結論から言えば駄作 - 劇場版 零〜ゼロ〜の感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

劇場版 零〜ゼロ〜

2.002.00
映像
2.50
脚本
1.00
キャスト
4.00
音楽
3.50
演出
1.00
感想数
1
観た人
1

結論から言えば駄作

2.02.0
映像
2.5
脚本
1.0
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
1.0

目次

まずは結論から。零としては駄作と言わざるを得ない。

わたしはゲームの零ファンであり、小説などのメディアには触れていない程度の知識しかない。それでも零が大好きで、「SIRENの二の舞だけは避けてほしい…」と祈るような思いで観たのだが、うーん。なかなかに駄作。

(SIRENよりは断然マシ。少し前に実写化された青鬼のほうが、ストーリーはしっかりしていたな、という印象。バイオやサイレントヒルはハリウッドなので除外)

そもそもからして、この映画が零である必要が全くない。そして脚本が粗い。拾いきれない設定やらなにやら詰め込みすぎ。

零と言えば、射影機と呼ばれる特殊なカメラで霊の姿をおさめることで悪しきものを封印したり、呪いをといていくもの。射影機ありきな零なのに射影機出てくる気配がない。じゃあ、霊石灯かな?とありもしない期待をしたけれど、勿論霊石灯も出てこず。というか、幽霊と戦うこともなければそもそも昼間で何これ状態。零によくある、村や屋敷、不気味な廃墟の探索もなし。むしろホラー要素は一切なし。

序盤でホラーとしては諦め、百合映画として観ようとシフトチェンジ。アヤちゃんは女優さんも綺麗で素敵でとてもよい。

午前0時に写真にキスをする…という設定は、素直に綺麗だと思った。けれど、どうしてこんなに陳腐に見えるのだろう!女優さんの表現力か、演出の問題でしょうね。

序盤~中盤にかけては視点がころころ変わるため、誰が主人公なのか、なにを目指しているのか、など作品をいまいち掴みづらい。中盤以降、視点が固定されるのでようやくストーリーに追いつけたという印象。しかし中盤以降は話の進み方が物凄く粗く、伏線などの回収がほぼ出来ていない。

学校であれだけ大勢の生徒が倒れたにも関わらず大騒動になった気配がないこと、失踪から溺死という不審死を遂げた学生が大勢いるのに警察も出てくることがない、学校からそう遠くない場所に街があったようだが、学校でここまで不審なことが起きていたら街から何かしらのアクションがあったのでは…など、全体的にリアリティをもって作りこんでほしかった。正直、手抜きとしか思えない。

【零】としてのこだわりもあるにはあったのだが。

メリーさんの家、写真館に小道具として飾られていた鏡が初代や3作目に出てくるものと酷似していた。

アヤが双子なこと、麻生弟(園芸のお兄さん)が足を滑らせて川に落下するシーンは赤い蝶を模しているんだろうし、アヤの大切な人を忘れてしまっている…という記憶喪失や「もう一度会いたい」は月蝕かな?と思う。

麻生姉弟が近親相姦風なのも、零にありがちな設定を反映させたものかな…それなら、月蝕のように二人の間に出来た子供などを忍ばせてもよかったのに。

そして零の麻生家と言えば射影機を造った偉大な家系だが、今作では関係ない模様。ツキモリという名前も無関係なのだろうか…。演出や脚本家は、「適当な設定を摘まみあげて、散りばめればそれっぽくなるでしょ!」と投げやりになっていたとしか思えない。とても残念。

その他、回想シーンの際の鈴の音や全体を通したBGMやキャラクターの言い回しなど零を意識したと思われるものは多々あったが、総合的に見ると申し訳なさ程度というか…むしろ他が酷いので、こういった嗜好も凝らさず元よりほかの映画として作ってくれれば!もしくは、こんなに細かいところを再現してくれるのならもっと零らしく作ってくれれば!と言わざるを得ない。

それからED曲はせっかくなら天月さんを起用してほしかった。

全体的に振り返ってみれば…

起用された女優陣もみな綺麗で可愛く、大人びたけれど少女、という思春期独特の魅力に満ちていた。見せ場が少なかったり、ここにいる意味は…と思ってしまう子もいたがご愛敬。

ありがちではあるが、【女の子だけかかる呪い】というコンセプトは良かったと思う。

思春期の女の子が同性を好きになってしまうのは、決しておかしいことではない。自分達でもどうしようもないままに、同性に惹かれてしまう。けれど、世間的には受け入れてもらえない、いけないこと、誰にも話せない、理解してもらえないこと…それを呪いと称したのだろう。

この気持ちは大人になれば消えてしまう。だから「女の子にだけ」かかるんだと。

心中した少女たちはきっと、自分たちが大人になればこの気持ちが失せてしまうことをどこかで理解していたのだろう。周りの理解を得られないことよりも、今の自分達が褪せていくのが怖かったのではないかと思う。

だからこそ死を選ぼうとした、けれど生き延びてしまった。あの時の自分を殺すことが出来ず、許しを請う相手もおらず、時が止まり呪いを解くことが出来ない…そして大人になってしまった学園長の存在が、この映画でいう悲劇の始まりなんだろう。

悪いところばかりではなく、良いところもある映画ではあったがやはり零としてもは駄作。角川ならもう少し頑張ってほしい。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

劇場版 零〜ゼロ〜が好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