普段なら見ない映画
普段なら、ぜったいに観ないジャンルの映画なのだけど、「藤原竜也」「大沢たかお」というキャストに魅かれてみてみた。とにかく後味が悪くて、楽しめたという感覚はいっさいなかった。だけど、これに似た感覚、最近どこかで味わったことないだろうかと考えてみたら、別の面が見えてきた。
最近、不倫問題が発端でCM契約がすべて打ち切りになり、出演番組もすべて降板となった某タレントさん。彼女がどこか藤原竜也演じる清丸に重なって見える。もちろん、某タレントさんは清丸のような「人間のクズ」ではないのだけれども、「週刊文集」が日本国民の目の前に提示した「不倫記事」は、まるでこの映画での「10億円」のように日本国民の感情を非難へと集中させ、彼女を攻撃した。彼女のまわりの人々が「藁の楯」ならぬあらゆる方法で彼女を守ろうとしたが、なすすべもない。そんな中起こった、清丸の行動とも重なる「藁の楯」をも台無しにする行為が「LINE」の流出である。
「人の不幸は蜜の味」という言葉もあるが、某タレントさんの転落劇は平和な日本国民にとって10億円以上の魅力があったのではないか。さすがに10億円もらっても殺人はできないが、ネットでちょっといらだちをぶつけるくらいなら誰にでもできる。それが拡散すれば、一人の人間の一生を台無しにすることなど簡単なことだ。清丸は最後まで「人間のクズ」だったのだけど、某タレントさんは、もともと「非難を受けるような人だったのか」すら怪しい。
映画も現実もとにかく後味が悪い。「藁の楯」をもって彼らを守ろうとした人たちは映画では理不尽な死を迎え、現実においても玉砕である。世論に刃向かうことの恐ろしさと、例え刃向かうことが正しくてもそれが良い結果を生むとは限らないということをこの映画は、いやというほど見せつけてくれる。
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