思春期の甘酸っぱさを思い出させてくれる作品。
数々の賞を取ったマンガだけあり、幼少期から思春期までの心理描写が良く表現できているなと感じた。主人公の男の子が少女に、昔してしまった最低ないじめに対して自責の念にかられ、謝りたいけれどどう伝えれば良いのか、どう会えば良いのか葛藤する様子は、思春期の男子の恥ずかしさや甘酸っぱさを思い出させる。
対して少女の寛容さは大人びていて、自分が思春期の頃は果たしてどうだったかを考えさせられる。
耳が聞こえないハンディを負ってしまった分、あらゆる感性が人より敏感だからこそ、傷つかない強さを身につけていてとてもかわいい。少女の母の描写は、許しがたい葛藤や自分の大人げなさが全面に出ていてとてもリアリティがあり、良い意味でひやりとする場面も多かった。マイナス点としては、恥ずかしがっているシーンなどの少女の絵が少し大げさというか、読んでいて恥ずかしくなる事が多い、周りの友人や家族たちのキャラ設定にいまいちリアリティが無い点。
こんなに良い人達ばかりだっけ?という疑問は残るけれど、そこはマンガというエンターテインメントとして解釈出来るので、マイナス要素はそこまで気にならないと思う。
決して絵がうまいわけではないが、一度読んでみる価値は十分にある作品だと思う。
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