現代日本の絶滅危惧種、不器用で優し過ぎて泣ける。
主人公は、今時いない、絶滅危惧種「弱気を助け、強きをくじく」という信念をもつ男である。口は悪いが、本当の意味で弱い人の為に身を削り、強い者に立ち向かっていくことの出来る、日本で暮らせないくらい優しい人間だ。どんなに自分に余裕があろうが、彼のような行動ができる日本人などいない。こんな不器用で、よく生きていけるなと思わされる。悲しい、報われない彼の生きざまが描かれた作品であるが、どこか心洗われるような感動を覚える。
それと同時に、彼のような日本人を求める心が生まれてくる。荒んだ現代日本にいると、彼氏がいようが家族がいようが守ってくれる人など誰もいない。皆が自分を守る事だけに必死である。そんな中で、主人公のような男性が現れたら、と夢見てしまう。本当にいる訳はないが、映画でくらいこんな人情に厚い良い男がいてもいいのではないかと思ってしまう。昔の特攻隊で亡くなっていった人や戦争を経験した人でないと、絶対いない。辛さや苦しさを味わってない人間に、本当の優しさなどないからだ。人を守ろうという誠心を持ってない現代日本において、特に辛い思いをしている女性にとって、ヤクザどうこうでなく、本当にこんな男らしい人がいたら、という希望になると思う。
しかし、不器用すぎて、もうちょっとうまい事やれないものかと不安になる部分もあり、母性本能を擽られる作品になっていると思う。
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