世界観と絵に引き込まれます - ナツノクモの感想

篠房六郎氏の代表作。だと思う。

正直中盤ぐらいまではゲーム世界の雰囲気、ホラー要素も感じる演出、氏の独特で迫力のある絵でのバトルとダークヒーロー系のノリで大変楽しめたが、中、後半ぐらいからはドロドロとした人間関係、無理やり詰め込んだ感もあるフィナーレと個人的には若干残念な終わり方。

多少濃い画風で見る人によっては疲れてしまうかも知れないがそこが氏の作品の魅力ではないだろうか。

特にクリーチャー、男性キャラ(特にオッサン)等は氏の個性的なタッチで描かれると非常にいい味が出て格好いいのだ。

逆にそのタッチが変わらず女性キャラも描かれるのでハーレムものになっていってるはずなのに、全くそれを感じさせない作品になるといった所もある意味この作品の面白さではないだろうか。

恐らく作者の画風に萌えは存在しないのだと個人的に思う。

ストーリーもどこか作者のリビドーを感じる所がありなかなか人によっては受付にくい所もあるが、人の心の闇をリアルに感じれる内容もあり、なかなか考えさせられる話もあったりする。

氏が卒業制作で綴ったゲーム世界と内容が地続きになっている所、もっと広げれる風呂敷はあったと思うがそっちよりも作者の趣味性が強くなっていってしまった所が残念な作品だ。

やたらと酷評しているが作者の独特で味のある絵柄と世界観、引き込まれてしまう人はどっぷりと作者の世界にハマってしまう作品なのは間違いない。

何故なら私も篠房ワールドの虜になった1人なのだから。