親子の深い愛情が溢れ出す作品
両親との幼き思い出を蘇らせてくれるー父と息子の思い
この作品を見た時何だか懐かしいような気持ちになりました。私が幼かった頃の父と母を思い出しました。作品の両親のように、仲良くて、冗談を言っては家族を笑わせる父親に、それを見守る母親の笑顔が忘れられません。休みになると、公園へ連れて行ってくれたことを思い出します。視聴者の懐かしい思いや気持ちを思い出させ、今の自分を改めて感じることが出来る作品です。幼かった頃の思い出は、年を重ねるごとなね忘れがちですが、本当は記憶の奥底に隠れていて自分が辛い時や助けが欲しい時に姿を見せます。家族の愛を見事に描き、視聴者自身の家族についてまで考えさせるという展開が魅なドラマでした。
例え母親が亡くなってしまったとしても、父と周りの人たちが大きな愛情を込めて1人の息子を育てます。人々の愛、生活の中での助言、全てが1人の息子のためでした。母親は、事故死ですが、その事故に息子本人が絡んでくるとなると、父親からしたら辛い気持ちがあるでしょう。息子が、自分のせいで母親が事故死したなんて分かったらどんな気持ちになるか、それだけは話す事がなかなか出来ずにいました。父親としての思いも上手く表現されていました。頑固で少し照れ屋で強い心を持っている日本の父親像を見たような気持ちになりました。父親とは何なのか。父親とはどんな存在なのか。片親だからという理由で、息子に悲しい思いなどさせたくない、父子で生きていく父親としての強い決意を感じることが出来る作品だと思います。息子が成長していくにつれ、口喧嘩や意見の食い違いもありましたが、それはどんな家庭にも起こることで、決して片親だからという理由ではありません。相手を思うからこそぶつかり合ってしまうこともあるのです。息子が東京に就職を決めた時の父親の気持ちはどんな心境なのでしょうか。切ない思いと応援したいという思いがぶつかり合うことでしょう。片親だから尚更です。仏壇の前に座り母親の写真に語りかける場面は印象的でした。悲しそうな背中は、年を重ねた父親を上手く表現しています。背中でものを語るとはこのことを言うのでしょう。私も片親なので、切ない気持ちは良く分かります。息子からしてみても、自分の夢を叶えたいという思いと、年老いた父親を1人残すことは、難しい選択だったに違いありません。ですが、息子は決心するのです。それは彼の大人への大きな一歩になったのです。息子が決めた事を結局は応援する父なのです。
片親という同じ条件ー父と息子の彼女
東京では必死に働き、好きな人も出来ます。相手はバツイチの年上子持ち女性でした。その事実を知った父は怒りと何とも言えない思いが込み上げてくるのです。父親としての気持ちも分かりますが、息子が好きになった相手にたまたま子供がいたというだけで、彼は結婚を認めて欲しいと願います。そんな父と子の葛藤もありましたが、女性は直接父親に挨拶しに行き、強さを持ったしっかりとした人であり、責任感をも感じさせるような行動に出ました。女性の強さ、母親としての強さを強く感じることが出来るシーンも多々ありました。この女性なら、父親にとってもとてもいい相性なのではないかと私は思いました。幼い子供を連れて、女1人で育ててきた彼女に、父は自分も同じ経験者として彼女をみたのもしれません。幼い子供を親1人で育て面倒をみて、教育させることは難しく大変だと思います。金銭的にもきっと苦労した部分があったでしょう。その事を1番に分かっていた父は、息子の彼女の大変さを自然と理解しているのでしょう。
必死に生きて元気に過ごし、親孝行をしていくということ
年を重ねるごとに、親の有り難みというものは理解出来るものです。いくら感謝しなくてはと頭で分かっていても、実際にその頃の親と同じ年齢になった時に、親の存在の有り難さや、深い優しさが自然と伝わってきます。それは、誰も皆同じです。親孝行したいと思っていてもなかなか行動に移せなく、本当に親孝行したいと思った時には、もう遅かったりします。人は泣き、悲しみ、親への感謝が溢れ出してきます。その気持ちこそが、親の存在の凄さなのでしょう。親が亡くなってからでは親孝行を直接できません。親を大事にする気持ちは誰でも一緒です。ただ行動に移せるか移せずにいるか、大きな違いがあります。親と子の関係性は切っても切れず繋がり続けます。お互いそれを知っています。離れていたとしても、お互いがお互いの事を思いやっている、これこそ親子の証です。いつか自分が親と同じ年になった時に、親はどういう気持ちだったのか知るために、今を一生懸命生きて、明日へと繋げていくのです。家族や親子の関係を永遠に保つように、離れて暮らしても、ただただ生きること、親よりも長く生きることが本当の親孝行かもしれません。元気なすがたをいつまでも家族や親に見ていてもらうのです。親と子について深く考えさせられた作品です。
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