先生と生徒の恋愛に憧れる女子を格段に増加させた作品
ゆにの強烈なキャラクターが素敵
よくある先生と生徒との恋愛物語で、禁断だからこその悩みとかはそうだよね~って感じですが…この作品のいいところは、ヒロインの強烈なキャラクターですよね。黙ってればすごくかわいいのに、行動が常に奇人変人の域。馬に乗って登場とかはだいぶギャグですが、教室で紅茶入れてるって…どこかの刑事ドラマの刑事みたい。勉強ができて運動もできる女子なら、もっとかっこいい系にいくのかと思いますけど、完全に予想を裏切る展開。
このキャラクターを一言でいえば、「ツンデレ」です。なんでもできちゃう天才クールビューティーは基本的にあらゆる出来事に対してまったく動じないのですが、ハルカ先生のことに関しては全然違っていた…!無表情の裏で脳内ではハルカ先生の美貌にノックダウン状態っていう描写は新しかったですね。そうやって過ごしてるうちに英語の成績だけが落ちてしまって逆に個別指導を受けられることになるというラッキー…この辺の構成はだいぶ面白かったです。よくその先生が大好きで、その人の授業だけは完全にがんばるっていうのがセオリーじゃないですか。真逆だったのでおもしろかった。
そんな我が道だけをまっすぐに進んでいたゆにが、人と深く関わることでどんどん表情豊かになり、今まで考えてこなかった他人の気持ちだったり、自分の感情の意味だったり、そういうものを考えられるようになっていくところがよかったですね。恋愛は楽しいけど、つらいことを経験するたび、それが糧になって深くなっていく。なんでもそうだけど、恋愛はいっぱいしておくと人生豊かですよね!っていっぱいしてない私が言っちゃってすみません(笑)。
チャラい男の本気の気持ちがギャップ萌
先生側は余裕があって当たり前。特にハルカ先生なんてあまりの美貌にモテすぎて困っているという状況。そんなチャラ男にヒットしたのが変人のゆに。自分の顔につられて寄ってくる女なんていくらでもいた。それになびかない(実際には脳内でなびきまくっていたが)ゆにが、彼にとってはすごく新鮮で、攻略したくなったんでしょうね。
はじめは遊んでいただけ。でも手袋を断ったらゆにの素が見えてしまった…それ見たらもう自分がゆににはまっちゃってるって気づかされて、付き合うことを約束することになるんだけど…物語の最初では、まだそんな信じ切ってないですよね、ゆにのこと。大人の余裕で遊んでやろうみたいな。一時的な任期が終わったら、付き合ってみようって。それが、いざ別れを切り出されたらもう何なの!?ってなりますよね。自分のモノだったはずなのに…って。峰藤先生。ナイスです。もう絶対自分のモノだ!!ってプロポーズまで決まっちゃいましたからね。ハルカ先生完全に余裕ない!!萌!!
一番びっくりしたのは、元カノが女教師っていうところ。もうすでに経験済みなのかよ!!だからゆにと付き合うときも、あんなにあっさり決まったんだ…って思いました。美麗先生との終わり方がほんとに残念だったから、余計にゆにのこと、大事にしたいと思ったんだよね。ハルカ先生、かっこいいよ!みきもと先生のイラストもきれいだから、余計に美貌が際立つ…!
常にドキドキハラハラの展開
ハルカ先生の女関係がとにかく毎度毎度心配になるほど多いですね。イケメンって人生楽しいな…そのおかげでゆにはやきもちしっぱなし。ハルカ先生はそうやってゆにのクールな表情を崩すことが楽しかっただろうけど、女はいつでも独り占めしたいし、されたいのだ!愛情があってもあまりいじめないでやってほしい。
途中からは逆転で、ゆにの初恋の相手だったり的場くんだったり…ゆにのことを見て好きになる人物が現れてからはハルカ先生の嫉妬がスタート。これでいいんです、気持ちがわかったか!!恋に大人の余裕なんてないんだよ!いつでも全力投球が必要なの!!
そしてハルカ先生と父親の確執編では、完全にゆにのおかげで立ち直ることができたわけです。ここまでくると、もはやお互いの存在なしにはこれからのことを考えられない。そんなところまで愛が深まってますよね~この事件が解決されてからは時の流れがぐっと早くなりますから。それくらい、このイベントはお互いの気持ちを決定づけるものでした。
花音の話は本当に最後にふさわしいものだった
ハルカ先生と似た境遇を持つ最強の脅威・花音は、最後にふさわしかったですね。ゆにをだますこともするし、なんでもやってくる最強の敵でした…ゆにがアメリカに留学したい気持ちがあるのに、ハルカ先生と一緒にいたいからその夢をあきらめようとしてるとかそういうことを言いますからね。ハルカ先生は、同じ境遇を持つ花音に対して目をかけていたし、自分がそういう存在なら…って別れを切り出して、花音は「しめしめやったぜ…」。女、怖い。
そのあとが感動的でしたから、もういいんですけどね!!!お互い大好きなのに、お互いを想ってあきらめようとして、打ちひしがれてるお互いの姿…ハルカ先生、ゆにがいないと笑顔すら作れなくなりますか。立場ほんとに逆転しましたな~。的場くんの力もあって、ゆにとハルカ先生は遠距離恋愛になることを受け入れるんですね。当て馬みたいだけど、ちゃんと次の恋があるからね…!!近距離恋愛が遠距離恋愛に…この演出はおもしろかった。
花音だって、家庭の事情によってひねくれてただけで、心が優しいことには変わりないんですよ。人間、白黒はっきりつけれないグレーな生き物ですから、世の中で起こってしまった不幸が誰のせいなのかもわからないことだらけ。解決するには、逃げないでぶつかることしか残ってないんです。そうやって前を向いていけばいいって、しみじみ感動しちゃいました。
ラストの番外編が…最高!
個人的には、ラストのお話について語りたいです。ゆにとハルカ先生の間にはかわいい女の子が生まれていて、もう幼稚園に通っています。幼稚園の先生やほかの子たちの親御さんは、お迎えにやってくるハルカ先生の美貌にくらくらとしてます。でもこの時にはハルカ先生も前みたいにチャラくなくて、すごくまっすぐな感じ。そしてその子が語る家でのエピソードが…萌!!!!ゆにを見つめて写メってるうえにそれをなんて愛おしそうに見てるんですか…!歳をとっても好きでいる。そんな夫婦…なりたいよ!!私だって!!
ハルカ先生もゆにも、変わりましたね~…お互いに本当に表情も心も豊かになってるのが嬉しかったです。悩みの種になるのは常に人間関係のことだけれど、自分を成長させることができるのも、そういう人間同士の中だけなんですよね。勉強しても、自分の中だけで完結できることはまずないんです。そうやって成長して、幸せになるためにがんばるんですよね。ハッピーエンドにしてくれてありがとうございました!
多くの女子がこの物語を読むことで自分も先生と…なんて期待したことでしょう。映画にもなって、その人気ぶりがよくわかります。歳の差カップルも流行ってますし。リアルな世界でも、教育実習生と生徒がうまいことゴールイン…なんて話がありますから、ちょっと期待も持ったりなんかして。(ただ学生の皆さん、一歩間違うとテレビ登場ですから、本当に気を付けてくださいね。)恋して変わっていく登場人物たちを見ながら、恋っていいなーーーって思わせてくれる、そんな作品です。1つ1つのストーリーが共感できて楽しめたので、満足ですね。
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