原題「天の眼(Eye in the Sky)」が意味するもの - 監視者たちの感想

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監視者たち

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映像
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脚本
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キャスト
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音楽
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演出
4.00
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原題「天の眼(Eye in the Sky)」が意味するもの

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.5
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
4.0

香港で2007年に公開された「天使の眼、野獣の街(邦題)」の韓国版リメイクだが、スタイリッシュな仕上がりになっており、元ネタを観ていても楽しめた。

特殊犯罪課(SCU)行動監視班の刑事と組織犯罪グループの対決が軸になっており、韓国警察に実際この組織があるのかわからないが、納得できるリアリティがある。監視班のコードネームは「動物園」で、女性チーフが行動開始を告げる「動物園開園」というセリフがカッコいい。

この動物園に新たにスカウトされた新人女性警官、コードネーム「子豚(本人は小鹿を希望)」ことハ・ユンジュ(ハン・ヒョジュ)の成長物語でもある。ストーリー構成やエピソードは香港版に忠実だが、犯罪組織のリーダー、ジェームズ(チョン・ウソン)のキャラクターが深く掘り下げられ、犯罪者側にも事情がある、という点がクールに描かれていた。

原題"Eye in the Sky"すなわち「天の眼」には、3つの象徴的な意味があると思う。

ひとつ目は犯罪グループのリーダー、ジェームズが犯行現場付近の高層ビル屋上から、警察の行動を把握しつつ配下を統制していること。監視班の班長ファン・サンジュン(ソル・ギョング)が、「全知視点を使ったリーダーがいる」と看破するのだが、このふたりの対決も見応えがあった。

ふたつ目は、行動監視班が犯罪者の追尾のみを任務とする「眼」の職能に限定されるということ。ヒロインが矛盾に悩むように、傷ついた被害者がいても救命行為にすら係わることを戒められる、という制約の下で、彼らは行動しなければならない。

そしてラスト。追跡していたジェームズを見失ったヒロインが絶望に沈んだとき、雨が止んで光の中に再び彼の姿を見出すシーン。ご都合主義の声もあろうが、「天に在る造物主の眼は、悪を見逃さない」という本編のテーマを象徴しているようだった。

傑作だがあえて欠点を挙げれば、ヒロインを演じたハン・ヒョジュが可愛すぎる。こんな娘が尾行してたら、目立ちまくりでしょ。劇中でも敵味方に「カワイイ」「綺麗な顔して」と言わせなければリアリティが保てないほどだった。


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