不朽の名作、アニメ版 - CLANNAD AFTER STORY-クラナド アフターストーリーの感想

大作のアニメ化

原作のゲームを忠実にアニメ化した作品です。本当にいいものは月日がたっても人の心を打つことができる、口にすればたやすいですがこの作品はそれを実現してみせました。元々原作の完成度が高いのですがアニメだけ見ても原作をすでに見た人でも納得の出来上がりとなっています。ゲームだと選択肢をプレイヤーが選び取っていくため、既プレイの方はああこの選択のパターンね、という楽しみができます。アニメ見ないよなんて人も感動する一品です。クラナドは人生、と豪語する大人がいっぱいいるのも納得のかなり濃い内容となっております。ぐっときて泣いてしまった方は多いことでしょう。心が著しく洗濯されます。音楽はゲームと同じなのでかなり雰囲気が近いです。ろくに顔も出さない主人公がいっぱい露出するようになったことが大きな違いでしょうか。個人的には朋也が不良のわりに行儀よく体操着を着こなしているのが笑えます。

幻想世界

正直この異世界のくだりの存在意義がよくわかりませんでした。これっているの、と正直思ってました。ちょいちょい挟んでくるから大事なのはもちろんわかっているのですけどなくてもいいんじゃないかと感じます。しかしこの話があるからこそただのありふれた田舎町のリアルストーリーではなくおとぎ話的な印象が強くなり、その印象を時々挟むことによってイメージを調和する役目があるのかなと最近は思います。最後まで見ればなるほどとは思うのですが、途中に挟まる形式なのでなかなか最初の展開が思い出せないんですよね。だからこそ何度も見直してしまう作品の中毒性を担っている部分なのかもしれません。結局パパより娘のほうが一枚上手という悲しい現実をも示唆しています。いや、そういう話ではないですか。

朋也さん！

渚ちゃんが言葉を発するだけでこんなに可愛らしさが増すとは思いもよりませんでしたが、特に好きなのは朋也への呼びかけですね。生足やアングルがエロかったりするのですが不思議とあまり色っぽさは感じられません。そういう気分になってはいけないような雰囲気があるのか、もったいないな、という気がしました。すごく、もったいない。何がいけないのでしょうか。可愛いなとは思うのに不思議です。けいおん！なんかはアニメを見ているだけで熱狂した中高生も多かったと思いますが、この作品はどうなのでしょうね。内容が内容なのでそういう目線で見る人も少なくなるということなのでしょうか。もしかしたら制服のデザインだとかが少し古いからとかが関係しているのでしょうかもしれません。ですが一番の原因としては詰め込められたストーリーが際立っているのでそこに目が向かないことだと思います。若くて可愛い子がキャッキャする日常系とは一線を画しているだけにしかたのないことなのでしょう。しかし渚ちゃんをはじめみんな女の子は可愛いです。青春を輝いている女の子って素晴らしいです。

結婚生活

アフターストーリーがメインになっていますので渚と朋也の付き合い始めてからが本筋です。やがて二人暮らしを始めるのですが二人ともお互いを大事にするという描写がよく表れています。アパートの雰囲気だとかがやはり映像化することにより臨場感を増します。

声があるということ

ゲームからプレイしたことがある人しかわからないと思うのですが、やはり大きな違いだと思います。声があるとないとでは全然違いますし、声があるとないならあるほうがいいに決まっているというものでもありません。ないならない、あるならあるでそれぞれの長所短所があるものですがこの作品ではとても良い効果を発揮していたと思います。一番印象的だったシーンは主人公が周りのことも考えろ！と電車内で騒ぐ子どもとその親に向けて怒鳴るシーンですね。そうだよな、電車内で怒鳴るってこういうことだよなと状況が文字だけではイメージが足りずわからなかったところを、主人公がいかに大人げないことをしていたかがよくわかりました。でもやかましい子どもの不快さもよくわかるようになっているので主人公DQNかよ！とまでは思わないのではないでしょうか。散々視聴者たちの好感度を上げてきた魅力ある主人公であり、その後にまた好感度を引っ張り上げる感動シーンがありますのでほとんどの方はこのシーンが気にならなくなるはずです。あまり出番の少ないキャラ（芽衣ちゃんをいじめたサッカー部員）をはじめどこまでも上手な声優さんばかりで、春原やお父さん、朋也など声を荒げる系の男キャラが特にステキでした。アニメ化をするということはこういうところをより伝えやすくするためにあるのだ、といった発見があったように思われます。映像背景もしかりですが街がテーマになっている以上、花そして畑に行ったりと、場面ごとに場所もが変わることが多いのです。喜怒哀楽の激しい変化を訴えるシーンに美麗な背景が映し出されると、視聴者としてはぐっときます。