大和乗組員の心を魂で演じ切る豪華キャスト! - 男たちの大和/YAMATOの感想

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男たちの大和/YAMATO

4.504.50
映像
5.00
脚本
3.50
キャスト
5.00
音楽
3.00
演出
2.00
感想数
1
観た人
1

大和乗組員の心を魂で演じ切る豪華キャスト!

4.54.5
映像
5.0
脚本
3.5
キャスト
5.0
音楽
3.0
演出
2.0

6億円の製作費と映像の美しさに惹かれて観たのだが、戦争映画の難しさを改めて感じる結果となった。日本が国の威信を掛けた奇跡の不沈戦艦が一瞬で沈むという、ただでさえドラマ性の強い題材だ。錚々たる顔ぶれの豪華俳優陣や、精巧に作られた戦艦大和のレプリカが素晴らしかっただけに、全体のバランスの悪さが際立った。ドキュメンタリー風の回想シーンで始まるオムニバスは『あの大戦と戦艦大和の物語は、決して遠い過去のものではないのだ』という製作者のメッセージかと解釈すれば、ずいぶん強引な演出だと反発を感じたし、スムーズに感情移入ができないままドラマが進み、最後に向える戦闘シーンだけが不自然に、悲惨な見せ場として浮き上がり、ただグロテスクに映ったことが悲しかった。軽い現代ドラマのような成り行きの戦争映画に、現代的な主題歌が逆効果となっていたのも残念だった。とはいえ、実力派俳優たちの白熱の演技にはとても感動したし、実に俳優という職業は素晴らしいものだとも思った。中村獅童、松山ケンイチなど、その鬼気迫る演技とツラ構えが、当時の乗組員の心を想像させて何とも切なく、考えさせられた。特に臼淵大尉を演じた長嶋一茂の存在感は、個人的にそれまでの印象を覆し、大尉が乗り移ったのではないかと思ったほどだ。以来、日本の俳優が最もその魅力を発揮し得るのは、戦争映画に於いてであるとの自論を持つに至った。そして私が戦争映画に求めるのは、常に死と向かい合い時代を生き抜いた人々の精神の発露の表現であり、悪戯に憐憫の情を掻き立てる演出や、戦争美化から得られる高揚感、いわんや監督や演出家の独り善がりなメッセージなどではないのだと、映画を観終ったあとでつくづく感じた。

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