格闘技アニメなのか、存在位置が分からない!?
色々と不自然に思うことが多い主人公
キャラクター設定ですが、主人公の相川 摩季(あいかわ まき)は最後まで謎に包まれた存在でした。自分自身が身に付けている格闘術が我流なのか、どんな過去があって現在に至るのか、母親はどうなってしまったのか、観ている者の想像に依存する部分が多いと感じました。女性であることも微妙な部分で、男性キャラであっても成立したように思うのです。女性という体力や筋力的には不利な存在でありながら、男性を打ち負かしていくところを作者が描きたかったのでしょうか。しかも、主人公のキャラクター設定はどちらかというと男性寄りの部分が強い気がします。勉強はできなくて頭は良くないが、運動神経が高くて、闘いや強さに餓えている部分など、まさに男性そのものという感じがします。特に闘いや強さに餓えている部分においては、ストリートファイターのリュウそのままのように思えました。このまま、「殺意の波動」みたいなものに目覚めていくのか、と思えてしまったほどです。また空中回転蹴りが派手で印象に残っていますが、それもストリートファイターのリュウの竜巻旋風脚を彷彿とさせました。そして確実にいえることは重力を無視し過ぎだろう、とツッコミたくなるほどです。創作物なので、物理の法則などを当てはめることは無粋です。しかし常人の能力を逸し過ぎており、ミュータントか、超人か、サイボーグなのか、と思う部分が強く、それが作品の中に入り込むのに邪魔になりました。
他にも不自然な登場人物
中ノ谷 美奈(なかのたに みな)という巨乳女性においても、ヒロインでもないし、立ち位置がよく分からないです。むしろ彼女の存在はこの作品において、必要だったでしょうか、必要ではない印象しか持てないのです。観ていても、邪魔な存在にしか感じられず、彼女の魅力を打ち出せていません。物語の展開に絡んでこないし、絡んでいても彼女ではなくても成立してしまうように思えて悲しいです。
続いて、乾 蓮華(いぬい れんげ)という主人公の友達に位置している人物です。物語の本筋部分には絡まないし、居なかったら居なかったで、物語展開には支障がない人物といえるでしょう。しかし、何故だか超個性的で目立つ存在になっていることに違和感と不自然さを覚えました。彼女の居る必然性がまるで皆無で、少し可哀想にも思えてきました。
綺麗な終り方できませんでしたね
最終回を迎えるにあたり、最後の展開は無理矢理だった感じがとても強いです。深道ランキングの最後まで綺麗にやりきって頂きたかったですが、放送話数の制限だったのでしょうね。大人の事情を感じて、悲しい結末でした。原作マンガを読め、ということでしょうね。原作マンガの入り口にはなっていると思いますし、このアニメ最終回を観ると原作マンガを読みたくなってしまいます。本来はそのように深道ランキングが結末するのか、気になって仕方ありません。
このアニメ作品の存在意義は、原作マンガの入り口であるといえるのはないでしょうか。
魅力的な登場人物
気になった悪い部分は全て出し切ったので、好きだった登場人物について述べていきたいと思います。
なんといっても、作中で最も私自身が好きだった登場人物は崎山 香織(さきやま かおり)です。彼女自身の偏った価値観やキャラクターが大好きです。あそこまで自分自身を好きであり、自信家であることへの憧れという部分があるのかもしれません。血液型は間違いなくB型だろう、と思わせてくれる彼女の発言は大好きです。
「私を誰だと思ってるんだ!?崎山 香織だぞ!!」は、お笑いグランプリのM-1で王座にも輝いたトレンディーエンジェル斉藤のギャグに通ずる部分があって、めちゃくちゃ笑わせてくれました。
またオチに使われていることが多く、名前を間違えられる、年下の主人公グループにフルネームで呼び捨てにされているところは面白いです。また未来のスーパーモデルと発言しながら、主人公の摩季に負けたことで強さに執着していったことも展開の面白みを感じました。むしろ、強さに執着した、というより主人公の摩季に執着したという方が正しいのかもしれません。
また、彼女の行動力とたくましさ、独特の信念や価値観も好きです。今の現代人が失ってしまったハングリーな部分を強く感じることができます。
私にとって、崎山 香織こそ、この作品における真骨頂といっても過言ではありません。
次いで、好きな登場人物は坂本 ジュリエッタです。しかし、坂本 ジュリエッタは一般的にも好かれるキャラクターだと思います。捉えどころがなく、何を考えているのか分からないキャラクターは一般的にも好まれる傾向にある気がします。そこを計算して、生み出された登場人物ではないのでしょうけど、脱力系でヤル気の無さを漂わせながら、摩季のことになると急にスイッチONになるところが魅力的です。ナチュラルにめちゃくちゃ強いのも面白いです。格闘スタイルは喧嘩スタイルそのままで、ヤクザキック中心なのに、圧倒的な強さを誇っているのが彼自身の大きな魅力です。また本職はゴーストライターというのも、格闘技が全く関係ない、というツッコミどころを生んでくれています。きっと、坂本 ジュリエッタはエアマスターというアニメ作品の中で最強キャラクターといえるでしょう。
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