継続は力なりけり - パタリロ!の感想

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パタリロ!

4.004.00
画力
3.50
ストーリー
3.50
キャラクター
4.00
設定
4.00
演出
3.50
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継続は力なりけり

4.04.0
画力
3.5
ストーリー
3.5
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
3.5

目次

ギャグとオカルトは紙一重

数十年にもまたがる長期連載漫画は、今も何本かあります。少年漫画の代表格が『こち亀』ならば、少女漫画では『ガラスの仮面』や『王家の紋章』他数本挙げられますが、どうやら発行刊数に於いてなら『パタリロ!』がトップであるようですね。もう95巻も出ているのかー(^_^;) 実を言うと20巻前後から読んでいない作品なんですよ、連載が続いていることは知っていたのですが。

魔夜峰央氏は男性の少女漫画家さんですが、オカルティックで実にインパクトのあるペンネームですよね。あえて性別を特定できない名前の作家さんが多い中で、現在少女誌で執筆されている男性作家さんってどれくらいいるんでしょう? 堂々と男性名で少女漫画を描いておられる方って、古参の方だけなんじゃないでしょうか。

パタリロ以前は既存の怪談を漫画化したものや、ホラー主体の短編作品を多く発表された方だったと記憶しています。メジャー誌で、しかも耽美系の絵柄で同性愛要素の入った漫画作品を描く男性作家さんとか、今考えるとなかなか異端な存在ですね。当時の編集部には相当なチャレンジャーがいらしたようです。

「ギャグ漫画描きたい」オカルトホラー路線で評価を得ていた頃、すでにそう考えておられたようです。そしてほどなく発表されたのが『ラシャーヌ』『パタリロ』という、魔夜峰央漫画2大代表作。ホラー漫画とギャグ漫画を両立させた作家さんというと、あの大御所、梅図かずお氏という偉大な先駆者がおられたのでした。例の描き込まれたコワい絵柄で繰り出される強烈なギャグは、ちょっとした社会現象引き起こしてましたね。どうやらホラーで培ったパワーを笑いに全力投入すると、とんでもないものが生み出される傾向があるようです(・_・;)

唯一無二のパタリロ漫画

架空の王国マリネラの少年国王、パタリロ・ド・マリネール8世陛下のルックスは、最初は別作品の美少年主人公ラシャーヌと、そう変わりなかったんですけどね。だんだん下ぶくれの顔になり、吊り上がり気味の糸目で、最終的に全体ぽっちゃりしたゆるキャラ体型になっちゃいましたね。潰れまんじゅうだのへちゃむくれだの、思いっきり修正の入った肖像画詐欺に遭ったバンコランならともかく、直属部下のタマネギ部隊からもさんざんな言われようでした。まあ、タマネギ達の素顔は美青年でしたけど。

1978年からそろそろ40年近い連載の中で、本編から派生したパラレルやスピンオフも何編か出されている訳ですが、それってほとんどセルフパロディですやんか(^_^;) ギャグ漫画の体裁を取りつつも、パタリロには実に沢山のテイストが盛り込まれています。時にSF、時にファンタジー、得意のオカルトやスパイアクションに時代劇、なんとホロリと泣かせる感動ものであったりもしましたね。長い作家生活の中で、魔夜氏の本業は「パタリロ漫画家」となったというのは言い過ぎかもしれませんが、それだけ自由度が高いんですよ。他の作品も並行し他て発表されているのですが、やろうと思えば全部パタリロで消化できたんではないでしょうか。まあ、息抜きのためにも別ものを描くことは必要ですが。

魔夜氏のセルフイメージはグラサンスーツにオールバックで、キャッチフレーズは「華のミーちゃん、独身28歳」。女性作家主体のメジャー少女誌で大人気を博した頃、貴重な独身男性漫画家はさぞファンに大モテだったでしょう。同性愛ネタの多い作品のイメージが強かったので、失礼ながらそっち方面の嗜好の方と思い込んでいたのですが、バレエダンサーの奥様との間にお子様が二人おられるとのこと。そのタイトルもずばり『親バカ日誌』という微笑ましい作品の中で、しっかり愛妻っぷりと親バカっぷりが発揮されておりました。ごちそうさまですハイ(*^_^*)

TVの世界へ殴り込み

そうそう、件の『パタリロ!』、80年代にはTVアニメ化されておりました。しかも夜7時からというゴールデン枠で(-_-;) ちょいと調べたら面白い制作秘話がゴロゴロ出てきました。バンコランとマライヒの件では視聴者から苦情?はあったようですが、いろいろ自由な時代だったんですねぇ、今では規制にかかって絶対無理ですわよ。確かあの当時は歌手の中島みゆき氏がパタリロファンで、テーマ曲の依頼があったとか(本人がDJを務められたラジオ番組で拾ったネタです)。スタッフも半ば冗談だったのでしょうが、中島氏、やろうかやるまいか逡巡しているうちにアニメがオンエアされてしまっていたとの事、ちょっと残念な気もしますね。

当初は出来るだけ原作に忠実に、且つ視聴者を刺激しないようにを心がけられたようで、徐々に演出を低年齢層にシフトしていったようです。しかし1年以上放送してたとは恐れ入りました。さらに劇場版まで制作されていたんですか。本当に一時代を築いた作品なんですねぇ、懐かしくも感慨深いです。ちょっとちょっとっ!タマネギ部隊の吹替えキャスト、凄いメンバーじゃないですかっ!うはははは、再放送やってくれないかしら、見たいわこれ。

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