低予算!?だけどバッチリ面白い!!
フラッシュアニメーション!?
よくインターネットで見かけるフラッシュ動画をアニメーションというかたちで放送局が流すのって斬新な気がします。
子ども向け番組で、「ポンキッキ」「ウゴウゴルーガ」、またはNHKの教育番組では、コーナーとしてフラッシュアニメの存在はありました。そして情報番組などでも「ZIP!」のガッチャマンやヤッターマンのパロディアニメがあったり、「朝チャン!」の「ぐでたま」は人気が高いですよね。
しかし、いずれにおいても1~2分のショートアニメです。これがひとつの番組として、5分という番組としては短い時間枠、フラッシュアニメとしては長い時間枠で成り立っていたことが凄いことだと思います。
また学校生活のHR(ホームルーム)における議題の提案、討論という基本スタイルで構成されているのが面白いですね。毎回同じなのですが、観ていて飽きない面白さがあります。その話、その話のテーマに合わせて、毎回おバカな話し合いがされていることが微笑ましいです。
特に第二話のテーマの着眼点は、学校生活ならではのものだと思います。そして、誰の記憶の中にもあることなのではないでしょうか。男子生徒はなぜ学校で大便をしないのか、という一見は下らないテーマなんですが、なかなかスポットがあたる話ではありません。それを取り上げて、おバカであっても議論されていることが意義の高いことのように思います。
この第二話だけであっても、このアニメ作品の意義を見出せるほど大きいのではないでしょうか。
ガッ活はどこのジャンル!?
基本はコメディという位置づけなのでしょうが、ギャグアニメのような手法を多く感じます。
ひとつはテンポが速く、画面が見逃せない、セリフが聞き逃せないことです。それによって、せっかくの面白い展開やオチを集中して観なければならないので、作品の中に入り込んでしまいます。
ふたつめに個性的なキャラクター構成を挙げます。とくに飼育委員イナバくん、彼はどうみてもウサギなのに誰もそこには触れないしツッコミません。
しかもウサギなのに飼育委員という設定が、飼育されているのは自分じゃないのか?という疑問が頭を過ります。これが「魁!クロマティ学園」なら、きっと相当にイジられているキャラクターでしょう。メカ沢くんに通じるものがあるような気がしてならないです。
みっつめは狙いすまして、核心をつく発言があることです。第15話で、ニックネームで呼び合おうという話に展開していきます。そこで学級委員長につけられたニックネーム「ヘリクツ女」はズバッと切り捨てる発言で笑えます。まるで、彼女のキャラクター自体がこの笑いに向けての伏線であるかのように思ってしまいます。
このようにギャグアニメの手法が多用されているのですが、振り返ってみると、ギャグアニメではなくコメディジャンルと思わせます。それは、手法はギャグアニメの笑いの手法を踏襲しているのに、そう思わせないのは下品な発言やネタ、テーマなどがないからだと捉えます。さすがにこの辺りは、NHKで放送されていた番組だ、という上品さを感じますね。
どの登場人物がお気に入り!?
このアニメ作品って、フラットな人間がいない気がするのです。これだけ登場人物が個性的だと、ツッコミ役やまとめ役で、一般に近い普通キャラという人物がいることが多いと思うのです。その役目を担っているのが、クラスの秀才である黒田くんなのでしょうが、彼自身も理論派に偏り過ぎているがために結果的に個性的になってしまっているように感じます。
個性的ナンバー1なのは、主人公の学級委員長でしょうね。言っていることが意味不明、ワケ分からないことが多いです。しかしリーダーシップは相当に強い人物で、上昇志向も高く、魅力的なキャラクターに仕上がっていると思います。強いリーダーシップという項と、彼女の曲がった発言と項が「たし算」ではなく、「かけ算」になっており、強烈な個性を打ち出していると感じます。
他にも登場人物はこれでもか、というほど多いですが、私が好きなのは、ヤンキーを演じているヒロシくんです。
彼は最近の言葉でいう「イキッてる」が似合っていると思います。見た目は悪ぶっていますが、中身は仲間思いの良いヤツです。彼の家庭での話や、過去の逸話は、見た目とのギャップがあってお気に入りです。お母さんのことをどう呼ぶか、という話がありました。その時でも、「クソババァ」と背伸びしてみるも、母親を目の前にすると「ママ」と呼んでいたのは面白く、また周囲のクラスメートにその事実がバレてしまう可哀想さも面白さを増長させました。
また思いのほか、家庭環境がよく、親の愛情の大きさを感じさせる部分も、見た目やこちらの思い込みを裏切る展開で笑わせてくれました。初恋の相手は幼馴染みの学級委員長だったようですが、きっと、ヒロシくんは学級委員長のことを未だに好きなんだと思うのです。だから悪ぶって、自分のことを精一杯背伸びして見せたいのでしょう。しかし、ワルの方向に進んでいくこともない、というのが私の中では好印象です。
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