での千洋は本当にかっこよくていいやつで。胸が苦しかったですね。実羽がナカと同類に鈍感でこんなやついるんかなって思いました。
でも気持ちがわかるんですよね。だって郁依のことも大好きで、2人とも本当に大切で、だから身を引くんですよ。自分が部外者みたいに悲観しちゃうけど、あとで3人が3人とも、お互いを頼りに生きてきたことがわかって、本当に良かったなと思いました。ナカとウミはすれ違ってたけど完全に両想いコースだったので、千洋がどうなっちゃうんだろうってそればっかり考えちゃいましたね。イラストもかっこよすぎるんですもん。応援せずにはいられないキャラクターでした。
苺がそんなつらそうな千洋全部を受け入れて好きになってくれて、向き合っていく姿がよかったなーと思います。千洋は実羽ばっかりが好きで、自分ばっかりが好きだったから、自分が好かれるっていう目線がなかったんだと思うんです。それが苺という一途に自分を考えてくれる人が現れて、忘れられなかった想いが溶けていったというか…この2人のことは、付き合って以降のところがあまり描かれてはいないんですが、思わずにやにやしてしまうような暮らしがもっと見たかったです。欲を言えば。
郁依がいい具合に刺激的
郁依がですね、本当に最悪な奴で。だいたい、好きなら仕事で追いつこうとせずに向き合えばよかっただけじゃんって思うんですけど…実羽も郁依もバカですよね…それで破局しちゃうとか、あり得ない。千洋の気持ちどこへ?!千洋ファンとしてはイライラするところです。そしてナカに興味を持って、こいつならって身代わりに立てようとか…最悪な奴だ。まぁおかげでウミとナカの関係性がどんどん進展していくんですけどね。もちろん恋愛的な意味だけじゃなくて、仕事をする人間としても。いろいろナカとウミにちょっかいをかけて揺さぶって、自分と実羽の姿と重ねて…ナカとウミを試しているうちに、郁依自身も変わっていく描写はよかったなーと思います。最終的には自分が考えていたものよりももっと大きくなったウミとナカを見て、がむしゃらに向かっていく・つかみにいくことが大事なんだって気づかされて…実羽のもとに走っていったときは感動しました。何で余計なことを考えていたんだろうって気づいたんですよね。大事なことはもっと単純で、好きなら好きで、ちゃんと伝えなきゃいけなかった。ここまで来るのにすごく時間はかかったけれど、その分深まってお互いを想いあえるようになって、やっと言えたんだなーって思いました。大事にしたいって気持ちはシンプルなものなのに、タイミングとかどういう言葉を使ったかとかで崩れて行っちゃうからコミュニケーションって難しいんですよね。余計なこといっぱい考えて、失敗して…まぁこうして郁依と実羽が付き合えたんだし、いいことにしましょう。真摯な思いなら、間違った方向にはきっといかないって思わせてくれました。
ウミの家族が素敵だった
ウミの家族がですね…好きでした。まず両親が素敵。キャラ設定が元暴走族組長っていうのはちょっとありきたり感がありましたが、ウミを大事に想ってるっていう描写が良かったなーと思いました。ウミの女装癖は実はこの2人によって作られていたということも驚きだったなー。ウミが声優を目指しているといって嘘をつき、実は性別も偽ってモデルをやっていたなんていうのは、今のご時世だとあってもおかしくないかもしれないですね。そのウミを受け入れて、真剣ならそれでいいって言ってやれる大人。こんな器のでかい大人になりたいものです。自分たちが暴走族とかやってたから、まじめに生きているならそれでいいって思えたのかもしれないですね。陽さんイケメンだったので、陽さんと月さんのエピソードをもっと聞きたかったです。ウミより絶対直球でラブラブなストーリーになりそうです。
そしてウミの兄弟たちのキャラがおもしろいです。ウミを溺愛している風、けなして楽しんでいる星、天、森。ただ、モデルのウミを雑誌で知っているのに違いがわからないって…あるんですかね…まあ雑誌のモデルさんって加工がすごいから、わからないこともあるか、うん。この家族の一番の活躍の場は、ウミが男かもってばれそうになったときでしたね。家族っていいなーと思いました。支えあってるってこういうことだなって。あんまり言葉がなくてもやってやろうって感じ、家族ですよね。
いろんな人に支えられて仕事ができている
中学3年生で読者モデルっていうのはこういう生活をおくっているんですかね…??わかりませんが、こんなに早いうちから仕事を持っていたら、絶対大人になったら相当器がでかくなると思いました。若いうちにこれだけ考えてるんですから。自分のやりたいこと、伝えたいこと、支えてくれる人のこと、仕事でお金をくれる人のこと。ちゃんと向き合ってたら人生相当豊かになる気がしませんか?私なんて大学卒業してから就職して、社会の荒波にもまれすぎて辛いです(笑)。小さいうちから働くということはどういうことか、真剣ってどういうことかって考えていたら、もっと見える世界違ってくるはずです。学校で勉強ばっかり教えてないで、お金の話とか働くことをもっと教えてやったほうがいいですよ、今の日本。悩殺ジャンキーを読んでそんなことまで考えちゃいました。
ここではモデルの話でしたけど、働くっていうのは決して1人だけでは成り立たないことで、相手がいて、仲間がいて、どうにかやっていけるのが仕事ってやつなんですよね。そりゃー辛いこともたくさんあるよ!自分1人だけで完結する仕事なんてないんだから。自分にとっていい人もいれば悪い人もたくさんいる。その中でやりたいことをやっていくために筋を通す。その感覚はやってない人にはわからないです。ナカとウミみたいに、笑って、なんでも乗り越えていける強さを持って生きていけたら最高だなーと思います。気づきをありがとうございます!もっと早くに気づいていたら、私も違う仕事をしていたに違いない…(笑)
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