アンドロイドの人権問題 - イヴの時間の感想

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イヴの時間

4.424.42
映像
4.38
ストーリー
4.75
キャラクター
4.00
声優
3.75
音楽
3.25
感想数
4
観た人
4

アンドロイドの人権問題

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

人間と変わらないロボット

「イヴの時間」というアニメ作品においては、外見が人間と見分けがつかないロボットが登場することが印象的です。
そして、人間のお手伝いとして存在するロボットが、喫茶店「イヴの時間」では、人間とロボットの区別なく接している特別な空間となっています。アニメ本編における背景も特殊なら、描かれている世界観や登場人物も特徴あるアニメ作品なのではないでしょうか。とても不思議で斬新なアニメ作品だと思います。特に、不思議に思うこととして、この「イヴの時間」というアニメ作品は、どのジャンルに分類されるでしょうか。宇宙区間を背景としていませんが、ロボットの存在は、少し未来を想像させるものなのでSFとはいえるのかもしれません。ただ、世界観は遠い未来というより、少し先の未来という感じでSFらしい作品とはいえない気がします。ロボットものといえば、ロボットものなのかもしれません。しかし、ロボットものといえば、巨大ロボットを指すのが一般的なロボットもののジャンルのだと思います。恋愛要素が強いわけではありませんので、ラブコメでもありません。そして、間違いなく時代劇に分類されることはないでしょう。むしろ、方角は昔ではなく、未来の方角です。当然のことながら、スポーツものでもなく、ギャグアニメでもありません。なんとなく、どこに分類されるのか、悩んでしまうアニメ作品だと思うのです。だた、アニメ本編における物語の本質を考えるなら、人間ドラマのような気はします。ロボットの存在は、さも人間のように悩み、苦しみ、人間とコミュニケーションをとっているように思います。ロボットといえど、とても人間に近い存在であり、ロボットを人間として捉えるなら、アニメ作品「イヴの時間」は人間ドラマのように思います。アニメ作品における人間ドラマというのも珍しい物語のように思えます。人間ドラマを描く専売特許といえば、どちらかというと、アニメという媒体ではなく、実写ドラマや実写映画だと考えられます。本当に特殊な背景を描いたアニメ作品であり、他に類似しているアニメ作品を思い浮かべることができません。

リクオとマサキ

「イヴの時間」主人公のリクオ、そして親友のマサキは、ロボットに対して、トラウマがありました。そのトラウマから、ロボットに対しての接し方が横暴であったり、冷たい態度になって表れていたように思います。ロボットに対する言葉や態度で、観る側をアニメ本編に引き付けられるものがありました。世界観や背景を考えるなら、便利な世の中だと思う反面、リクオとマサキのロボットに対する態度は明らかにトゲがあります。何かしら事情を抱えており、態度に出ていることが明らかだったように感じました。ただ、ロボットに対する悪態は、人間性の本質部分の表れなのではないでしょうか。現実社会でいえば、サービス業に従事するスタッフと客との関係性に似ているように感じました。客にも色々なタイプの方がいらっしゃいます。サービスする側のスタッフにもお気遣いできる客、横暴な態度をとる客、会話やコミュニケーションすることを避ける客、様々なのではないでしょうか。ロボットというものを通して、描かれている関係性は、そこに近いものを感じました。そして、喫茶店「イヴの時間」を通して、ロボットの人間らしい部分を描かれていることで、サービス業におけるスタッフと客の図式が強くなったように感じられました。

