もっと発展させることができたはず
低級感がわさわさのB級映画
ストーリーは博打で組織に迷惑をかけた代わりに無実の罪で刑務所に五年服役したチンピラが、両親のもとへ行くというところから始まります。両親には自分が政府関係の仕事をしていて遠く離れていたことや妻がいることを伝えていたため、手ごろな女を半強制的に連れて行くのでした。そして昔から一方的に好きだった女に遭遇したり、自分を裏切った男を殺そうとたくらんだりするのですがが、結局出会ったその女との愛に生きようと決める。という、まあ、反省ものというか、人生あきらめもの(この辺で手を打とうかなという)の作品です。
のっけから低級感がわさわさと漂っていて、いわゆるB級ムービーに属する映画です。ロードムービーというほどには、場所は移動しないのですが、主人公の動きとその女のたたずまいが結構な深さで印象に残ります。
ストーリーの絞込みもよくて、静かな映画に仕上がっていて、ビシッとした部分もあって、まずまずよかった。音楽がほとんど流れてこない。失笑をさそうところもあった(二人で写真を取る場面)など、この程度といえばこの程度です。
映画として製作する必要性に疑問
ただ、映画として製作する必要性や意義があったのか、となれば、この映画の監督あるいはプロデューサーにとって以外にはなかったのではないかという気がします。あるいはこの主人公か、誰か俳優がデビューあるいは飛躍するために作った映画なんだ、と言われたら、思わず納得してしまうでしょう、そんな映画です。一般の人にはあってもなくてもいい映画と思える。
アメリカ人なら共感できる映画なのか
もちろん、アメリカ人なら共感出来る、普通の人々やぐれた人々に起こりうる人生の物語ということかもしれません。そういう部分があるとないとでは、全然この作品に対する感じ方が変わってくるのかなと思います。もっともっと派手なアクションとか、殺し合いとか、脅しあいとかすればいいのに、と思う人はエンタメ系が好きな人だろうし、もっともっとイライラ感やどなりちらしたり、心情吐露したりなど、人間模様をあぶり出す映画にするべきだったと思う人はドラマ好きな人だろうと思いますが、どちらかといえば、この映画は後者をもっと掘り下げて作るべきだったのではないかと思います。
あえて、話題にならないように、(他の作品を)邪魔しないように作られたんじゃないかとさえ疑いますね。本当にそういう意味では地味な映画です。ただ、見ていて退屈ではなかったというのが救いです。
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