名作の映画 - ソフィーの世界の感想

世界的ベストセラー

非常に長い小説を映像化したものなので、本を読む時間がない人にちょうどいいです。細かいエピソードが抜けている代わりに、お話全体の面白さがかえって味わえました。謎が多いので、何と言ってもラストが重要で、途中で眠くなっても、ぜったいに最後まで見てほしいです。哲学など難しい内容もありますが、話が分からなくなることはありませんでした。本当にこの作品一作で終わってしまう内容なので、原作者のアーティスト魂が伝わってきました。私は難しい哲学の知識の部分よりも、この作品のストーリー展開がすきです。美しいコラージュを見ているような気分になります。

ソフィー

ソフィーがとにかく魅力的です。そんなに子どもでもないし、大人でもない。だからこそ、ミステリーの物語の主人公としてぴったりだと思いました。男性でも、女性でも、感情移入できる主人公ではないでしょうか。最後泣きそうになるのですが、ソフィーくらいの年齢の子がおそらくほとんど持っている、未来に対する突き抜けた希望が、結末を明るくしています。悲しくて切ないのに明るい、がこのお話の最大の魅力で感動するところです。またソフィーがけっきょく架空の人間であったことも、ソフィーが悩みを抱えつつも、ふわふわとしていて葛藤がなく見える理由です。お母さんや友だちのキャラクターなども、なんか異様なほどにエキセントリックで風変わりなのですが、最後にやっと意味がわかります。ソフィーの体験を通して、死に対して、生に対して、今よりもっと明るくなれるお話です。

映像化

なんとなくパッとしない映画なのかもしれませんが、私はそこが好きです。ファンタジーやミステリーなのに、普通のドラマのような撮り方なのも肩の力が抜けて良いです。そのせいで結末がよけいにびっくりしました。俳優さんも、私の知らない人ばかりで、お話に集中できました。ノルウェーの家や物のデザインがとてもきれいで、それだけでも見る気がします。ファンタジーのシーンと、現実のシーン、の対比がきつすぎないのが良いです。ファンタジーと現実がうまく繋がっている。だからこそ最後に現実がファンタジーだと分かった後も、違和感なく見ることができます。あまり大々的な作品にしなくても、素晴らしいファンタジーを撮ることはできるんだな、と思いました。そのわりに途中に出てくる古代の人物の映像など、とてもリアルに撮っている気がしました。セットもリアルです。