苦痛なく「心の闇」を鑑賞できる耽美なサスペンス。 - 隣人は秘かに笑うの感想

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隣人は秘かに笑う

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映像
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脚本
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キャスト
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音楽
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演出
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苦痛なく「心の闇」を鑑賞できる耽美なサスペンス。

4.54.5
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.5

目次

放映当時と現代とで異なる闇の描き方

1999年放映のドラマで、当時世間を騒がせていた

警察の不祥事という社会情勢も反映した

警察官の犯罪を絡めたミステリーサスペンス。

本木雅弘さん演じる「高木洪一」が配属された部署も、

当時不祥事で騒がれていた「神奈川県警」とのこと。

(Wikipediaより)

当時もリアルタイムで見てたと思うけど

だいぶ忘れてしまったので改めて見直してみました。

性に奔放な母親から十分に愛されなかった幼少期のトラウマから

心に深い闇を抱えている「高木」

女性に対する歪んだ憎悪、

愛し愛されることへの渇望が生み出す狂気、

疑いや欠乏感から紡ぐ防衛的な人間関係・・・

そんな、十分な愛情を受けずに育った者の心の闇が

実にありありと描かれている。

・・・が、

テーマとしても構成としてもキャラクターの設定にしても、

十二分にシリアスな内容だし、

「心の闇」を描いた作品としても、

かなり肉迫した作品、だとは思うのだけど・・・

どこかライトな感じがしたのはなぜなのか。

私なりに思うのは、「時代の違い」かな、、と。

警察や国家権力などの不祥事や心の闇を描いた作品は

今やドラマ界でも映画界でも大半がソレ、

と言ってもよいくらい日常的だし、

描き方がもっとリアルで、エグかったりする。

そういうリアルなエグさにある意味慣れてしまっているがために、

サスペンスドラマというエンターテイメントの域を出ない軽やかさを

この作品に感じたのかもしれない。

でも、当時からしたら十分に衝撃的で

インパクトはあったんだろうな。

その意味でも、この十数年で

ずいぶん社会の在り方も変わったな、と。

ずいぶんと「オープン」な世の中になってきたよね、 

という意味で。

昔から社会の闇や心の闇ってのはあっただろうけど

ある意味「特殊」なモノとして、

もしくは、自分たちの目線から少し距離をとった状態で、

描かざるをえなかったんじゃないだろうか。

それらの側面をリアルに描くには

時代も、まだ成熟してなかった、と言えるのかも。

だから、よりリアルでエグい作品が多くなってきたことを、

「なんて病んだ時代なんだ」

と捉えることもできるけれども、

そういったことをオープンに出来るということはそれだけ、

それらを受け入れる包容力と体力が、

現代の社会にはあるのだとも言えるわけで、

それってものすごく喜ばしいことではないか、と思う。

最後まで犯人が分からないどんでん返し

いやー、最後の最後まで、ジラすよねー、犯人。

実は私、比較的終盤まで、

フツーに犯人はモックンだと思ってた。

作者の思うツボーーー(笑)

だってさ、描き方がすごく素直なんだもん。

最近のエグイやつみたいに、

フツーに見てても裏の裏の裏くらいをつい読んでしまうような

伏線だらけの演出じゃ、ないんだもん。

でも思い返すと、一度だけ、

深水三章さん演じる真犯人役の警察官、

なんでもないシーンだったんだけど

一瞬、ざわざわっ としたんだよね。

潜在意識で違和感を捉えた、みたいな。

ラストで真犯人だと分かった時、

「あーー!あの ざわざわ感は、そういうことだったのかー!」

みたいな、ある種「アハ体験」(笑)

含みのある役どころがすごく上手い俳優さんですよね。

この作品の役も、ふり幅デカかったーーー!! 

最終回にたたみかけるような大どんでん返し系のドラマを

久しぶりに見たので、

なんだかとても新鮮でした(笑)

モックンこと本木雅弘さんの演技

かつてアイドルだったモックン、

アイドル時代から何かがズバ抜けてた印象だったけど、

深みのある演技はやっぱりイイね~。

陰的な奥行き感のあるモックンには

すごくハマり役だったと思う。

「愛されたい」は「愛したい」の裏返しだし

「守られたい」は「守りたい」の裏返し 。

どちらかが欠落していると

相反する片方が肥大する。

狂気に歪んだ「愛したい」&「守りたい」亡者と化した

「高木洪一」の怪演は見事だったなー。

眼がイイんだよな。

眼ですべてを語るような演技が。

そんで、美しい。耽美。

そして最後、自暴自棄になって

誰も信じられない、何も聞こえない、と

錯乱して破滅してゆく演技・・・

リアルだわー・・・。

ここ近年はメディアへの露出は少ないけど

また、耽美で唸るような演技を

是非とも見たいものです。

劇中の効果音

全編にわたって使用されている

独特の効果音があるのだけど、

コレ、この作品以外でも比較的頻繁に

耳にしてると思ったんだけど、

気のせいだろうか。

意味ありげにモックンとかその他登場人物が現れるシーンとか

不穏な空気感を表現するシーンなどで

必ず使われる、アノ音。

サスペンス系のドラマなどで

一般的に耳にしてたような気がしたから

逆に、

「アレ?このドラマのオリジナルなの??」

と、不思議に。

個人的にはその変が若干・・・気になっておりマス。。

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