多重人格によって広がる展開 - 俺たちに翼はないの感想

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俺たちに翼はない

4.204.20
映像
5.00
ストーリー
3.00
キャラクター
4.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
1

多重人格によって広がる展開

4.24.2
映像
5.0
ストーリー
3.0
キャラクター
4.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

ずっと意味の分からないタイトル

意味の分からないまま、物語中盤まで引っ張られました。ただ、物語中盤まで分からなくても観ることができたのは、お笑い要素が面白かったことが大きいです。際どいネタで笑いを誘うのは、少し卑怯だと思えるほど楽しいものでした。これでもか、というほど下ネタ続きのアニメ作品ですが、不思議と下品な笑いだとは思えません。

登場人物の女の子たちが、不自然なほどパンチラをさせますが、それを笑い要素にしている点は斬新に思いました。ただ、一人の時間でしか観ることができないアニメ作品であることは間違いないです。下品な笑いではありませんが、確実にオタク系のアニメ作品のストライクゾーンに位置しています。

そして、作品全体を通して、セリフに緩急があるように感じました。やはり天然系キャラクター、そして落ち着いた感じのキャラクターはゆっくり話しています。しかし、ツンデレ系や毒舌系キャラクターは比較的に早口で、この差が面白さに拍車をかけている部分のように感じます。こういった作り方はとても上手な作品のように思います。さらに、観る側の好みも当然のことながら、観る人によって違うと思いますが、とくかく登場するキャラクターが多く、色んな個性を持たせることによって、手数で勝負しているのではないでしょうか。

観る人の好みは、人によって違うだろうけど、どれかはヒットするだろう、という百発一中のような確率論で構成されているように感じます。

登場人物の女の子に対する想い入れ、そして、お笑い要素、この2つの柱がアニメ作品を支えているもののように思います。そして、それがあったからこそ、分からないまま展開していく物語を中盤まで見続けることができました。それがなかったら、きっと最後まで観ることができなかったアニメ作品です。

 

お気に入りキャラクター

これは人によって、意見が別れるところでしょう。しかし、私はアリスの面白さに胸を射抜かれました。基本的には無表情で、間違った日本語、突拍子もない発言はとても面白いように感じます。また隼人(はやと)との会話も、やたらロリコン路線を促すもので笑わせてもらいました。隼人のぶっきらぼうな物言いと、アリスの抑え目なトーンから繰り出される面白発言の相性はとても良いのではないでしょうか。

男性キャラと女性キャラの会話で笑わせる要素が強いですが、その中でも秀逸な組み合わせのように思います。また、アリスとは少し毛色が違いますが、天然系キャラでありながら、鳳鳴も良い味を出しています。隼人の発言がお笑い漫才で例えると、突っ込みの役割を果たしている点が、他の男性主人公とは明らかに違うところなのかもしれません。

 

他にも、方言を話す女性キャラクターが多く、意図的に萌え要素を狙ったキャラクター作りをしていることが伺えます。主人公を多重人格者とすること、そして、それぞれの主人公の生活を変えて、別の人間関係を構築することで、登場人物が増え、またキャラクターの幅を増やすことに貢献していると思います。

また、それぞれの男性主人公たちが入れ替わり、関わっていく女性キャラクターが変わっていくところに物語終盤の面白くさせる要素になっているのではないでしょうか。

 

多重人格者の主人公

この設定が明確に打ち出されるのが、物語中盤です。振り返ってみれば、それを匂わせる部分は見え隠れさせていたのかもしれません。元ネタが恋愛ゲームで、そこからアニメ化された作品であることから、そのことを前提で観ていた方が大半を占めるのかもしれません。

そのことから、実は、元ネタの恋愛ゲームをしていない一般向けのアニメ作品ではないのかもしれません。物語中盤までは、ずっとそのように考えていました。しかし、逆にいうと勿体ない気はどうしてもしてしまいます。

この設定が物語冒頭から明確にしていたなら、もっと楽しめたのかもしれません。また、鷹志(たかし)のグレタガルドへ召還される、という部分もなかなか飲み込めないところでした。何がどうなっているのか、最初は理解できなかったです。後出し、後出しという展開が、後付けに感じられてしまい、物語の魅力が中途半端になっている気がします。

後出しは良いけど、やり過ぎて後付け感がでてしまうと、観ていて興ざめしてしまいます。それは、とても残念に思ったポイントで、脚本の作り方、明らかにしていく順序、明らかにする方法に問題があるように思います。

特に、アニメ最終回においては、全力疾走で全てを明らかにした感じが否めないです。もっと自然なかたちで物語の着地に向けて、構図を描けなかったのでしょうか。「木」に例えるなら、物語進行が幹の部分であり、笑い要素が枝の部分に相当するのではないでしょうか。枝の笑い要素は面白い作品なのに、物語進行という幹であり、アニメ作品の要の部分が台無しにしてしまっているように感じます。

しかし、これに影響され、違ったアニメ作品が出てくるかもしれません。それだけ、設定そのものはユニークであり、物語の幅、奥行きを感じさせるものだったと思います。これまで類をみない設定の作品であり、その部分においては意欲作であったのではないでしょうか。

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