女子中学生の残酷な復讐劇 - ミスミソウの感想

田舎町のいじめシーンはとても辛辣でした。幼いがために自分の残酷さに気づいていないのか・・・。自分たちとは違う他者を排除しようとする田舎の町の人々の様子が現代にも通じるのではないかとも思います。

さらに、いじめられていた主人公が家族まで奪われ、いじめっこにしかけた復讐がとても残酷で中学生とは思えません。主人公は家族思いで、優しく、なんの非もない少女であるのにもかかわらず、それが同級生の妬みの対象となり、いじめの対象にされるという不条理さが切ないです。

リアルさのある絵ではないのですが、残酷なシーンは気味悪さを感じます。追い詰められた登場人物の表情も鬼気迫るものがあります。

また、いじめっこである女子や、いじめに加わるクラスメート、主人公に好意を向ける男子など、主人公でないキャラの家庭環境がとても複雑で設定が細やか。それぞれがそれぞれに対する好意や憧れの向け方を誤って、もつれていく様子がドロドロしていて、思春期特有の精神の不安定さが描写されていると感じます。

設定がしっかりしていますが、完全版だと上下巻で完結するのでストーリーの疾走感も衰えることがなく、読みやすかったです。誰一人幸せにならないバッドエンドで後味が悪い作品ではありますが、考えさせられるストーリーになっていると思いました。