調子に乗った主人公が一番面白い - 鉄のラインバレルの感想

理解が深まるアニメレビューサイト

アニメレビュー数 2,474件

鉄のラインバレル

3.253.25
映像
3.25
ストーリー
3.13
キャラクター
2.88
声優
3.13
音楽
3.38
感想数
4
観た人
4

調子に乗った主人公が一番面白い

3.53.5
映像
4.0
ストーリー
3.5
キャラクター
1.5
声優
3.5
音楽
3.5

目次

『ラインバレル』、その特徴 

“ロボットもの”と呼ばれるアニメ作品は多い。有名どころを挙げれば『マジンガーZ』や『機動戦士ガンダム』シリーズ、『新世紀エヴァンゲリオン』など『コードギアス』など、枚挙にいとまがないほどだ。

テレビ放送が始まってより、ロボットアニメは時代と共に脈々と作られ続け、世代問わず人気を博してきた。アニメ好きは必ずロボットアニメを多かれ少なかれ視聴してきたと言っても過言ではないだろう。

筆者の世代は『エヴァンゲリオン』の全盛期。世の女性たちは『ガンダムSEED』で大いに盛りあがっていたと記憶している。そういえば、CLAMPの『レイアース』にもロボットが出た記憶があったな……。

『鉄のラインバレル(以下、ラインバレル)』を観たのは、今から五年ほど前になるだろうか。パチスロ化をきっかけにこの作品を知り、アニメを視聴した。

原作を観る前にパチンコやパチスロを最初に打つと、物語の重要なシーンやキーキャラクターの存在が大体わかってくる。最初に『パチスロ鉄のラインバレル』を打った筆者は、主人公・早瀬の「派手にぶちかましてやりますよ」「ナイスな展開じゃないか」などの調子こいたセリフに苦虫を噛み潰したような面になりまくっていた。あと、キャラクターデザインの平井久司の影響もあってか、女性キャラたちの過剰なサービスシーンが目につき、「これは厨二病の早瀬くんを中心にしたハーレムロボットアニメ」なんだなと納得した。

そしてアニメを全て観て……パチスロでの第一印象が間違ってなかったことを確信する。

ぱっとしない主人公、敵対する勢力、突然空から現れたヒロイン、覚醒・暴走する主人公、序盤で死ぬ(と見せかける)親友、何故かモテモテになる早瀬……などと、これでもかと漫画アニメの常道を踏んでいる。

この展開をして、正直『ラインバレル』はつまらない……と思ってしまった人も多いはずだ。

筆者は『ラインバレル』のスロットが大好きで最後まで視聴したが、もしアニメ放送でこの作品を観ていたら、途中で視聴をやめてしまったかもしれない。

あとでわかったことだが、アニメ版は原作漫画とかなり設定が違う作品となっている。原作はアニメ版のコテコテ展開とはかなり色が違う重厚な展開となっているので、アニメで『ラインバレル』を敬遠してしまった人は、漫画の一読を検討してはいかがか。

ラインバレルの魅力は?

次に、『ラインバレル』が他のロボットアニメと違う点や魅力的なポイントを挙げていこう。

1・主人公がチャラい。

2・主人公がチャラすぎて途中まで信用されない(むしろウザがられる)。

3・途中で敵勢力が味方になる(物語途中で死んだヤオヨロズの彼はいったい……)。

4・敵の白いボスがホタテをまるごと食べたりゲームをしている。

5・味方パイロットが全員生き残る。

以上が注目すべき点だ。特に最後の、「味方キャラが最後まで生き残る」という点は、大いに注目されたい。

ロボットアニメは人が死ぬ。必ずといっていいほど、味方キャラに誰かしら犠牲が出る。『マクロス』しかり、『ナデシコ』しかり、『ガンダム』シリーズしかり、エウレカ……は死んでないけど、チャールズとレイが途中まで味方のようなものだったので味方としよう。たいていの視聴者がロボットアニメのパイロットキャラを見くらべるたび、「このアニメでは誰が死ぬのか」と予想する部分さえあると思う。

ところが『ラインバレル』は誰も死なない。一番危うかった森次も生存。エンディングで死にかけた城崎も死ななかった(まぁヒロインだから死なないだろう)。せいぜい敵勢力のパイロットと、味方側の司令官が死んだぐらいだ。

これは「ロボットアニメ=誰かが死んでナンボ」という展開に慣れきっていた筆者に小さな驚きを与えた。犠牲の出ないロボットアニメというのも悪くはない。

『ラインバレル』は一見、アニメ的なご都合主義を抱えてばかりの作品だが、ところどころ不意打ちのような形で視聴者を驚かせてくれる。パチスロとしてタイアップできたのも、そういったところに人気の原因があったことに依るのかもしれない。

世間の評価と私見 

さて、最後に筆者の個人的評価と世間の評価を交えて本論を締めよう。

筆者は前々項でこの作品を微妙だと評したが、それはまず作画の安定のなさに依る。もともと、平井キャラデザは「どれも同じ顔」と揶揄されるように、キャラの顔や線に安定感がなくパーツに個性がない。原作の、やや粗削りだが特徴的なキャラデザを観てしまうと、完全に「劣化」しているのである。

作画はアニメの顔だ。漫画や小説に「ジャケ買い」という言葉があるように、アニメだってPVや宣伝用イラストで「視聴するか・しないか」の評価がわかれるだろう。平井氏はベテランだが、この点について評価したくはない(完全に個人的な好みで申し訳ありません)。

また、世間の評価を見ると、やはり『ラインバレル』は主人公・早瀬が嫌いという人が多いようだ。理由は先ほども取り上げたように、厨二病すぎるから。

厨二病=ロボットのパイロットは親和性が高いように感じるが、視聴者には不快に映るという……なんとも難しいところで、『ラインバレル』は評価が分かれる作品となっている。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

感想をもっと見る(4件)

関連するタグ

鉄のラインバレルを観た人はこんなアニメも観ています

鉄のラインバレルが好きな人におすすめのアニメ

ページの先頭へ