恐怖にもツボってあるんじゃない?
結論からいえば…
なんか清水崇って有名な監督だけどみたことなかったし、すこぶる好きな満島ひかりもでてるし、まあみるかという軽いノリで「ラビット・ホラー」をみたわけだけれども、見終わった直後、あの有名な彫刻のように、僕は固まって考え込んでしまった。
ロダン、考える人。そもそも、恐怖とはなんなのだろうか?うん、まさにこれぞ哲学。考える私。
まあ、はっきりいってしまえば、ホラー映画なのに「ホラー」なんてタイトルがついてる時点でお笑い芸人なのに、「お笑い芸人」みたいな名前つけちゃう類のダサさが感じられて、その予感が的中して、まあつまり全体としては満足のいく恐怖を味わえなかったんだけれど、ある1つのシークエンスにはちょっと、良い感じな嫌な感じがあったわけで、てか、めっちゃ怖くて、それは、まさにキング・オブ・コメディなかんじだったわけです。
意外な恐怖シーン
恐怖シーンっていえば、鮮血が飛びちるゴア表現みたいなものを連想しがちだけど、今回はさらっとウサギちゃんが死んじゃう程度だし、そういうのは案外慣れる。
この映画でのbest of恐怖は、意外や意外、非常にとりとめのないシーンだったのだ。
3D映画をみていたら、自分の弟がスクリーンにに吸い込まれちゃう。
これである。
「3D映画で3D映画をみちゃう」っていうそのテクニカルな入れ子構造・メタ感はちょっとしたリアルがある。
映画館で、もしも隣の友達、あるいは自分、またあるいは前の席の全然知らないおっさんがスクリーンに吸い込まれちゃったらって想像したら、いやこれはマジで冗談じゃない、笑えねえよ、こえええええよ、ってどうすんだよ、いやだ、って気持ちになったわけで、考え込んでしまったわけです。
なにが一番怖い?
まあ、それで家に帰ってからちょっと考えて、それでちょっとした結論がでた。
笑いにもツボがあるように恐怖にもツボがある!これである。
カルトなお笑い芸人がそれ笑っていいの?っていうことをするように、ええ!!?お前そんなことに恐怖を感じてるの?っていうことなんです。恐怖の「作り手」のひとたちはそういう感覚が普通の人よりも鋭敏で独特なんじゃないのかな。
たとえば、有名なほかの作品でいったら中田秀夫監督の「リング」。
テレビの画面から幽霊がでてくるっていう有名なシーンがあるけれど、あれ思いつくのどんな発想力だよって話。
普段から「テレビは怖いもの」っていう、恐怖のツボがないとあんなこと思いつかないよ…。
しかも、すごいのは実際あれ見たら僕たちもしばらくテレビ怖くなっちゃうってこと。
つまり、それって実は僕たちにはテレビっていう不思議なテクノロジーに対する特有の違和感、恐怖のツボがあるってことで、僕たち凡人にそのツボを「発見」させちゃうわけ。
普段実はこうおもってるでしょ、君自身は気づいていないけどね。
だからホラー映画ってのは、実は僕たちのまわりは「恐怖」で埋め尽くされているのだということを、再発見させる優れた道しるべなのかもしれない。
そう考えると、ホラー映画の監督こわっ…。
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