ポップな日常コメディ - あっちこっちの感想

日常コメディ

本作はまんがタイムきららにて掲載されていた4コマ漫画でありまんがタイムきららの特色でもあるほのぼの日常コメディの雰囲気がとても良く出ている作品であります。同社からアニメ化された作品としては代表的な作品としてけいおん！などがありますが本作と似たような方向性との作品なのでけいおん！が好きな方にも受け入れやすい作品となったと思います。

本作では素直になれない少女つみきと鈍感で天然な伊御との恋模様が描かれていますがラブコメディというジャンルとしては若干ラブ要素が少なく感じられました。主人公である伊御が現実離れしていてまるで絵本の中の王子様のような人物像であることから伊織に対して感情移入がしにくく、女性目線の理想の男性像といった具合に描かれていることからターゲットを女性に定めているようなことから男性目線からはラブ要素が中途半端に感じられてしまうのかと思います。

そして一方物語の主観として描かれているつみきについては性格がいわゆるツンデレやクーデレといった雰囲気や素直になれないといったことから言葉や会話といった面よりかは仕草やちょっとした反応といった行動について細部に目を配らせると小さな可愛さや女の子らしさがとても魅力的で他の作品にはなかなか無い女の子の魅力が十分に描かれていてとても好感触でした。

物語の後半から主人公伊御がつみきに対しての恋心を意識しているようなシナリオ展開がありますが作品の雰囲気からコメディ路線を中心に物語を締めたほうがひとつのアニメ作品としては上手く完結出来たのでは？とも思います。

そんなことから本作はラブよりもコメディ要素のほうがよりアニメとして楽しむことが出来るのだと思います。とくに本作のようなデフォルメタッチでキャラクターが描かれている場合にはどうしても物語がコメディ調になってしまいがちになるのでそういったラブ要素を含めた描写にとっては不利であり、ラブ要素をメインに推したいのであればリアルタッチのキャラクターデザインで頭身もすこし大きめにするとより雰囲気を寄せられると思います。

4コマ漫画からのアニメ化作品とのことで物語としてのエピソードが短編をつなぎ合わせる形になるので気軽に視聴が出来るという利点がありますが映画やドラマといった物語が一貫している様な映像作品と比べて見応えという面においては少し物足りなく感じた方も多いと思うので視聴者層を限定してしまうので少し残念ではあります。

最近ではアニメは大人をターゲットにした作品が多く見られますが本作のようなデフォルメチックに描かれた作品は家族で視聴できるので夕方にお茶の間で流せるような作品は好感触が持てます。

ポップな表現

本作ではアニメーション制作がAICとのこともあり、安定のクオリティで全編が安心して視聴することが出来ました。特に本作で良く使用されていた矢印の表現は個人的にとても好きでOPからアイキャッチや作中でも多く使用され本作のほのぼの日常感を出すのにとても役立っていて好感触でした。

本作に限らず、パステルカラー調の表現は作品全体をポップな雰囲気に仕上げることが出来、コメディ色を表現するには適していますがシリアスや真面目なシーンでは雰囲気を壊しかねないので作品次第では多用は禁物ですが本作のような全編を通してコメディ路線で描かれる作品に関しては上手くマッチすればより視聴者に印象付けることが出来るので好感触でした。

全編を通して様々な表現技法が使用されており、物語の節目だけでなく細かなシーンでのパステルカラー調の表現が使用されていて同じ表現も少なく、視聴者としては飽きることなく観ていられる反面、くどくなりがちだといった意見もあると思うので賛否は両論であると思います。

細かなネタ

本作ではコアなファンでしかわからないような細かなネタがあっちこっちに散りばめられていてそんなシーンに注目して視聴するのも楽しいと思います。

例えは天空の城ラピュタだったり、ロックマンやストリートファイターといった幅広いネタが使用されていて聞かなければ分からないような小さなネタも多いので調べてそのシーンを見直してみるのも面白いと思います。特に原作漫画で多く使用されていてアニメに限らず原作漫画への興味を持たせるのにとても良いと思います。

本作に限らず多くのアニメには漫画や小説からゲームといった幅広い分野に原作があります。アニメから作品に触れるのか原作から作品に触れるのか最近では多様なメディアミックス展開されている作品が多いのでより多くの作品に触れる機会が多くなるのはとても良いことだと思います。特にアニメ制作に関しては気軽に制作出来るものではなく、アニメ制作環境はお世辞にも良いとは言えず、なかなか改善の余地すら難しそうなのが現状です。せっかくの日本が誇るアニメなのですからもっと多くの方に作品に触れていただければ制作環境も良くなり、より良い作品が出来る機会が増えるので今後ともアニメ業界の発展を期待したいと思います。