同じようで違っているバンパニーズとバンパイア - ダレン・シャン 3 バンパイア・クリスマスの感想

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ダレン・シャン 3 バンパイア・クリスマス

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同じようで違っているバンパニーズとバンパイア

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目次

人間が知っているバンパイアは実はバンパニーズ?

バンパニーズは、もともとはバンパイアと同じ種族です。むかしは掟もなく人間を襲って殺してしまったりしたことで、恐怖を感じた人間たちに襲われ絶滅しそうになったこともあり、掟が定められるようになりました。しかし、バンパイアの中には「人間を殺してはいけない」や「元帥・将軍」などといった階級があり、一般バンパイアは将軍・将軍は元帥には従わないといけないといったことに対し、不満を持ったバンパイアが独立してバンパニーズに分かれていきました。多くは階級制度に不満があるバンパイアがバンパニーズになっているためか、バンパニーズたちには階級といったものがないどころか、みんなが平等に扱われます。

物語でよく知られているバンパイアといえば、血を吸われた人間はバンパイアになったり、死んでしまったりします。十字架や聖水・銀・ニンニクに弱く、日光に当たるとすぐに灰になってしまいます。人の家には招待されなければ入ることができませんし、鏡や写真にうつらないといったところではないでしょうか。しかしそれは、バンパニーズの「人間の血は一滴残らず飲み干す」だとか「獲物の自宅では絶対襲わない」などといった掟が人間にバンパイアのイメージをうえつけたのでしょう。

バンパニーズはバンパイアとはまた違った掟を守って生活しています。掟というよりは心得や誇り伝統といったものに近いようですが、「決して嘘は言わない(約束は守る)」「獲物には必ずしるしをつけ行きずりで襲うことはしない」といったところです。実際マーロックはエブラを人質にとったとき、クリスマスまでは殺さないといっていました。拷問に近い状態でつるされていましたが、殺されてはいませんでした。

バンパイア VS バンパニーズ

バンパイアとバンパニーズは考えの違いから、死闘を繰り返していました。しかしその結果どちらもが絶滅の危機に陥り、停戦協定を結びます。そして、お互いに干渉しない・近づかないという掟をつくりました。そのため、長い間バンパイアとバンパニーズが争うといったことはおこっていませんでした。両者とも戦いが好きな種族のため、きっかけがあればすぐにまた死闘が始まるでしょう。しかし、ダレンとマーロックのかけひきからみて、積極的に戦いたいわけではないようです。どちらも相手を殺すことになれば、仲間が「報復」を理由に攻撃を仕掛けてくるでしょう。そうすればまた過去の二の舞になってしまいます。それがどちらも自分の身を守る手段として最大の効力を発しています。

死闘を繰り返していたからといってお互いに憎みあっているわけではないようです。干渉しなければという条件はありますが、人間同士が考えが合わないからと言って殺し合いをしないのと同じように、バンパイアとバンパニーズも考えが合わないからといって殺し合いをすることはしません。両者がそれぞれの掟に対し自分たちは従うことはできなくても、全く理解できない行動や考えではないようです。人間にとってバンパニーズは、人間を殺すため「悪」という認識になるでしょうが、人間を獲物として捕らえているバンパニーズにとって、食事をとるために獲物を殺すというだけで、バンパイアにとっても悪だとは言えないと考えれば、人間が肉を食べるために牛・豚・鶏を殺すのとたいして変わらないことだといえるでしょう。

仲間に甘いバンパニーズ?

バンパイアの場合、おかしくなってしまったバンパイアがいた場合バンパイア将軍が裁きますが、バンパニーズの場合放っておかれるようです。追放されたバンパニーズがどうなろうと干渉しないということでしょう、しかしバンパイア将軍に殺されるのはいやみたいです。バンパニーズは人間を襲った場合必ず殺すことになってしまうため、死体を見つからないように隠すようですが、おかしくなってしまったバンパニーズの場合マーロックのように死体をうまく隠せず人間にばれてしまいます。そうなるとバンパニーズ同士で裁きを下さなくても、恐怖にかられた人間のほうが確実に裁きを下すかもしれません。それを阻止するためとはいえ、バンパイア将軍がバンパニーズを襲って制裁を与えた場合全面戦争にもなりえません。

マーロックの場合完全におかしくなっていたわけではないためか、被害者が多く出てしまってからやっと人間に発覚します。マーロックが襲っていたのはクレスプリーの故郷ともいえる場所だったため、これ以上被害者を出さないためにもクレスプリーはマーロックに干渉する形となります。結局マーロックはクレスプリーとダレンのバンパイアの手によって殺されてしまいますが、死体を隠すことでバンパニーズにはわからないようにしました。「嘘をつかない」バンパニーズに対しデビーをあげると嘘をついてダレンはマーロックを誘い出します。嘘をつかないというのはやはりバンパニーズだけの掟のようです。

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