家族の出会い - とらわれて夏の感想

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家族の出会い

4.04.0
映像
4.0
脚本
3.5
キャスト
4.0
音楽
2.5
演出
3.5

目次

出会うときに出会うのでしょうか?

この子がまったく母親のいうことを訊かないんですよね。でもその自由奔放ぶりが子どもらしくて憎たらしいけれど、妙に生き生きと描かれていて、何処か色褪せた服の母親とは対照的に鮮やかに浮かぶ場面がその子どもが怒り狂う母親に追いかけられ楽しげに逃げ回る母親をおちょくっているかのような姿だった。シングルマザーのアデルは今日も母親にかまってもらいたい13歳の息子ヘンリーに手をやいていた。それが共感のあまり笑えるからだろうか?実際に芝生があったかはさだかではないが何故かこのシーン芝生の青々とした色までもが浮かび上がってくるような強烈なインパクトでワンパクで愛らしい息子ヘンリーの存在を私に印象付けた。いったい、ヘンリーには何が足りないのだろう?思い悩むアデルにも見当がつかない、そんなときに出会ったのが彼だった。人は必要なときに必要な人と出会うのだろうか?

脱獄因の彼の白いシャツ姿

彼フランクは脱獄因だった。しかしアデルはそれを知ったそのときも驚く様子をみせなかった。恋する女の勘?それとも冷静を装う、母親として息子を守らなければならないとの演技だろうか?そ私がこの映画を見終わってから、けっこうな時間が過ぎた今でもわからないミステリアスな彼女の内面性にも魅力を感じているのだろうが、逆に考えてみたら、彼の方が先に彼女に恋をし、最初から彼女を射止めるつもりで策略を練り、まるで身の潔白を証明するかにみえる彼フランクの一定した安心感をもたらす純白のT シャツ、その唯一の手段にあっさりはまってしまったのかも。誰でも恋をし本気で欲すれば策略化になるのかも知れない。

ヘンリーもはまったフランクの意外な趣味

年の離れた男同士がパイを作り、その前にヘンリーの前に突如現れた知らないおじさんでもあり、かつ脱獄犯でもある彼が甘いスイーツを作り、それが妙に男らしかった。ヘンリーが欲していたものは、キャッチボールでも肩車でもなく、父親のような存在と、しっかりと向きあってもらうこと、真剣に指導してもらうことだったんじゃないかな?なんて思えてきた。この間までは有り余るエネルギーをもて余しているかのように見えた13歳の少年ヘンリーも、先を見つめ安心感をつかんだかにみえた。

何か分からない気持ちや不安が消えたヘンリーは将来の夢にこの日の出来事を刻むほど充実していたに違いない。こんなに印象に残り、見終わってからも幾つかのシーンがよみがえる映画もそうないだろう。

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