テンポが良すぎて深みが物足りないトラウマの作品 - クロコーチの感想

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ドラマレビュー数 1,147件

クロコーチ

4.004.00
映像
4.00
脚本
3.50
キャスト
4.00
音楽
4.00
演出
3.00
感想数
1
観た人
1

テンポが良すぎて深みが物足りないトラウマの作品

4.04.0
映像
4.0
脚本
3.5
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
3.0

目次

クロコーチ

主人の影響で見始めました。トラウマの残るドラマのひとつです。それは首を180度回転させられ、関節という関節を反対に曲げられた無惨な死体が映し出されたシーンを観たからです。一話目から随分と人が簡単に死んでしまうなあと思って観ていました。いくら何でもホイホイと銃を打ちすぎじゃないかと思ったり、演出がわざとらしすぎて心理戦が心理戦ではないぞんざいな取引シーンも多く、もう少し深く丁寧な演出にして欲しかったです。きっとこのドラマをより丁寧に描いたらワンクールでは済まないと思います。終わり方も沢渡はもういないという締め方で、まだまだこれからも続くんだよ、という終わり方でした。やはり、正義の中の悪の根絶ほど難しいものはありません。そこも考えさせられました。表の顔の効力が強い職柄で、権力も備わってしまうとやりたい放題だし、それこそ虫を殺す勢いで不要になったり不利益をもたらしそうな人物はバッサバッサと切り捨てます。こんなに人が亡くなれば現実ではそれこそ悪いことを表に出さないなんて不可能だと思いますが、やはりドラマである以上多少の無茶な演出は許されるようで、というか、私たちが知らないだけで、日々あれほど多くの人が事件で故意に殺されてしまっているのかもしれません。そう思うと、実はもっと闇は深いのではないかと目を背けたくなりました。権力は見えないものなのに、人を簡単に操れて善と悪でこうも違うのかと、ドラマの過激さとはまた違う部分で考えさせられました。

剛力彩芽さん

過去10年分の事件を記憶していて、統計的に事件性を分類、判断してしまう秀才清家さんを演じている剛力彩芽さんが可愛いです。黒河内役の長瀬さんがまたごつくて厳つくて背が高いので、より剛力さんの可愛さが際立ちます。白シャツにブルーのジャケットで、スカートを履いていつも黒河内の後をついて歩きます。その姿がまるでアヒルの親子のようで、そのシーンでドラマを観ていて少し癒されました。裏のない表だけのまっすぐな警察官の清家さんは警察の矛盾や汚職などそういったことに対する免疫が無いのでしょう。見る機会もなく、また疑うことを知らなさそうです。仕事をしていて上に潰されてしまう機会は少なからず誰もが経験することだと思います。経験されない方もいるとは思いますが、その中でもがくのではなく、今現状ここでせき止められてしまったものをどうしたら打開できるか、を次の瞬間から考えるタイプの人なんだなあと思いました。決してめげませんし、空気を読むというか学習するというか、変な意味で馴染まない清家さんは剛力彩芽さんのイメージと合っています。漫画では清家さんは男性らしいのですが、演技力云々という批評があるにせよ、私は剛力彩芽さんの清家さんが好きです。

老人ホームの運営会社

地面の中の根っこがいったいどこまで伸びていて、どの木の根っこなのか私たちからはわかりません。それと同じことが、社会の中でも多々存在していて、そして多くの人はそのことを知りません。もしかしたら何気なく使っているレストランが実は表向きは普通の会社でも、裏で糸を引いているのは知らない方がいい組織が運営しているかもしれません。もちろん、その筋の人たちですから、仲間内で面倒を見ることが安心にもなるかと思いますが、やはり報復覚悟の人生で一瞬たりとも気が休まらないでしょう。年老いてまで自分の命の価値があるとなかなか余生をのんびり過ごすのは難しいんですね。そして処理班といいますか、上からの命令に従ってターゲットを仕留める人物もいろいろなところに散りばめられているんですね。用心深いといいますか、世に蔓延るといいますか、地中に張り巡らされた根はどこまでも長く細かく伸びているんだなあと世の中のあり方を別の視点から見れた気がしました。日常生活では考えたくはありませんが。

口封じの対応の早さ

沢渡はきっともういないんでしょ、という言葉の真意は、逃亡していないのか。はたまた用済みと烙印を押され殺されてしまったのか。後者が有力ですが、所詮沢渡も駒の一つにしか過ぎなかったというのは悲しいですね。あれだけ外から揺すられ、そして内からも切り離され、たとえトップだったとしても組織の力が強くて単体になって仕舞えば上下の関係は無意味になってしまうんですね。だったら本当に何も知らないで触れずに生きていきたいと私は思いますが、自分の身を危険に晒してまで黒河内は真相究明をします。自宅でしょうか、河北麻友子ちゃんの可愛らしいお姉さんがいつも出迎えてくれる一室のドアには何重もの鍵がかけられ、監視カメラも複数台設置されています。それだけ危険な領域に足を踏み入れているんですよね。なかなかできることではありませんし、精神がもたないでしょう。黒河内は境界を超えた精神状態を常に保っています。この桜吹雪会の解体が完了した日には、灰になって消えてしまいそうです。それほど危うい状態に思えました。しかし、長瀬さんが演じているからか、パワフルでエネルギー溢れる印象が強く、心が折れそうだったり精神的に参りそうだという印象はありません。常人では無い、という言葉で片付けるには同じ人間として説明しきれないと思うのですが(架空の人物ではありますが)、それだけ過去の悔恨が根強いのでしょう。根絶やしにするまで追いかけるのか、少しだけ羽を休める時間を得たのか。解決後どうしたいのか、黒河内の考えが今ひとつ理解できずに終わってしまって、多少残念でした。

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