私の体験に基づく気持ち
十代の心の渦
自分は特別なのか?自分なんていなくてもいいのではないか?誰もが一度は思ったことがあるのではないでしょうか。読者モデルの主人公夏芽と資産家の家の長男でやりたい放題の航一郎、二人が互いを刺激しあう中、自分の中で心の変化がおこる。「もうこの人しか見えない」中高生の頃、よく思いました。そのため道を踏み外したこともあります。その時の気持ちがよみがえってきたような、その時に戻りたいような、懐かしいようでもどかしいようなそんな気持ちになりました。だれかに認められることっていくつになっても嬉しいものですよね。十代のころは、誰でもない、自分の好きな人に好きだと言ってもらえる、求めてもらえる、それが認められると思っていました。自分がこの世で一番幸せで特別なんだと思ったものです。
突然の絶望と別れ
読者モデルの夏芽にふりかかる災難。それを期に二人の道は別れ始めてしまう。別れても意識してしまう。だって一時期はそれはもう特別だったから。でももう交わることのない道。嫌いは好きの裏返しとはよくいった言葉です。キライキライと思っていても心のどこかにいる気持ち。押さえるわけではないけれど自然にあふれでてしまう。まさに素直な十代ならではの心情じゃないでしょうか。夏芽は別に彼氏ができるのですが、それでも心には航一郎がいたんですね。私はそれは裏切りとは思いませんが、その年頃の子たちにとっては、ものすごい罪悪感でしょう。読み手のこっちも胸がキリキリするような気持ちで読んでしまいます。ただ、夏芽の友達?が存在薄かったかな?思い出が濃いのも十代。生涯の友達ができるのも十代だとおもいます。夏芽にはそんな友達もできてほしかったなあと少し思いますが、あくまでも航一郎との話がメインなのでサクッと描かなかったのかなあ。
幸せというのは自分の気持ち次第
結論から言うと、二人は初期の気持ちを取り戻して結ばれます。ただ、結ばれることでたくさんの犠牲がうまれました。結局二人はたくさんの人の業の上で生きていくということなのではないでしょうか。私は二人が初期の気持ちを取り戻してくれてホッとしました。暴力で解決する人、人を陥れる人、殺人をおかす人、いろいろな悪い人がこの世にいるけれど、生まれたときは皆同じ。どこかでねじれ、こんがらがってしまうのですね。賛否両論あると思いますが、全体的にみてこの作品は私は大好きです。まさに十代の女の子に読んでほしいと思いました。私も十代のころにこの作品に出会っていたら、人生の軌道修正ができたし、してあげられたかもしれません。
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