アリサとすずかについて
地球におけるなのはの大親友
アリサとすずか。二人ともなのはが通う私立聖祥大附属小学校でできたなのはの大親友である。第1期ではアリサとなのはとの確執もありストーリーに多く絡んでくるものの、ストーリーが進むにつれてだんだんと空気と化していってしまう二人をあえて本作の考察で取り上げてみる。まずはそれぞれの人物を簡単に確認していく。まずはアリサ。フルネームはアリサ・バニングス。日本で起業したアメリカ人実業家の両親を持つお嬢様。犬好き。気が強いのが玉にきずで、魔法のことで悩めるなのはの手助けができないことに苛立ち、なのはにつらく当たってしまった時期もある。それだけ友達思いであり、友達のために自分が何ができるのかを常に考えている優しい女の子。もう一人の方のすずか。フルネームは月村すずか。資産家の娘で大きな屋敷に住んでいてメイドもいる。猫好き。物静かで温厚な性格で、既述したアリサとなのはの緩衝役となり見守っていた、こちらも心優しい女の子。本作のストーリーには直接は絡まないものの、なのはの兄とすずかの姉が恋人同士という関係もある。と、このように、お嬢様、友達思いという共通点もあるが、かたや犬好き、こなた猫好きに代表されるように正反対の面も多く、二人の意見が食い違ったときは当人たちも周りも大変苦労しそうであることが容易に想像できる。本作としての出番はストーリーを追うごとに減っていってしまう二人だが、なのはとの友情、付き合いはずっと続いており、地球においては一番の親友トリオと言える。
ストーリーに絡む活躍もある
物語全体から見ればほんの入り口のところで、二人はストーリーに絡んでくる。先に述べたなのは&アリサ確執事件のほか、アリサのほうは主に前作、第1期において、フェイトの使い魔アルフが瀕死のけがを負ったときに保護し、のちになのはとめぐり合わせるというかなり重要な活躍をしている。すずかのほうは、本作でなのはよりも前に本作のキーとなる人物はやてと知り合っている。物語進行上の重要度としては低いものの、本作序盤から中盤までのはやての心の支えの一つになっていたはずであり、ストーリー上の欠かせない要素ではある。このときもまた、後日なのはをはやてと引き合わせることになる。こうして確認していくと、二人とも結構活躍していることが分かる。しかしながら、もともとはこのようなかかわり方、このような活躍を期待していたのではない。
ミスリードの大きな要因
最初はなのはだけだった魔法少女。しかしふとしたことからアリスとすずかに正体がばれて、二人も一緒に魔法少女に。3人で魔法を使って悪者退治をしていく・・・・・・。そんな展開を思い描いていた人も多いことであろう。当時の魔法少女ものは「おジャ魔女どれみ」に代表されるように、日常生活の中に魔法が加わることでより生活が楽しくなる、という物語が多かったからである。奇しくも物語が始まった時点でのなのはは9歳で、どれみたちと同年齢であり、そういう展開になるのかも、と思わせる要素の一つであった。そう思わせる要素は他にもある。髪の色である。アリサが金髪であり、すずかが紫。アメリカ人のアリサが金髪なのはいいとして、日本人のすずかが紫なのである。これはただの脇役ではないことを示唆するものであろう。なぜならば、髪の色が鮮やかであることはストーリーに大きく絡んでくるような役どころであると言っているようなものだからだ。ストーリーに絡まない脇役の髪の色が派手であることはほとんどないのである。加えて、もう一つの要素として、担当声優陣が豪華であり、脇役で終わらせるにはもったいない配役である、ということがある。田村ゆかりさん(なのは役),釘宮理恵さん(アリサ役),清水愛さん(すずか役)という、当時の御三家を起用しているのである。これはもう、なのは、アリサ、すずかの3人で仲良く魔法少女に、という流れを意味する以外の何物でもない。釘宮さんや当時全盛期だった清水さんが脇役など、考えられるはずもなかった。結果的にこれらすべてがミスリードだったのである。そこかしこに、そういう様相をちらつかせておいて、実のところストーリーは別の方向に向かわせる。これを意図してやっていたのならば、あっぱれ、お見事としか言いようがない。このミスリードによって本筋のストーリー展開以外のところにも興味を持たせ続けることができ、人気の向上に一役買ったのである。このようなミスリードは本作の後にも少なからずみられるようになった。それだけこの手法が視聴者の興味を引くものだ、ということだろう。やがて、そのミスリードはエスカレートしていき、物語の核心部分を視聴者に気付けなくさせるような手段として使われることになる。世界観やストーリー進行、結末が物語開始当初から180°変わってしまうような作品に、より顕著にみられるようになっている。
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