大人気ゲームのCGアニメーション - バイオハザード:ディジェネレーションの感想

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バイオハザード:ディジェネレーション

4.504.50
映像
4.50
ストーリー
3.50
キャラクター
3.50
声優
3.50
音楽
3.00
感想数
1
観た人
1

大人気ゲームのCGアニメーション

4.54.5
映像
4.5
ストーリー
3.5
キャラクター
3.5
声優
3.5
音楽
3.0

目次

圧巻な映像美にゲームファンも大満足

大人気ゲーム『バイオハザード』の始まりのモデリングは、粘土人形のようなカクカクとしたポリゴン六・七頭身だった。

ドット絵二頭身が主力だった当時のゲームとしてはそれでも画期的だったが、顔の表情は線で出来ており、キャラクターのポーズはそこらの人形よりも粗末な出来だったように思う。

それから十年程度でこれほど進化を遂げるとは、誰が予想していただろうか。

『バイオハザード2』の主人公であるレオン・クレアを、ラクーンシティ以来めぐり合わせたサブストーリー。ラクーンシティで苦労の末に共に脱出した二人の息は、OVAになってもバッチリ合っている。

もっとも驚くべきは、その美しいモデリングであろう。クレア、レオンともども本来のビジュアルを取り戻したかのように、八頭身の美男美女へと生まれ変わっている。クレアは大きな瞳とアヒル口が魅力的なアクティブな美女へ、レオンはイケメンでありながら仏頂面の皮肉屋という側面が際立つように描かれている(なお、ゲームでもレオンは皮肉とジョークが好きなわりに表情が乏しい。はたから見てるとちょっと怖い)。

サブキャラクターのアンジェラやデイビス議員など、各々の役回りと個性を最大限に表現したキャラクターデザイン・モデリングも見事の一言だ。手のしわ、汗、顔の筋肉といった細部に至るまで丹念に表現され、もはや芸術品のようだ。

その造形美を誇るキャラクターたちがスクリーンのなかで動き回るのだから畏れいる。おまけに、アクションシーンはカメラワークが素晴らしく、『バイオハザード』らしいややオーバーなアクションが満載で、ゲームファンを虜にしてしまう。『バイオハザード3』で片鱗を見せ、『バイオハザード4』以降頻出するようになるゲーム中のQTEを思わせる、レオンのギリギリのアクション。レオンが宙に投げ出したハンドガンを受け取るクレアの見事な銃捌き…どれを取っても、ゲームとそん色ない出来だ。

構成も十分。『バイオハザード5』への伏線もあり、ファンは必見

単発のアニメーション作品ながら、物語の構成は実に簡潔、かつわかりやすくなっている。バイオテロを巡る陰謀、黒幕の存在と、映画一本分としてきちんとまとめられており、『バイオハザード』を知らないファンでも観やすい作品になっていただろう。

飛行場でのパニック→脱出→研究所→爆破と『バイオハザード』シリーズらしい編成になっているのも好感がもてる。

また、『バイオハザード』ファンにとってもニヤリとするポイントがあるのも嬉しいところだ。レオンとクレアの出合い頭の「伏せろ」も、ゲーム『バイオハザード2』の二人の出会いを彷彿とさせる。終盤に登場するトライセルの名は、『バイオハザード5』を既プレイの人にはお馴染みだろう。

映画の『バイオハザード』シリーズでもいえることだが、『バイオハザード』は映画にしろ、アニメにしろ、常にファンを意識している作品づくりをしている。このサービス精神が、『バイオハザード』シリーズ20周年の支えになっているのかもしれない。

余談であるが、ディスク版に収録されているおまけは『バイオハザード』制作会社カプコンらしい”おふざけ”満載で、それだけのためにディスクを借りてもいいほどだ。主に本編中の画像を繋ぎ合わせて音声を編集しただけだが、報復絶倒ものである。円盤が売れた理由がよくわかる。

アニメーションとしては満足すぎる作品。あえて文句をつけるなら

ファンも、映画で初めて観た人にも納得の出来だが、あえて難点を挙げるとすれば、「キレイに収まりすぎている」といったところか。

サブストーリーにはありがちなことだが、本編と違和感のない作りにするために、無難な話に落ち着けるというのはよくあることだ。『バイオハザード:ディジェネレーション』も例に漏れず、一作としては非常によく出来た作品であるものの、ストーリーにもキャラクターにもケレン味がなく、飛びぬけた個性が見当たらないのが非常に惜しい。

また、アクションシーンを盛り上げるためのサウンドが物足りなかったことも挙げておこう。『バイオハザード』シリーズ、特にレオンとクレアの初登場作である『2』は、終盤の研究所脱出のBGMが素晴らしいことで知られている。そこをもう少し活かせれば、ファンからはもっと支持されていたに違いない。

とはいえ、『バイオハザード:ディジェネレーション』は2週間限定公開でありながら、興行収入4300万円を達成というメガヒットを記録した。極めて短期間の、しかも90分映画としては、異例の快挙である。この大ヒットを受け、続編『バイオハザード ダムネーション』の制作が決定し、こちらもヒットを飛ばしている。

以降、『バイオハザード』シリーズのCG映画は企画されていないが、次回作にもおおいに期待したいところだ。二連続でレオンが主役だったので、次あたりはクリス、ジルか。それとも『0』『1』以降姿を見せていない彼女がそろそろお目見えしてもいい頃だが、果たして。

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