大きな仕掛けに気がつかなければ名作
この映画はオープニングから大きな伏線がはっており、その伏線の回収がラスト10分で全て行われます。物語の中、随所で張り巡らせる仕掛けに気がつかずラストに謎が解明された時、もう一度初めから物語を楽しみたくなる映画となっています。
その大胆すぎる伏線を見事演じているのが、豊川悦司。彼の台詞一つ一つに意味があり、何気ない仕草にまで演じているのは素晴らしいと思います。また、若きころの麻生久美子の影のある美しさも、引き込まれるかと思います。
残念なのは被害者にあたる女子高生達の演技が、主演二人の演技と比べ稚拙で冷めてしまう所が数箇所あり、残念に思えます。
作品を通じて感じられるテーマとして、人間の心の不可解さ、殺人に至るまでの意味の希薄さや、虚無感などが感じられ連続殺人という凶悪な犯罪の中に、罪悪感では無い心の病を抱えた者の葛藤などが表現されていると思います。
私は激しいアクションシーンなどは、ほとんどありませんが自傷行為を繰り返す麻生久美子のそばで、卓越した位置から眺めている豊川悦司の演技に魅せられました。
現実でも我々には理解できないような残忍な事件等も起こっていますが、快楽的や衝動的に殺人を起すものだけではなく、この映画の主人公たちのように自分自身すらも理解できない位置からの犯罪行為もあるのかと思うと、怖く感じます
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