ストーリーが最高の展開だった - サマーウォーズの感想

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サマーウォーズ

5.005.00
画力
4.00
ストーリー
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キャラクター
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演出
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ストーリーが最高の展開だった

5.05.0
画力
4.0
ストーリー
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キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
5.0

目次

健二はまさにヘタレイケメン

奥手でぼやっとしたヘタレなのに、数学だけは数学オリンピック日本代表を狙えるくらいの実力あり。もうこれだけでキャラがすごく確立されてていいですよね。そして“狙えるくらい”というのがミソで、実際にはすごいおっちょこちょいだからミスってるっていうのもおいしい。OZの暗号を解いた時も、実際には1つ間違っているっていう…だから代表になれないんだよ…そこがこの物語終盤を引き立てて、絶対がんばるんだっていう気迫をより大きく見せてくれてましたね。この展開がすごく面白かった。

同じく男勝りで奥手な夏希との関係性もいいですよね。夏希も美人なのに、おばあちゃん子なために恋愛感覚まで明治時代並みになっちゃってて…それが健二のおかげで完全に恋する乙女になるわけです。いやーよかったなー。後輩だし偽の恋人役お願いしちゃおう!っていう軽はずみな行動、絶対相手がオオカミだったらアウトなんだけど…健二だからこれだけやり取りがおもしろくなったというか。ヘタレだけど、筋は1つの事にまっすぐな一面があって、ヘタレに見えるのに礼儀の筋が通っている。で、それをおばあちゃんの栄さんも見抜いてる。だから夏希のことを託す…こういう昭和っぽいのは心に染み入るものがあります。

戦いの場は完全バーチャル空間。なのにもうその世界なしには成り立たなくなってしまった未来…これはもう現代がすでにそういうところあるじゃないですか。そしていずれ人工知能との共存でいろいろなことを迫られる時代になる。その中で人がどう生きていくか?ということを提言してくれている気がしますね。

 陣内家の描かれ方がすごくリアル

こういう格式高いお家柄って絶対あるじゃないですか。すべてがバーチャル空間で事足りるようになった時代。それでも残っている家族のつながり。世界が人工知能によっておかしくなり始めたとき、電話一本で担当者をがんばらせる栄おばあちゃん…うーんいいですよね、この展開。バーチャルな世界でのつながりと、実際の人と人とのつながりが比較されてる感じです。そして、どちらも切っても切り離せない時代になっているということを教えてくれています。栄おばあちゃんが亡くなってしまってことはまさに縮図のようなもので、人と人とのつながり消えつつあることを伝えてくれていますね。でも確かに、それを受け取って奮起できる人がいるってこと。それも同時に教えてくれています。昔の人は忘れられるんじゃなくて、未来のために誰かの心に、モノに、生かされていくということ、決してそれは消えないで受け継がれていくということ。それを期待させてくれます。もしかしたら、消えていってしまうのかもしれない・でも残っていてほしいですよね、こういう日本人らしいフィーリングみたいなものは。

はじめの健二とか若さを受け付けない感じから、人の死という部分、家族一致団結して進んでいこうとする部分…人の悪い気持ちも、善い気持ちも、全部見せてくれているような気がしました。

侘助の気持ちも複雑

侘助だって、本当は栄おばあちゃんに認められたかったんですよね。お金を奪っていったんだけど、そのおかげでこれだけのことができたんだ、褒めてほしいんだ!!ってね。それこそ現代は結果論で、結果がすべてみたいなところがあるじゃないですか。そして始まりと終わりと礼儀を大切にして結果にこだわらなかった時代もあるわけです。そのどちらがよかったのかっていうと難しいんだけど、それもあえてサマーウォーズは見せてくれてますよね。侘助すごいじゃないですか、AIの開発者ってどんだけすごいんだよ…でもね、どっかで罪の意識も持っていて、何か1つ掛け間違ってる人っていうのは、今回の物語のAIの暴走みたいなものを起こしちゃうのかもしれませんね。人として正しいことっていうのはすごく価値観が分かれるところだから難しいけれど、やっぱり人情っていうのは持っていたいものです。家族からまっとうに愛されていたら、心はひねくれることなかったじゃないですか。子どもの心っていうのはだいたいが家族によって決められるものだから…侘助みたいな人でも、憎めないんですよね。そういう描写が憎い!深いなーと思わされる!

自分が認められたくてがんばっているときは、やり方間違えると本当にこじれていくんだなと思います。自分が認められたいという気持ちから、人のために何かをしたいと思えるところに変わっていくことができたとしたら…人生の色は絶対違っていたはずですね。

夏希が侘助を慕っているっていうあたりは…ちょっと健二リスペクトなところもあったので微妙でした。個人的にはですけど。孤高でいてもらえるとすっきりしたんですが。

栄さんみたいなおばあちゃんになりたい

とにかくね。栄おばあちゃんが素敵すぎるんですよ。古臭いけど、思いやりにあふれているじゃないですか。家を守ろうというか、関わった人みんなを守ろうみたいな。自分の人脈駆使して電話一本でそんなたくさんのお偉いさんたちを奮起させられるような…どんだけ影響力あるんだよ、でもそういう人になってみたいわー…それだけ昔から、“おかげさま”の精神を大切にしてきたんですよね、栄さん。夫が腐ってようが、筋を通して子供を守って。今だったら考えられないような苦労を絶対にしていたけど、守るモノがあったからがんばってきたんですよね。昨今は我慢するのはストレスが溜まるからよくない・自由になるための道を行けって教えるじゃないですか。自由っていうのはなんだろうね?って思うわけですよ。そして何が幸せであるのか?っていうね。ストレスフリーはあり得ない。そこに信念があるかどうかの違いで、幸せになれるかどうかは決まってくるんですよね…ありがとう、そういうものを全部一気に教えてもらって気がします。

最後の最後まで、ぶっ続けで何度も楽しめる

とにかく、おもしろい作品だと思います。完全に人工知能との戦争なんだけど、全部バーチャルの空間の中。暗くはなくて、希望がいっぱいです。その時代の問題みたいなものと、未来への期待と不安みたいなものが描かれているので、じーんと考えさせられる描写ばかり。花札のシーンも、苦しくて苦しくてもうだめだと思った時に、自分のアカウントを使ってくれって言いだしてくれる人が、この地球上に1人はいて…それがどんどんどんどん大きくなって、確実な力になっていく。これまた最高ですよ!!この陣内家だけの力で勝てることはないってこと、勝つのは誰かを助けたいと思う誰かの気持ちと行動1つであることを教えてくれているわけです。ただ、一番感動したなと言いたいところは、やっぱり健二が鼻血出すほどに頭を使って計算を解いているシーン。今までおっちょこちょいでどこか抜けていることがあった彼の、本気の姿。栄さん、あなたのおかげで生まれたんですよ、健二の才能。そして間違いなく解き切る。こりゃー惚れますよ夏希さん。ヘタレイケメンの誕生です。

何かを得るために必死になるっていうことを、絶対忘れるんですよね。それほどがんばらなくてもなんでも手に入るのが今だからこそ、必死に取り組むことでしか成功はないんだよって教えてもらったと思います。最初から最後まで、どんどん変わっていく人の気持ちがリアルで爽快でした。全部読み切った後でも、しばらくするとまた読みたくなっちゃうんですよね…サマーウォーズはそういう物語です。

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