実写化不可能と言われたコミックが最高レベルで実現 - GANTZの感想

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GANTZ

4.384.38
映像
4.75
脚本
4.38
キャスト
4.31
音楽
4.31
演出
4.38
感想数
8
観た人
11

実写化不可能と言われたコミックが最高レベルで実現

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

対照的な2人の主人公

自分が「全員を守ってやる」と豪語する玄野くんと、「みんなで協力して生き残ろう」という加藤との対照的な2人が中心となってGANTZと呼ばれる黒い球の指令のもとに、星人を倒していくというストーリーですが、対照的なのはこの2人の登場人物だけではないようです。

嵐の二宮和也さんと松山ケンイチさんのダブル主演で話題となった作品ですが、この2人の演技も対照的なものだったようです。二宮さんの場合は本番の直前までいつもの二宮さんだったのが、本番に入ったとたんに玄野くんになり、「カット」がかかるとまたいつもの二宮さんにもどるといった演技で、松山さんの場合は常に「加藤勝」を意識して、撮影中はずっと「加藤」目線での生活を送られていたようです。セリフに対する姿勢も対照的で、二宮さんは、自分にとって自然ないい方になるようにセリフの語尾などを変えてしまいますが、松山さんは一字一句変えることなくセリフを言っていたようです。しかしその対照的な演技方法についてはどちらも優劣をつけることができるようなレベルではなく、自分には到底真似することのできない演技方法だと、お互い相手に対し敬意を示していたようです。そういったことも、この2人の登場人物の対照的な部分を際立たせていたのかもしれません。

優秀なキャスト陣とスタッフ陣の最高傑作

大人気コミックが原作となっているこの映画ですが、主演の二宮和也さんはもちろん原作には登場しないキャラクターを演じた山田孝之さん、西くん役を演じた本郷奏多さんも、このコミックの大ファンだそうです。ヒロイン役の吉高由里子さんですが、この多恵ちゃんの役が決まった時には原作を読んでいなかったようですが、すぐに現時点で発行されている巻を全部大人買いして読み、一気にファンになったという話まであるほどです。実写化は難しいとされていた作品の一つのようですが、中心となるキャスト陣の演技力もそうですが、GANTZ球やGANTZスーツなど原作に忠実に再現されたセット・衣装も原作ファンを満足させていたようです。原作ファンが撮影に深くかかわっていたことで、原作ファンにある「ここは忠実に再現してほしい」というツボがわかったのかもしれませんね。

登場人物たちも個性的なキャラクターが多いこの作品ですが、このキャラクターにピッタリの役者を配役にしたのか、役者陣の演技力が高くてピッタリになっているのかわからないぐらいキャラクターに合っていたと思います。二宮・松山・吉高にいたっては撮影前に全部のセリフを入れてくるため、撮影時に台本を持ってこなくてもNGがあまりないとの高い評価もあり、本郷・山田にいたってはかなりの待ち時間があるにもかかわらず、自分の本番になるとすぐその役のスイッチが入り、すぐにOKになるといったエピソードもあったようです。

製作にかかわった人たちの話では、キャスト・スタッフともにお互いを尊敬しているのを感じさせる発言が多いのが印象的で、自分たちの仕事を全力で取り組むというだけでなく、相手の仕事に対して敬意を払うことのできる人物たちが集結したということも、この映画が日本だけでなく世界的にも話題となる作品になった要因なのかもしれません。

ヒーローとなった平凡な大学生

特に取り柄があるわけでもない平凡な大学生が、GANTZの世界を通してヒーローになっていくというストーリーですが、決して善良な人間がヒーローになっているという話ではありません。GANTZスーツを着てフライパンを曲げたり、高いところから飛んでみたりと最初のころの玄野くんは、ヒーローというよりはまるで新しいおもちゃを手に入れた子どものようです。またそれだけには収まらずGANTZスーツの威力をまるで自分の潜在能力を発揮するための道具とでも思っているかのように一気にヒーロー気分となり、自分は無敵にでもなったかのような言動になっていきます。現実世界では職も決まらず誰からも相手にされていないような人物がGANTZスーツを着ることで、星人から地球を守る正義の味方となるのです。

この作品では相対する考えを持った玄野くんと加藤を同時に登場させることで、人間の愚かさと成長が表現されています。あくまでみんなで協力していこうとする加藤の存在があることで、玄野くんのひとりよがりな言動が顕著に浮き彫りになっています。どんなに瀕死の状態でもGANTZ部屋に戻った時には無傷になって帰ってきます。また死んでしまっても100点を誰かがとったら生き返らすことができるなど、まるでゲームの中にでもいるかのようです。しかしゲームとは違いGANTZ部屋に戻るまでに死んでしまい、誰からも生き返らせてもらえなければ、本当に死んでしまいます。そのことが、弟を残して死ぬことはできないという加藤の存在があることで、死に対する恐怖を残しているのでしょう。最後加藤が死んだことで自分の愚かさを知り、また多恵ちゃんの「生きてほしい」という強い思いを聞いたことで本当の意味でのヒーローと成長したのかもしれません。

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