BL界の異端で最高の純愛
この作品を普通のBL漫画だと思って手に取った方は驚いたのではないでしょうか。
なにせウィキペディアで【WILD ADAPTER】を調べると
ジャンルが【ハードボイルド】になっています(笑)
その名の通り、
- 裏世界の事
- 薬に関する細かい設定
- 周囲の人間関係など
まるで青年誌のような話や設定。
そして裏世界ならではの
- 人間ドラマ
- 射撃シーンの迫力
- 人の命の散る様
それらを峰倉 かずやさんの素敵な絵で容赦なく魅せられます。
そうして、その世界観に引き込まれていく。
それだけでも素晴らしい作品なのですが、掲載誌は主にBLを掲載する雑誌です。
一般的なBL漫画と比べてあまりそういった絡みが少ない作品に見えます。
ですが、久保田が時任を拾って、名前を付けてから様々な時間を共に過ごす中で、時任を失うことへの不安や恐怖を感じたり、時任に受け止められることへの安心感を覚えてくる。
それがますます手放せなくなっていき、強い執着心になり時任のこととなると誰も止められない程に突き進み手を汚し、その行動を時任の言葉で止められた様は、一見人間的感情に乏しく見える久保田がとても人間味溢れる感情的な行動に見えます。
そして、どんな久保田も受け止める強さを持った時任のか弱い一面が見えるのは久保田の過去が見え隠れした時ではないでしょうか。
自分の記憶には久保田と出会ってからしか無く、自分の過去への不安と自分の知らない久保田への不安や嫉妬といった複雑な心境に見えます。
不安定な環境と日常の中、どちらも強い執着心を持っていてお互いの関係を表す言葉は【お前と俺】
二人はどこにも無い、二人だけの愛の形なのだと、この二人のことを想うと涙が出る。
そんなハードボイルドで男二人の不器用でとても純粋な愛の物語だと思っています。
この世界観に魅せられてしまうともう抜け出せません。
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