こわい、こわすぎるよ…『闇金ウシジマくん』
色のないマンガ
山田孝之さんが主人公で『闇金ウシジマくん』のドラマがスタートしたころ、原作がマンガだと知り、ちょっと読んでみたいなと思ってた。でも、表紙がクスリでラリってるっぽい色使いと線だったから、単行本の購入をいつも躊躇しちゃってたんだよね。
読むきっかけになったのは、某中古本販売店。その当時はまだ立ち読みが可能で(今はビニールかかってしまったけれど)、他に気になる作品もなかったし、ちょっと目を通してみて、良ければ何冊かまとめて中古本を買って行こうと思ったわけです。パラパラ~のつもりだったけど、あっという間にのめり込んだ。でも話がディープすぎて怖くて、結局買わなかったんだよね。
最初の印象は「色のないマンガ」。私の場合、大抵どんな作品のモノクロページでも「色」を感じる。たぶん、大抵の人が私と同じじゃないかな? 例えば、肌の色にしても健康そうな人は血色の良い肌色だったり、逆に不健康そうな人は青白かったり。季節の移り変わりでも春の新緑、夏の空、秋の河原、冬の草原など、その情景の「色」は自然と脳内で着色補正されると思うんだけど、この作品には全く色を感じなかった。本の中にあるのは「黒」と「白」、その2色が混ざり合った濃淡様々な「グレー」。明度はあるけど彩度がない。殴った時に流れる血の色ですら、この作品の中では「黒」でしたね。普通、赤を感じられるんだけどな。これが闇金の「闇」なのかな。
もしかして、近所にいるかも?
『闇金ウシジマくん』を読むまでは、闇金からお金を借りるのは日雇い労働者とか田舎からの出稼ぎ労働者が中心、と勝手に思い込んでた。日給で働いて、苦労やさみしさをお酒やギャンブルにつぎ込んで、生活できなくなったり仕送りできなくなったりして、仕方なく闇金に頼る、みたいなのを想像してたんだけど、1巻を読んだ後、普通に生活しているように見える人が、意外と闇金に手を出してる可能性もあるんだな、と思った。たとえば、夜遅い時間に、いかにも主婦っぽい人がパチンコ屋からトボトボと出てくるのを見ると、もしかしてこの人も闇金から借金してパチンコしてる?! 暴利な借金を抱え込んで、家庭は大丈夫なの? なんて想像しちゃうようになっちゃってました。私は超・超・超! 負けず嫌いなので、パチンコ・競馬・競輪・その他、あらゆるギャンブルは負けたら悔しいから絶対にやらないと決めています。私と同じような人や、そもそもギャンブルが嫌いな人などもいると思いますが、一方で旦那さんや子供、親・兄弟・親戚の誰かが実はこっそりギャンブルにはまっていた、なんてこともあり得るわけで、そういう人がもしかすると、自分の知らないところで闇金にはまっていたりして。
年を取った女はどう稼ぐんだろう
いつの時代も、若い女が金を稼ぐ手段は風俗ですね。親の借金のため、生活苦のために遊郭に売られたり、金持ちおやじの妾になったり。『源氏物語』でも春を売る女(売春婦)が出てくるので、本当に昔からある職業なんですね。
『闇金ウシジマくん』に出てくる若い女くんの村田さんは、借金がかさんでイメクラからデリヘル、最終的には立ちんぼにまで落ちていきます。パチンコ依存の奴隷くんの一人、加山さんは借金返済のためにパチンコ屋のトイレで売春します。本当にお金が必要な時、若い女は身体を使って金を稼ぐことができるんだね。若い上に、ちょっとでも顔がかわいいとか、おっぱいが大きいとか、付加価値があるとなお売れる! …別に、売春を肯定するつもりは毛頭ありません。じゃあ、年取った女はどうやって稼ぐんだろう? とふと思っただけ。だって、例えばカウカウファイナンスの客には加山さんよりもずっと年配の奴隷くんもいて、みんながそこそこ年収の良い旦那さんがいるわけじゃないはず。買春する男の中には、ババ専やブス専もいるかもしれないけれど、確率的にはそんなにいるとは思えない。バイトくんの池田くんみたいに山奥の現場に売られてもババアじゃ体力ないし、やっぱり保険金かけて事故に合って死ぬしかないのかな。って、それって稼いでないじゃん! そのうち私もババアの領域に足突っ込むし、そもそもかわいくないし、ボインじゃないし。ババアになっても稼げる方法、なんかないかな。
余談だけど、この作品の買春客ってみんな汚いおっさんだよね。若い女は売春でお金稼げるかもしれないけど、汚いおっさんとか病気もちとセックスするのは絶対無理。
丑嶋くんの過去が気になる
主人公の丑嶋くんって、自分の人生とお金に甘々な債務者たちに対して、厳しい目を向けたり、捨て台詞吐いたりするけど、過去にいったい何があったんだろう。まだ3巻までしか読んでないけど、読み進めるとその過去も出てくるのかしら。人の頭めがけて金属バットをフルスイングできるんなら、相当精神病んでるよね。ウサギを山ほど飼ってるっていう設定も怪しさ120%。うーん、気になる!
話がディープに怖くて、読みづかれしちゃう作品。でも「他人の不幸は蜜の味」とはよく言ったもので、体力が回復したらまた読みたくなっちゃうんだよね。こんな自分がこわい、こわすぎる。
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