許されない愛の物語
ロリータ
ロリータ、少女なのか女性なのか区別がつかない。はしゃぎ回る時は、完全に
普通の女の子にしか見えないのだが、挑発的な目をしてハンバートを誘惑するときは
どう見ても魅力的な女性になるのだ。でも彼女はただの女の子なのだ。
彼女のハンバートへの思いはただの好奇心にすぎなかった。彼女の人生はハンバートと出会うことで
めちゃくちゃになったのだ。そのことが余計に私を悲しくさせる。
ロリータは小さいころ両親が離婚し、母と一緒に暮らしていた。だからずっと父
からの愛情が不足したまま育ったのだ。ロリータはハンバートへ父としての愛を
求めていたのだろうか、いや、それはちょっと違う気がする。ロリータは自分がどれだけ
魅力的なのかわかっていて、それを利用した。でも、それは悪いこととは言えない。
ロリータは、思春期の思慮分別のつかない年頃なのだ。そして、安定していない、
ころころ変わってしまう。
ハンバートの人生
彼は人間関係が円満ではなく、初恋の相手を忘れられずにいた。そこでロリータに
出会ったのだ。最初ロリータの姿を目にしたハンバートはどんな気持ちを抱いたのだろうか。
それはきっと、初恋の相手と愛し合ったあの時の気持ちと類似しているだろう。
ハンバートはロリータを愛したのだ。それは、彼がロリータを見つめるときの目、
そう、彼の目から伝わるのだ。彼の目はなんだか孤独感が感じられる。それは初恋を
事故で亡くし、それ以来まともな愛をしたことがない(あるいはを以来まとも
に愛されたことがなかった)ためだろう。ここまでが、ロリータに出会う前までの
彼の人生なのだ。
ロリータに出会って
ハンバートは一目惚れしたのだ。下宿先の庭で、スプリンクラーで濡れている
若々しく美しいロリータの姿に。彼はロリータと一緒にいたいがためにロリータの
母と結婚する。これは許されないことだ。愛してもないのに結婚するのはいいことだとは
決して言えない。しかも相手の娘に恋をして結婚するのだから。一般的な社会的
思想だと許されてはいけないと思う。しかし、私はどうしてもハンバートの視点から
ものごとを考えてしまうのだ。映画でこんなセリフがある。
ロリータ、わが生命のともしび、わが肉の炎、わが罪、わが魂。
このレビューを読む人なら予想がつくだろう。そう、ハンバートのセリフだ。
ハンバートは、ロリータに出会って人生が変わったのだ。私は、ずっとこのセリフを
忘れられずにいた。ハンバート、あなたにとってロリータはどれだけ愛しく、大切
な存在なんだ、と思わず聞きたくなってしまう。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)