手塚治虫らしさを感じない - 手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しくの感想

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手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく

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手塚治虫らしさを感じない

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
5.0
音楽
5.0

目次

美しい映像クオリティー

作品タイトルに「手塚治虫の~」と入っているから、手塚治虫のアニメ作品だと分かります。しかし、それが入っていなければ、手塚治虫のアニメ作品だと気付かなかったと思います。手塚治虫のアニメ作品は、画風が独特なので、すぐ気付くことができます。しかし、この「 手塚治虫のブッダー赤い砂漠よ!美しくー」という劇場版アニメにおいては、その「らしさ」を感じられないアニメ作品に仕上がっています。主要な登場人物は、美男美女で構成されていることも、「手塚治虫らしさ」を感じられない要素なのかもしれません。そして、映像クオリティーにおいても、非常に美しいです。スタジオジブリのアニメ作品と見劣りしないレベルの完成度だと感じました。やはり、今のアニメにおける映像技術は凄いです。手塚治虫アニメといえば、「三つ目がとおる」や「火の鳥」などを思い浮かべますが、比較してしまうと天と地ほどの差が感じられてしまいます。今の映像技術で、改めて過去の手塚治虫アニメをリメイクしてほしいと思うほど、「 手塚治虫のブッダー赤い砂漠よ!美しくー」の映像の美しさは素晴らしいものだと感じました。

二人の主人公

「 手塚治虫のブッダー赤い砂漠よ!美しくー」という劇場版アニメでは、二人の主人公が存在していました。奴隷の身分であるチャプラと、王族のスッドーダナです。二人がどのように関わっていくのか、気になる部分でした。しかし、ほとんど関わることなく、物語は締め括られました。率直な感想として、ある意味、驚かされる展開でした。それぞれ別に描いても、物語としては成り立ちます。場面を変え、二人の主人公を交互に描くことで、同じ世界で二つの物語が展開されています。こういった物語の構成にどのような意味があったのでしょうか。それは、チャプラとスッドーダナは対称的なキャラクターであり、両者を比較しながら観ることで、面白みが増すように思います。二人の身分は、奴隷と王族であり、最上位と最下位と言い替えることができます。また、生きる為に現実を直視するチャプラと、理想を追うスッドーダナでは対称的な方向性だといえます。出世欲が明確に打ち出されたチャプラと、解消されることのない疑問を抱き続けるスッドーダナが印象的でした。チャプラにおいては、出世欲が打ち出されていたことにより、最下位から上位を目指した存在と考えられます。スッドーダナにおいては、解消されない疑問から、最上位から下位を目指した存在だと考えられます。それぞれの立場の違いから、目指している場所や方向性も対称的だと考えられるのです。そして、辿り着いたゴールも対称的だったように思います。身分を乗り越えることはならず、命を絶たれてしまったチャプラは可哀想でした。身分を捨て、旅立ったスッドーダナは希望に満ちた未来を感じさせるものでした。チャプラの存在が、スッドーダナの存在を引き立てていたように感じられます。

二人の非凡性

対称的なチャプラとスッドーダナは、お互いがお互いを引き立てていました。しかし、対称的であることが目立つチャプラとスッドーダナにおいては、少なからず共通点もありました。まずは、両者の非凡性は凄いものだと思います。チャプラも、スッドーダナも、天才と呼べるほどの才能を持ち合わせた存在で、甲乙つけ難いものではないでしょうか。チャプラは、腕っぷしの強い人物ではありませんでした。むしろ、物語冒頭では、叩きのめされていることが多かったです。しかし、明確な目的意識をもつことで、凄い成長を遂げました。その部分から、チャプラから断固たる決意というものを強く感じられます。しかし、決意があったからといって、それだけで強くなれるものではありません。しかし、武闘大会で優勝するほど、立派な成長を遂げています。特に、武闘大会でチャプラの戦った相手は、チャプラより体格の良い相手ばかりで、容易に勝てるものではないです。格闘技における体格差というのは、相当に大きなハンディキャップです。しかし、その中で、優勝している事実というのは、チャプラの非凡さが表れていると思うのです。また、スッドーダナにおいては、一般人とは感覚の違う人物像として描かれていました。一般人が疑問に思わないことに着眼点を置ける人物というのは、まさに天才なのだと思います。歴史の偉人であるエジソンは、「1+1=2」を理解できなかったことで有名です。また、ニュートンは木から落ちるリンゴに疑問をもつことから、重力という偉大な発見をしています。一般的には、馬鹿に映るスッドーダナですが、エジソンやニュートンと同様に一般人とは違った感覚をもった人物だったのは、明らかなのではないでしょうか。チャプラにおいても、スッドーダナにおいても、天才と呼べる存在なのです。また、チャプラとスッドーダナは、それぞれ恋愛要素が描かれていました。しかし、恋愛の先に待っていた結末は、目を覆いたくなるほど、悲惨なものだったと思います。天才といえる両者ですが、恋愛には恵まれなかった存在だといえるのです。そんな共通点があるからこそ、対称的な部分が際立つのかもしれません。
 

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