原作らしさが感じられないアニメ - スプリガンの感想

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スプリガン

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
5.00
音楽
5.00
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原作らしさが感じられないアニメ

3.63.6
映像
4.0
ストーリー
3.0
キャラクター
3.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

原作の魅力が半減している!?

劇場アニメなので、力を入れて制作されていることは伺えます。しかし、作画の面において、原作マンガより明らかに低いと思います。「スプリガン」同様に、同じ原作者の「ARMS」もアニメ化されていますが、絵のイメージが全然違っています。「ARMS」は、原作マンガの絵のイメージそのままなのに、この「スプリガン」においては違和感を覚えます。

元々、原作者の皆川 亮二さんは画力が凄いだけに、その凄い部分をアニメで再現しきれなかった感じを受けます。

また、それぞれの登場人物、特に主人公の御神苗 優(おみなえ ゆう)の声がイメージに合っていない気がします。柔らかくて低く、トーンを下げた声質の方がイメージに合致するように思います。これは、声優さんの演じ方にもよる部分は大きいのかもしれませんが、キャスティングの時点で、すでにイメージと乖離しているところがあるように思います。特に、主人公の優と、もう一人のスプリガンであるジャンは、「スプリガン」という作品イメージを形成する上で重要なキャラクターだと思うのです。他に選択肢はなかったのか、そして、演じ方は良かったのか、疑問に感じてしまいました。

そして、原作マンガの一部を抽出してアニメ化されていますが、無理があったように思います。全てを描き切るには時間が足りておらず、原作マンガのイメージを考えず、単独のアニメ作品としても違和感があります。原作の話の所々をつなげて、物語に仕上げてられていますが、優に挑戦状が届いて、そのまま敵地に乗り込んでいく展開は突拍子がないように感じます。

 

弱いスプリガン

主人公、優はスプリガンの中での実力No.1ですが、この直情的な行動に説得力がないように思うのです。原作通りですが、原作とは順番が違うことで意味が違ってきているように思えてなりません。さらに、元上官との戦闘で、優がブチ切れた状態になる場面が描かれています。しかし、本気の戦闘モードである優を、ジャンは容易に制止してしまいます。優の額に銃を突きつけているので、ジャンが本気で優のことを殺す気であれば、殺せてしまったように感じさせるのです。ジャンの方が強いのではないか、と思えてしまう場面で、原作マンガと意味するものが違うように感じます。

また、マクトガル大佐の力が強大過ぎるのも、主人公が弱いイメージになってしまう原因のように思います。マクトガル大佐の無敵感は凄過ぎて、直接の対決になっても、勝てそうにありません。まず、マクトガル大佐の弱点といえるところの描画が弱い、ということが挙げられます。また、彼自身の特殊能力においての示唆する描写も弱いので、衝撃波を放ったり、防御壁を張ったり、原作を知らないと不自然に感じることが多い気がします。

描写が足りない、ということは、違和感がないように全てを描き切るには時間の尺が足りなかったのではないか、と考えます。無駄な場面は見受けられませんでしたが、全体的には展開が早く、早足で物語が展開していた感じを受けます。アニメ制作の段階で、原作マンガの膨大な内容量を削ぎに削いで、詰め込める分を詰め込んだように推測させます。

原作マンガが好きだったので、主人公の優がそんなに強くない、弱いのではないか、と思えてしまう描写が残念に感じました。

 

なぜ劇場アニメだったのか!?

劇場アニメでは、上映時間90~110分と限りがあります。この制限の中で、原作のこの部分を抽出したことに無理があったように感じます。逆にそれを考慮すれば、これだけの内容量を90分ほどに納めた、という見方ができるかもしれません。

テレビアニメ化されれば、もっと面白いアニメ作品になったように思います。時間尺が長いことで、描ける内容が多いためです。しかし、テレビ放送上の規制で制限せざるを得ない場面、そして、設定などもあるのかもしれません。明らかに、テレビアニメと比べて劇場版アニメの方が、公共性が低いこともあって制限は緩いことはあると思います。

ただ原作マンガと描かれる順序が変わるだけで、主人公のイメージがガラッと変わってしまうものなのか、と改めて気付くことができました。また、内容そのものの意味することが変わってくるということも挙げられます。

ただ、原作マンガをアニメ化するという前提であれば、劇場アニメよりテレビアニメ向けのコンテンツだったのは間違いないのではないでしょうか。そうすれば、細かい部分に至るまで、時間制限なく描くことができたように思います。

 

できるのであれば、原作者の皆川さんに劇場アニメ用ストーリーを新しく考えてもらえば良かったように思います。それが、一番スムーズなかたちで、そして、魅力あるアニメ作品に仕上がったように思います。

 

また、「スプリガン」というコンテンツが改めてテレビアニメ化されれば、興味を持たれる方は多いのではないでしょうか。「ARMS」はテレビアニメとして放映されて、とても成功したコンテンツだと思います。今は影も形もないのでしょうけど、今後の「スプリガン」のテレビアニメ化に期待したいです。

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