へんてこ家族のどたばた劇
誰が主人公か
本作の主人公は乱崎凰火(主人公が27歳男性というのは、ライトノベルの中では異色な感じを受けます。)なのですが、その妻である乱崎凶華もまたひときわ特別な存在感を放ちます
凰火が影の主人公なら凶華は光の主人公でしょうか
しかし、そこで更にわたしが注目したいのは、次女の乱崎優歌の存在です。
いうなれば、裏の主人公
暗い過去を持った、けれども健気で優しい彼女が、家族に救われ、幸せ満開かと思いきや、しかし物語が進むにつれ、徐々に露呈してゆく彼女の闇…
夫婦2人で築き上げた乱崎家を引き継いで行く、乱崎家の「これから」の主人公として、重要なポジションとして間違いないのではないのでしょうか。
家族愛
本作のテーマでもある「家族愛」
とくに、血の繋がりのないものたちとの「家族愛」です。
原作ではそのへんをニヒルに描いているのですが、アニメでは「イイハナシダナ〜」感がけっこう誇張されています(それはそれで楽しくて良いのですが)
特に印象的だったシーンがあります
ほんとうに、ほんとうに、この狂乱家族日記という作品のラストのシーン。乱崎家の次女、優歌の一人称で語られる一説。
血の絆以上の信頼を得てるからこそ、お互いが常に一緒にいる必要がないのだ、というのです。
この一説が、この物語がただのいわゆる家族モノと一線を画するとわたしが考える所以です。
血の繋がりがなくてもみんな仲良し!からの発展系といいますか…信じられる人との繋がりがあるからこそ、自分は独立できるんだ、ということを感じました
そう思って改めて、オデッサ=エイ編をみてみると、違った見方でみえるんじゃないでしょうか
原作者は高校生
原作者の日日日氏(いまはあんさんぶるスターズなどで有名になっていますね)は狂乱家族日記の一巻を書いた時にはまだ高校生でした。本人も言っていますが、高校生時代の作品は彼の若いゆえのトゲトゲしさ、青さが存分に出ております(ファンとしてはそこが堪らないポイントです)。彼の根っこの性質とかが、顕著に出てる、ということです。
そう考えてみると、彼の作品では「姉」という存在が、かなり特別な位置にあることが多い気がします。日日日氏自身、優秀なお姉さんをもち、当時はかなりのコンプレックスを感じていたそうです。
本作においての一番最初の敵対者もやはり、「姉」です。
そして、アニメ3話のラストには見事にその「姉」と和解します。
当時の彼が、もしかしたら、自分の中の姉とのわだかまりを、この作品の中で(無意識にも)解消したいと思っていたのかもしれません。
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