主人公がはまりまくっている傑作
かつてない緊張感・恐怖感
麻薬にからむ撃ち合い事件で、金をせしめた男とこれを追う殺し屋、そして平穏な警官という三者の話を描いていくというのが作品の筋ですが、とにかく、主人公の殺し屋が信じれないくらいに怖かった。無表情で無敵で、一直線で、微動だにせず。大げさな話、今にも自分のところに来そうなくらいのすべてを超越した怖さがあった。
もちろん、映画全体の構成が功を奏しているのかもしれません。とにかく、いつ、この主人公が画面に出てきて、どんな殺しをするのかと思うだけで、ハラハラドキドキした。
思えば、これまでにない緊張感というか、恐怖感だった。
これまでにない恐怖映画
冷静になって考えるとコーエン兄弟は何を言いたかったのだろうかと思います。もし勝手に考えるなら、これまでになかった恐怖を描きたかったんでしょうか。私たちが想定内で考える恐怖の映像、動画、ストーリーという部分にはない映画である気がしてしょうがありません。そして、それをこの主人公のハビエル・バルデムで描こうとしたのではないでしょうか。ハビエル・バルデムを見て、この映画の着想を得たのだとしたら、それはそれで、大したセンスだと思います。
この恐怖は、「獲物」への近づき方なのか、殺し方なのか、画面の構図なのか、アングルなのか、暗さなのか、音楽なのか、といろいろ考えさせられます。でも、結局、ハビエル・バルデム以外の俳優がやればどうだったかを考えると、彼以外だった場合に、たとえ、デニーロだろうが、ニコルソンだろうが、ラッセル・クロウだろうが、この役をやっていても全く追いつかないと断言できます。
唯一無理の適役
ということはハビエル・パルデムは唯一無二の役を得たとも言えるし、この映画もまた彼という唯一無二の役と出会ったということも言えるのでしょう。
とにかく、のっけから、この男をやっつけられる気がしないのですから、怖いです。トミー・リー・ジョーンズだって、やっつけられないだろう、いや、むしろ、いつやられるんだろうという、余計な恐怖さえ感じます。恐怖倍増で。彼と出会う人、出会う人に同調し、同じような恐怖を私たちが感じるのです。
思うに、こんな適役に出会ったら、これ以上の役柄をできないのじゃないかと心配してしまいますね。まあ、余計な御世話ですが。一世一代の当たり役。
こんな風に書く内にももう一度見たくなってくる映画ですね。まくらとかクッションで自分を防御しながら。
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