アンドロイドの人権問題
人間と変わらないロボット
「イヴの時間」というアニメ作品においては、外見が人間と見分けがつかないロボットが登場することが印象的です。
そして、人間のお手伝いとして存在するロボットが、喫茶店「イヴの時間」では、人間とロボットの区別なく接している特別な空間となっています。アニメ本編における背景も特殊なら、描かれている世界観や登場人物も特徴あるアニメ作品なのではないでしょうか。とても不思議で斬新なアニメ作品だと思います。特に、不思議に思うこととして、この「イヴの時間」というアニメ作品は、どのジャンルに分類されるでしょうか。宇宙区間を背景としていませんが、ロボットの存在は、少し未来を想像させるものなのでSFとはいえるのかもしれません。ただ、世界観は遠い未来というより、少し先の未来という感じでSFらしい作品とはいえない気がします。ロボットものといえば、ロボットものなのかもしれません。しかし、ロボットものといえば、巨大ロボットを指すのが一般的なロボットもののジャンルのだと思います。恋愛要素が強いわけではありませんので、ラブコメでもありません。そして、間違いなく時代劇に分類されることはないでしょう。むしろ、方角は昔ではなく、未来の方角です。当然のことながら、スポーツものでもなく、ギャグアニメでもありません。なんとなく、どこに分類されるのか、悩んでしまうアニメ作品だと思うのです。だた、アニメ本編における物語の本質を考えるなら、人間ドラマのような気はします。ロボットの存在は、さも人間のように悩み、苦しみ、人間とコミュニケーションをとっているように思います。ロボットといえど、とても人間に近い存在であり、ロボットを人間として捉えるなら、アニメ作品「イヴの時間」は人間ドラマのように思います。アニメ作品における人間ドラマというのも珍しい物語のように思えます。人間ドラマを描く専売特許といえば、どちらかというと、アニメという媒体ではなく、実写ドラマや実写映画だと考えられます。本当に特殊な背景を描いたアニメ作品であり、他に類似しているアニメ作品を思い浮かべることができません。
リクオとマサキ
「イヴの時間」主人公のリクオ、そして親友のマサキは、ロボットに対して、トラウマがありました。そのトラウマから、ロボットに対しての接し方が横暴であったり、冷たい態度になって表れていたように思います。ロボットに対する言葉や態度で、観る側をアニメ本編に引き付けられるものがありました。世界観や背景を考えるなら、便利な世の中だと思う反面、リクオとマサキのロボットに対する態度は明らかにトゲがあります。何かしら事情を抱えており、態度に出ていることが明らかだったように感じました。ただ、ロボットに対する悪態は、人間性の本質部分の表れなのではないでしょうか。現実社会でいえば、サービス業に従事するスタッフと客との関係性に似ているように感じました。客にも色々なタイプの方がいらっしゃいます。サービスする側のスタッフにもお気遣いできる客、横暴な態度をとる客、会話やコミュニケーションすることを避ける客、様々なのではないでしょうか。ロボットというものを通して、描かれている関係性は、そこに近いものを感じました。そして、喫茶店「イヴの時間」を通して、ロボットの人間らしい部分を描かれていることで、サービス業におけるスタッフと客の図式が強くなったように感じられました。
考えさせられる未来図
「イヴの時間」を、あくまでアニメ作品の物語と片付けますか?私が個人的に感じたのは、そう遠くない未来に、こんなロボットが実在のものとして現実社会に登場しそうな気がしました。少なくとも、「Soft Bank」のペッパーくんは、非常に「イヴの時間」におけるロボットに近いものだと考えられます。また、ロボットによる二足歩行も実現されている技術です。20年後には、本当に「イヴの時間」に登場したようなロボットが現実のものになるのかもしれません。私自身が思うに、ロボットの存在が実現されれば、結婚率はもっと下がるように思います。人間をサポートしたり、守ることを前提としたロボットの存在があれば、生涯のパートナーはロボットで充分のように感じる人は多いように思います。コミュニケーションができれば、寂しさも解消され、結婚したいという気持ちは弱くなるように思います。結婚率が下がれば、出生率も下がり、人間の人口も下降していくように思います。また、人間社会の仕事においても、変化するのではないでしょうか。肉体労働や力仕事というものは、ゼロに近い状態になるように思います。それにより、失業率も上昇するでしょうし、良いことばかりでもない気がします。遊んで暮らせる社会になれば良いですけど、そうは単純でもないように思います。そんなに遠くない、近い未来の姿を考える機会になったように思います。
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