主人公が存在しないOVA作品 - ONE 〜輝く季節へ〜 第2巻 風の章 留美・瑞佳の感想

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ONE 〜輝く季節へ〜 第2巻 風の章 留美・瑞佳

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主人公が存在しないOVA作品

3.23.2
映像
4.0
ストーリー
1.0
キャラクター
1.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

不思議な世界観が漂う正体

「ONE~輝く季節へ~第2巻 風の章 留美・瑞佳」というOVA作品で感じたことですが、不思議な世界観が漂う本質は、主人公がいないことではないでしょうか。

元ネタである恋愛シュミレーションゲームの主人公は、折原 浩平(おりはら こうへい)です。しかし、OVA本編において、折原 浩平が登場することはありません。すなわち、主人公が不在のOVA作品だといえます。そして、主人公が存在しないので、物語としても成立していないものだと捉えることができます。

どちらかというと、物語というより、OVA本編の登場人物を紹介しているだけのような内容ではないでしょうか。そして、OVA本編の中で疑問を投げかけるように、折原 浩平の存在が打ち出されています。折原 浩平の存在は重要視されていないように感じられるのです。

不思議な世界観が漂う正体は、主人公がいないことで物語が成立していないことから感じる違和感なのだと思います。そう考えると、物語としては確かに展開として乏しく、登場人物の日常生活を描いたもののように思えます。

その中で、折原 浩平という登場しない人物の存在が不気味に感じさせるのだと思います。

正体がはっきりすることで、不気味さが幾分か解消され、取り除かれたように感じられます。

予備知識がないと理解できない

元ネタの恋愛シュミレーションゲームでは、主人公の折原 浩平は「永遠の世界」という、「死後の世界」や「異次元の世界」とも受け取れる明確にされていない場所に旅立ってしまうようです。そして、旅立ってしまうことで、それぞれの記憶から自分自身の存在が消されていく世界観が描かれているようです。

だから、主人公の折原 浩平はOVA本編に登場しないのです。折原 浩平は「永遠の世界」と呼称されている場所に旅立っており、みんなの記憶から少しずつ消えていく様子が描かれているのだと思います。OVA本編でも、「永遠の世界」のことを明確に打ち出されておらず、「永遠の世界」そのものの存在感すら薄いです。だから、折原 浩平がどうなったのか、分からないままOVA本編は進行していきます。

この予備知識がないと、創作物としてOVA本編の内容が理解できないです。

私自身は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」から、この設定・背景を知りましたが、OVA本編では明確に描かれていません。なんとなく匂わせる程度にしか、「永遠の世界」について振れられていません。

そのことからいえる確実なことは、元ネタである恋愛シュミレーションゲームをプレイしたユーザー向けに制作されたOVA作品だということです。全く予備知識なしで観始めてしまうと、OVA本編の内容は説明不足なので、理解できない場面が多いです。

正直、何が描かれているのか、分からないまま終わってしまうのではないでしょうか。

一般的には、折原 浩平を主人公に据え、それぞれの登場人物と関係性をもち、物語展開されていくのではないでしょうか。こういった描き方をしていることが、斬新な内容のOVA作品だと受け止めることができます。

このOVA作品から、「ONE~輝く季節へ~」というコンテンツに触れる人には不親切な内容だということは間違いないです。

中途半端な関係性!?

全く元ネタのキャラクター設定が活かされていないように感じられます。

インターネット上のフリー百科事典「ウィキペディア」の登場人物に記載されている内容と、OVA本編の登場人物の印象が合致しません。キャラクターデザインで設定された個性を上手く打ち出せていないのではないでしょうか。

長森 瑞佳(ながもり みずか)、七瀬 留美(ななせ るみ)においては普通の女子高生という印象しかありません。留美には転校してきた過去があり、転校してきた当初はイジメにあっていたことを明かす場面がありました。しかし、「ウィキペディア」には全然違うことが記載されており、イジメにあっていた過去の記載がありません。

それぞれ登場人物の個性が弱いように感じられるのです。

また、瑞佳と留美は、それぞれ男子生徒と仲良くする場面が描かれていました。しかし、恋愛要素として交わることがありません。それぞれ別場面で、個別に描かれている印象が強いです。

そして、瑞佳と留美の会話する場面は多いですが、恋愛話をしている様子は描かれていませんでした。

この二人が明確に交わっていた場面は、祭りに一緒に出掛けて遊んでいるOVA本編、最後の場面しかありません。友達ではあるけど親友ではない、関係性が強く感じられました。

アニメ制作スタッフがどのように描きたかったのか、よく分かりません。

仲の良い女の子同士を描きたかったのか、それとも私が感じたままに、中途半端な人間関係を描きたかったのか、理解できません。ただ、この二人を仲の良い親友のような関係性に描かないと、物語として弱いものになると思うのです。

この二人にスポットを当てた理由も分かりませんので、OVA作品の存在自体の意義も分からないものになっているように思います。

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