家族の形と絆 - オヤジぃ。の感想

私の父親は働く事が困難な精神病でした

田村正和を中心にその家族がもたらす様々な出来事とそれによって家族の深い絆を再確認できるような内容です。父親が医者だなんて家族はどんな気持ちだろう。私の父親は病気が原因で働いていなかったので、常に忙しくしている父親がしっくりときません。でも一般的に考えたら男性が働きに出ている家庭が多いのだろう。私の家族はみんな父親が家にいる事が当たり前でした。この作品のような雰囲気を感じる事は出来ませんでした。だからこそ展開が気になりずっと見ていたくなるような気持ちでいっぱいでした。私の家庭の形は珍しいからこそ、この作品を誰よりも新鮮な目線で見る事ができたと思って何だか得をしたような気持ちでいっぱいでした。父親が家庭を支え、母親が家事をこなす風景が私にはとても珍しいものに見えたのです。友人はこの作品を見ては、分かる！分かる！と声を揃えて笑っていました。私にはさっぱり分からず、母親が家にいつもいるのはこんな感じなんだと真剣に感じていたのです。

いつからか自分の家庭は他と少し違うと感じる様になりました。母親は、いつも疲れたといいながら帰ってきては直ぐにシャワーを浴び、父親が作った料理を美味しいと言いながらいつも食べていました。私と妹もそれを見て変だとは思わなかったし、それが普通だと思っていました。オヤジいのような父親ではなかったけれど、一生懸命家庭を守る父の姿を姉妹で見てきました。だから、ウチのお母さんはお父さんなんだと理解していました。そんな話を友達にすると小さな町だったので噂はすぐに広まりました。ウチのお母さんは実は男だというデタラメな噂が飛び交い大変な思いをした事を覚えています。そんな事も今では楽しい思い出です。笑って話せる今の状況に、両親から大変大切な何かを教わったような気持ちなりました。

ただ居てくれる事で安らぎを感じる場所

例え病気でも元気に生活している父親は子どもたちを笑わせるのが大好きでした。いつも一緒にテレビを見ていました。母親の帰りが遅くなる日には、布団に潜り込んで絵本を良く読んでくれました。そんな母親らしい父親が大好きでした。学校の参観日には母親が仕事がどおしても休めなくて父親が来てくれました。父親は、他のお母さんたちに囲まれて少しいづらそうにしていたので私は幼いながら参観日は大嫌いでした。

人の生き方は、その人自身が決めていく。私の両親はこの作品の家族環境とは違っていました。それでも私の家族です。形が違っていても今自信を持って言えます。それは家族の絆でもあり、作品の家族と何の変わりもありません。少しも衰えているとも思いません。母親は懸命に働いて父親を支え続け、父親はその姿を見て私たち子どもの面倒を見てくれていました。４人で必死に作り上げた家族は、時には困難にぶつかる時もありましたが、確実に絆は深まりました。時には困難にぶつかり、それを家族で解決していくことがどれだけ大切かを再確認しました。両親がいる事、兄弟がいる事の幸せを人は感じなければいけないと私は思います。いるのが当たり前に感じてしまうほど、家族の有り難さは感じることが出来ません。安らぎを感じた時近くに居たのはいつも家族でした。そんな気持ちを改めて感じさせてくれた思いませオヤジいの田村正和は、素敵な父親の存在を演じていたと感心しました。

父親と娘、遠くて近い関係

私が家族の事を大事に思う事が出来るのは、両親が暖かく育ててくれたからだと思っています。だから環境が違っても良い関係を築くことが出来たのでしょう。そんな家族に感謝してもしきれません。

今私は自分の家庭を持ちました。旦那は働き私は家事に追われている毎日です。娘は最近父親と口をきかなくて正しく反抗期です。そんな当たり前の毎日が続いています。時には同じ毎日が嫌になる事もありますが、その普通の生活を送れる事がどんなに有難いかを改めて実感します。今反抗期を迎えた娘が大変で投げ出したくなる事もあります。しかし、家族ならその反抗期という成長を見守る事が何よりも大切なのです。そんな風に感じています。将来のために自分の気持ちを素直に表現するための期間だと思うのです。娘の成長を実感出来ていると私は今感じながら家族一緒に日々を過ごしています。この作品の田村正和は頑固な性格ですがそこがまたこの作品を盛り上げているように感じます。頑固な性格をここまで表現する父親が減ってきているように思います。私の旦那と父親は共に頑固で曲がった事が大嫌いな人です。田村正和を見ていると共感出来る部分もあり楽しい気持ちにもなりました。こんな家族のドラマは貴重だと思います。これから先親子関係、家族の絆をこれ程上手く表現出来る作品に出会えるだろうかと私は思います。家族ドラマというと、「ひとつ屋根の下」が浮かびます。しかし親がいないという設定とは違うため、それとはまた少し違う家族ドラマです。「父親と娘」はいつになっても家族の中でも不思議な関係であると思います。