アニメ界初の『大河ドラマ』 - 超電磁マシーン ボルテスVの感想

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超電磁マシーン ボルテスV

4.004.00
映像
3.50
ストーリー
5.00
キャラクター
5.00
声優
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音楽
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感想数
1
観た人
1

アニメ界初の『大河ドラマ』

4.04.0
映像
3.5
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
3.0
音楽
3.0

目次

「ボルテスⅤ事件」の原因になったアニメ

現在40代から50代のフィリピンの人は,ボルテスⅤの歌を「日本語」で歌えます。 フィリピンにおいてボルテスⅤは大変な視聴率を採り,そのあまりのすごさに当時のマルコス政権はボルテスⅤ放送禁止令を出しました。フィリピン始まって以来の放送禁止令です。これがいわゆる「ボルテスⅤ事件」のあらましです。当時はロボットのかっこよさだけで見ていた子供達は大人になって内容を知り,よりボルテスファンになったそうです。日本でも「サンライズ4大美形」の一人として,プリンス・ハイネルは絶大な人気を博しました。ボルテスチームよりもです。放送中に再放送を放映したりと,中高生女子に人気がありました。なぜ「ボルテスⅤ」は特別視されたのでしょうか?。それは,アニメ始まって以来の「大河ドラマ」だったからです。

それだけは,あって欲しくないという祈り

地球から遠く離れたボアザン星は、角のあるものは貴族で,無いものは奴隷として酷使されていました。ある時,皇帝の嫡男として生まれた王子には,貴族の象徴の角がありませんでした。王子は人工の角を付け,すくすくと聡明に成長。やがてロザリアという貴族の娘と恋仲になりますが,妾の子供に角の秘密を暴かれて皇位剥奪されて奴隷階層に落とされます。彼は仲間の協力を得てボアザン星を脱出。地球に不時着します。そのとき彼の命を助けた美しき科学者・剛博士と結婚し,三人の男の子をもうけます。彼は剛博士にいつかボアザン星は攻めてくる,それを食い止める為に自分はボアザン星に戻ると言い残し,地球を去ります。なんて勝手な男だろうと,子供心に憤慨しました。三兄弟はたくましく成長し,ボルテスチームのメンバーになります。父親の予言通り,ボアザン星は地球侵略に乗り出してきました。その総司令官が,プリンス・ハイネルです。叔父である皇帝直々の命令に心酔した彼は,必死に地球を攻めますがボルテスⅤの前に惨敗し続けます。三兄弟は目の前で自分達を助ける為に剛博士が飛行機で敵に特攻をかけ,めぐみは父である岡長官を失います。物語は進んでいき,ハイネルがなぜ妥当ボルテスに燃えるかがわかります。彼は「裏切り者の子供」として石を投げられながら成長してきたのです。叔父はそんな自分を取り立ててくれたと恩を感じ,必死だったのです。このあたりで視聴者は「まさか?。いや,それだけはあって欲しくない」と祈るような気持ちで見続けましたが,最終回でそれが真実だったと知ります。ロザリアは身ごもっていて,命と引き替えに産んだ子供がハイネルだったのです。つまり,剛三兄弟とハイネルは異母兄弟だったのです。

「お父さん…」

母を捨て,自分を不幸のどん底に突き落とした憎いはずの父に向かってハイネルが呟いた最後の言葉は「お父さん」でした。異母兄弟達が,炎の向こうから手を伸ばし「兄さ~ん」と叫んでいる。憎いはずの父も「ハイネル~!」と叫び続けている。ハイネルは古き体制と共に、一言呟いて炎の中に消えました。あって欲しくないことが,最悪の結末になってしまった。視聴者は泣きました。ハイネルの短い生涯が,あまりに可哀想で。自分を裏切っていたのは,本当は敬愛する叔父だったなんて。彼の絶望は,察してあまりあります。

どこまでアニメで人間ドラマが描ききれるか?

それまでのアニメでは地球は必ず被害者で,敵は悪者と決まっていました。でも,ボルテスⅤは攻めてくるのも角は生えているけれど同じ「人間」でした。そして,いつの間にかボルテスチームではなく,プリンス・ハイネルに感情移入していました。平和で幸福に育った剛三兄弟と,「裏切り者の子供」と石を投げられながら成長したハイネル。同じ父親なのに,真逆の子供時代を過ごした異母兄弟達。最終回「あんまりだ」と号泣したのは忘れられません。これからも,自己内面に悶々とする器の小さなアニメよりも,こんなアニメが作られることを祈っています。

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