考えさせられる未来図

「イヴの時間」を、あくまでアニメ作品の物語と片付けますか?私が個人的に感じたのは、そう遠くない未来に、こんなロボットが実在のものとして現実社会に登場しそうな気がしました。少なくとも、「Soft Bank」のペッパーくんは、非常に「イヴの時間」におけるロボットに近いものだと考えられます。また、ロボットによる二足歩行も実現されている技術です。20年後には、本当に「イヴの時間」に登場したようなロボットが現実のものになるのかもしれません。私自身が思うに、ロボットの存在が実現されれば、結婚率はもっと下がるように思います。人間をサポートしたり、守ることを前提としたロボットの存在があれば、生涯のパートナーはロボットで充分のように感じる人は多いように思います。コミュニケーションができれば、寂しさも解消され、結婚したいという気持ちは弱くなるように思います。結婚率が下がれば、出生率も下がり、人間の人口も下降していくように思います。また、人間社会の仕事においても、変化するのではないでしょうか。肉体労働や力仕事というものは、ゼロに近い状態になるように思います。それにより、失業率も上昇するでしょうし、良いことばかりでもない気がします。遊んで暮らせる社会になれば良いですけど、そうは単純でもないように思います。そんなに遠くない、近い未来の姿を考える機会になったように思います。

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他のレビュアーの感想・評価

近未来SFロボットアニメを観て

細かなところまで徹底されたリアルさSFアニメは近未来が舞台になることが多いが、このアニメもそうである。しかし、その中でも「イヴの時間」は徹底された「日本の近未来感」が際立っている。例えば、家庭用アンドロイドに依存する「ドリ系」と呼ばれる人々や、費用がかかるのを避けるため古くなったアンドロイドを不法投棄する人々の発生、倫理委員会の設立などこのアニメには同じ近未来でも、「日本」に起こりそうな問題が多い。特にそう感じたのは、劇中のテレビのCMで突然トマトから機械の類が飛び出し、その後に一言、「ロボットが栽培したトマト、あなたは食べますか?」と尋ねられるところだ。ストーリーの他にこのような細かい技が組み込まれ、製作者たちのセンスが光る。これらの将来本当に起こる気がさせられるリアリティには引き込まれる。「ロボット三原則」「イヴの時間」に多出し、このアニメのテーマにもなっている「ロボット三原則」は...この感想を読む

4.04.0
  • 肴野栄一肴野栄一
  • 167view
  • 1090文字
PICKUP

心に残る作品。

頭の上にわっかをつけて、充電をして、質問をしたら正確な答えが返ってきて雑用をしてくれる。アンドロイドのサミィは、勿論人間ではないしそれはイヴの時間に来てる他のアンドロイドもそうなんだけど、イヴの時間にいるアンドロイドは、頭にわっかがなくて話し方も人間の様な喋り方。ここでは、人間とアンドロイドの違いが全く分からなくて、ここの空間のルールが外の世界でも適用されたら、もっと隔たりがなくて、機械と人間だけど心を通わすことが出来るのに…。でも、アンドロイドを人間の様に扱うのはご法度な世の中。なんで、心を通わせたらダメなんやろ?情を持ったって、いい影響をし合うのなら、アンドロイドというだけでダメな理由にはならないと思う。めちゃ古い旧型機のカトランの回が、笑えて泣けた。1話分しか出てないのに、インパクト大!笑一生懸命人間のふりをして、古いから対応が出来ないだけなのに、それをお茶目で愛嬌があると思わせて...この感想を読む

4.04.0
  • しろねこしろねこ
  • 91view
  • 807文字

大好きな作品です。

OVAも映画も見ました。何度も見返しています。それほどに好きな作品です。この作品の一番の魅力は現実に起こりうるかもしれないというリアル感だと思います。私が一番リアルだなぁ、と思ったのは、序盤ででてくるテレビ。国内の食料自給率が8割を超えたというニュースで、それは人ではなく機械がやっているからというもの。そのあとにチャンネルを変えたら「機会が作ったトマトを食べますか?こんな時代にこそ、ぬくもりを」というようなCMが流れます。そこで一気に引き込まれました。いかにも、この国の未来にありそうだなぁ。あの会社あたりが作りそうなCMだなぁ、と。第三者で見てると、リクオのサミーの自分の命令以外のことをしている、ということに怒りを覚えるシーンなど、なんで!?と思いがちでしたが、リクオの気持ちになれば確かに感情を持つはずのない、今までただ命令を聞いてるだけだったアンドロイド(家電)が知らないところで人とコミュ...この感想を読む

4.74.7
  • ゆうきゆうき
  • 74view
  • 841文字

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