笑いとサスペンスの大傑作です
笑いとサスペンスの見事な共存
ナチス占領間近のポーランドの劇場一座と、ハムレット劇、夫婦俳優で主演俳優と女優、女優に恋いこがれる兵士、と、スパイ、ばれるばれないなどをおりまぜたスクリューボール・コメディですね。
まあ、とにかく一つの作品の中に、笑い(基本ベースはコメディ)とサスペンス(ばれないか?殺されないか?)が見事に共存している映画って、そうはないのはないでしょうか。この作品は見事に両方をいけてます。
劇団と劇団員を駆使して大きなペテンをしかけ、本物のナチスを騙して逃亡していくという、すごい仕掛けを行っていくのですが、それだけで十分、ストーリーとして成り立っていくはずなのに、お笑いの部分もまぜているところが秀悦。ブラックコメディといえばそれまでなんでしょうけど。
印象的なシーンが展開
めくりめく人の入れ替わりのシーン、何か困れば「ヒットラー万歳」と手を挙げるシーン、女優の誘惑でナチス幹部をそそのかすシーン、若い兵士と女優との淡い戯れ(ベッドで待つ、楽屋で待つ)、パラシュートの降下、ウィーンの街の再現、最後の劇場、劇場のトイレへの突入、などなど、印象的なシーンがたくさんあります。
本当に凄い。展開がページをめくるように次から次へと動き、大笑いする部分もたくさんあります。これでもかこれでもかという展開。
独白のシーンが何度でも笑える
なかでも最高なのが、主演男優が作品のなかのハムレット劇中、超有名な独白の場面で、観客が立つシーンはいつ見ても笑えます。「生きるべきか死ぬべきか」というセリフ(そう、この作品のタイトルになっていますね)は、ハムレット劇の見せ場中の見せ場。それを男優が言い出した途端、観客の一人(若い兵士)が席を立って出ていく。男優は信じられない思いです。うそだろ?っていう顔をします。もっとも、これは男優の妻で看板女優のいじわるが入っていて成立しているわけですが(つまり、夫である男優がそのセリフを言い始めたら楽屋に来てちょうだいと兵士に言っているため、兵士は立ち上がるわけ)、男優の表情が本当に笑えます。そして自信喪失、落ち込みます。このシーンだけでもこの作品の価値があると言ってもいいかもしれません。
モノクロで今見ると古いと言って敬遠されるかもしれませんが、これは何度でもリメイクしてほしい映画です。舞台に合うのかもしれませんが、まあ、キレがあって、すばらしい。本物のナチスとの絡みはどのシーンも高い緊張感を醸し出しますし、そんななかに笑いを挟み込む。何度でも見たい傑作です。
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